多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 2003年 初夏(第11号)
 
        アニマシオンで楽しく読書を!

                    まなび探偵団アニマシオンクラブ事務局長
                         笠井英彦(静岡市立東中学校)

 私が今年から勤務する静岡市の中学校では朝の15分間読書をやっています。8時15分から30分まで、子どもたちは静かに読書をします。もちろん私たち教師も同じようにやっています。そして、今年から週に1回、教師による「読み聞かせ」も行うようになりました。職員室の本棚には読み聞かせ用の本が並び、その日になるとそこから書籍を持って学級に行く教師も少なくありません。学校としてはこれをサポートするために、図書館司書による「読み聞かせ」講座も行いました。
 私は通常の読み聞かせだけでなく、読書のアニマシオンの手法を取り入れてみました。
1.「ダウトを探せ」と「僕のタイトル世界一」
 私が行ったのはたくさんの「作戦の中の「ダウトを探せ」と「僕のタイトル世界一」です。ダウトを探せは、初めに教師が「読み聞かせ」をした後で、2回目に読むときには、わざと何カ所か間違えて読みます。その間違いを探すというゲームです。私が読み間違えた所を、「ダイト!」と言って間違いを正した子どもにシールを渡していきます。1回目の「読み聞かせ」は、ゲームをやるとわかっているため子どもたちの聞く態度は真剣そのもの。2同目、間違い文をゆっくり読んでいくと、「ダウト!」と言ってかなりの手が挙がります。授業ではほとんど発表しないような子どもがこの時ばかりは元気に発表します。そして、シールをもらった子どもは「ヤッター」と。
 「僕のタイトル世界…」は、この「読み聞かせ」した短い話に自分が考えたタイトルを付けるというものです。全員に短冊を配り、この短冊の表に白分の考えたタイトルを、裏に自分の名前を書いていきます。そして、できた子どもから前の黒板に貼っていきます。全員が貼れたところで、「前に貼られたタイトルを見て、自分がいいなと思ったものを2つ選ぼう」と言います。なぜ2票かと言えば白分のものにも入れられるようにするためです。そして、たくさん票の入ったものや、私がいいと思ったものを評価したり、表彰したりします。
2.ただの読書より楽しい
 子どもたちはこのアニマシオンの手法による「読書ゲーム」をどう感じたのでしょう感想書いてもらいました。
■読書ゲーム、新しい感覚のゲームで思っていた以上に面白かった。短い物語でもなかなか覚えきれなくて手が挙げられなかった。でもタイトルづけは、自分の考えたタイトルに何人か入れてくれて、賞の中に入ってシールがもらえた。シールは買えば簡単に手にはいるけど、こういう場でもらうシールは特別うれしかった。
■ダウトを探せはしっかり覚えなくちゃいけないので大変だったけど、おもしろかった。普通に読書するよりも楽しかった。タイトルづけはいいタイトルが思いつかなくて、「おにのお客さん」っていうのを考えたんだけど、かぶっちゃったので残念でした。でも楽しかった。またやってみたいです。
■ゲームもこの話も楽しかった。タイトルづけは、いろいろなのが出てきて面白かった。本を読むだけじゃなくて、ゲームをやったりすると読書が好きになれると思った。
3.読書を楽しむために
「読むこと、話すこと、書くこと、つまり、世界を言葉で説明し、理解し、楽しむことは、人間の知能の発達に不可欠の条件です」(『読書へのアニマシオン1より)
 読書を楽しむため、さまざまな方法が考えられていいと思います。このアニマシオンの手法もその一つだと思います。

リクエスト大好き
                  町田市立大蔵小学校 図書指導員 谷釜房子

「おはようございます」
「おそいよ!私のリクエストした本あった?」
「ぼくの方が先にリクエストしたよ!」
 図書指導員として小学校の図書室に入る様になって4年。朝10時に図書室に着くと、こんな元気のいい声が飛ぴかいます。
    読みたい本が見つからないときはリクエストして下さい。
    図書室にない時は公共図書館で借りてきます。
 このポスターの下のリクエスト用ポストはいつも予約の紙でいっぱいです。このリクエスト用紙をもって学校の帰りに公共図書館へでかけ、翌朝手に入った本を図書室へもっていきます。

 「あっこれこれ、この本読みたかったの」
 「本屋さんで売っていたのと同じだ」
 「お母さんが小学生の時読んだんだって」一
 「塾で読む様にっていわれたんだ(ドキッ)」d

 子どもの本離れが言われ続けて何年になるでしょう。しかしこんな毎日を過ごしている私には、おもしろい本、楽しい本がそぱになかったからではないから?と思ってしまいます。
 友達から紹介されたり、紹介したり、身近な大人(先生も)から手渡されたり、そんな様々な機会があれぱ、皆本好きなのではないかと思っています。
 本の好きな子にも、本を通して違う世界に足を踏み込もうとしている子にも、今、本に興味が向いていない子にも、その時々の一冊の本を手渡していけれぱ、と思っています。

 
〜大蔵小でよく聞かれ読まれている本について〜

 1年生はとても具体的に「ネコのでてくる本ありませんか」「クマの本はどこ?」と動物の本が大好きです。
「あしたうちにねこがくるの」(石津ちひろ文/ささめやゆき絵/講談杜)
「あたしもぴょうきになりたいな」(フランツ・ブランデンブノレグ文/アリキ・ブランデンブノレグ絵/借成杜)
「ジオジオのかんむり」(岸田衿子文/中谷千代子絵/福音館)
「三びきのくま」(トルストイ作/レーデベフ絵/偕成社)
「ねずみにそだてられたこねこ」(ミリアム・ノートン文/ガース・ウイリアムズ絵)

 2年生になると「楽しくておもしろい本ありますか?」と言ってきます。
「せんたくかあちゃん」(さとうわきこ作/福音館)
「さるのせんせいとへびのかんごふさん」(穂高順也作/荒井良二絵/ビリケン出版)
「いつもちこくのおとこのこ」(ジョン・バーニンガム作/たにかわしゆんたろう訳/ほるぷ出版)
「王さまと九人のきょうだい」(中国の民話/赤羽末吉絵/君島久子訳/岩波書店)
「キャベツくん」(長新太作/文研出版)
など、大人の常識でははかれない様な心が開放されほっとした気持ちにさせてくれる本が大好きです。

 3年生になると冒険の本もよく読まれます。
「エルマーのぽうけん」(R・S・ガネット作/R・C・ガネット絵/渡辺茂夫訳/福音館)
「長くつ下のピッピ」(リンドグレーン作/大塚勇三訳/岩波書店)
「小さなスプーンおばさん」(プリョイセン作/大塚雄三/学習研究杜)
「北極のムーシカミーシカ」(いぬいとみこ作/瀬川康男絵/理論杜)
「ぼくらはカンガノレー」(いぬいとみこ作/瀬川康男絵/理論杜)

 4年生になると、学校を舞台にした本や友達の本もよく読まれています。
「ズッコケ三人組」シリーズ(那須正幹作/前川かずお絵/ポプラ杜)
「ルドノレフとイッパイアッテナ」(斉藤洋作/杉浦範茂絵/講談杜)
「学校ウサギをつかまえろ」(岡田淳作/偕成社)
「放課後の時間割」(岡田淳作/偕成社)
「あらしのよるに」(木村裕一・文/あべ弘絵/講談杜)
「がんぱれヘンリーくん」(クリアリー作/松岡享子訳/学習研究杜)

 5・6年生になると悲しい本・泣ける本・感動する本はないかとよく闘かれます。
「かたあしだちょうのユルフ」(小野木学作/ポプラ杜)
「lOO万回生きたねこ」(佐野洋子作/丸木位里絵/ポプラ杜)
「1000の風1000のチェロ」(いせひでこ作/借成杜)
「赤神と黒神」(松谷みよこ作/丸木位里)
「冒険者たち一ガンバと十五ひきの伸間一」(斉藤惇夫作/藪内正幸画/岩波書店)
「ガラスのうさぎ」(高木敏子作/武部本一郎画/金の星杜)
「彼の手は語りつぐ」(パトリシア・ポッコラ作・絵/あすなろ書房)
「せかいいちうつくしいぼくの村」(小林豊作/ポプラ杜)

 5・6年生なると一人一人直面している問題に向かい合わなけれぱならない事も出てきます。そんな時期だからこそ、このように「戦争」「平和j「環境」など、メッセージ性の強い本も心の申に入っていく様です。
 
 ものがたりの本が中心でしたが、この他子ども達は自然科学の本も大好きです。
 余りにも複雑な今の世の中、多くの本に囲まれ、物質的な豊かさのただ中にいる子ども達、本を手にできる幸福は今はきっと感じることはないでしょう。小学生のこの時期にこうして手渡した一冊一冊の本の、その本の世界に心遊ばせる心地よさを感じて、心豊かになってほしいと願っています。
 私自身、もう40年も前の小学生の時、図書室で先生が読んで下さった『泣いた赤おに』(浜田ひろすけ作)の本が忘れられません。しかし子ども達一人一人に合った本を、と思うのですが、図書指導員として1日4時間週4日の現状では思うようにいきません。忙しい先生方とは接する時間も限られている状況のなかでは
「有償ポランティア・図書指導員」の自分の身分では限界を感じます。先生方から図書の資料提供の依頼カ葦
あっても、その資料の生かされ方も授業の流れも確認しづらく、やはり専門・専任の学校司書として位置づけられる
「人」の必要性を強く感じています。

 先日、2年生の男の子が棚に本を戻しながら、「あーお腹がいっぱいになった感じだ」とうれしそうに言っていました。手にはあの緑色の『エルマーのぼうけん』の本がありました。
                         (町田学校図書館を考える会会員)

集会情報(省略)

笠井英彦著・紹介
 『学びの手引き』 人権の絵本E 大月書店 (共著) 1,800円
 『ぼくらは物語探偵団』 柏書房 (共著) 1,800円

発行人:川真田恭子  メール:Kykwmt@aol.com 

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