多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 2003年 夏(第12号)
 
           いのちの授業と図書館
                          鹿児島国際短期大学部
                            種村エイ子

 私の「いのちの授業(生と死についてブッククトークで語る授業)」は、この3月で丸6年、出かけた学校は14都府県136校になった。住まいが鹿児島市なので、交通費や宿泊を必要とする離島や他県には気軽に出かけるわけにいかない。総合学習の登場でゲストを招く予算のある学校が増えたとはいえ、遠方から講師を招く余裕はない。これまでは、私の出張や講演のついでで授業を行うケースが多かった。たまに、公立図書館が予算を組んで、地域の学校に働きかけて実現した授業もある。生きる力をはぐくむために、図書館や本のもつ力を伝えることも、授業の目的のひとつでもあるので、こういうケースは大歓迎。この4月から、全国の12学級以上の学校に司書教諭の配置がおこなわれる。充て職なので、どれだけのことができるか疑問視する声もあるが、教科や総合学習に図書館を活用する動きは確実にすすむことだろう。とくに学校だけでは実現不可能な取り組みも、強力にバックアップしてくれる公立図書館が存在すれぱ、図書館教育の中心的役割を担う司書教諭にとって、たいへんに心強い。
 私はこの2月に、福岡県小郡市に出かけた。学校図書館との連携に熱心にとりくむ市立図書館が「いのちの授業」を計画してくれたためである。小郡市は、すべての学校図書館にPCが導入され、各学校や市立図書館の蔵書を検索できる。それだけでなく、連絡車が週2回各学校をまわり、希望のあった本を届けている。もちろん、学校には専任、専門の司書がいて、その力量を高めるために全国の第一線の講師を招いて研修に取り組んでいる。訪問した2校の学校図書館は、資料にも家具にもレイアウトにもずいぶん力を注いでいた。
 今回訪問したひとつの味坂小は、あいがもで米づくりをして、そのあいがもを校庭でさばいて食べるところまでやっているそうだ。私の『シリーズいのちの授業 4巻 いのちをささえる』(ポプラ杜)で紹介した鹿児島の川上小と同じく3年目だとか。この小学校は全学年で食と農を総合的学習の中心に据えている。市立図書館も各クラスに出かけて食と農」の本のブヅクトークを行なって支援している。学習がすすむにつれ、味坂小から市立図書館に依頼される本も、「EM菌の効果」「和食・洋食の違いがわかる本」「『楽しい不便』などあいがも農法に触れた本」などが目立っている。
 午後に行った小郡小では、全24学級に月1回お母さんたちが読み聞かせに入っているそうだ。どちらの子どもたちも、話を静かに聞いてくれたし、よく反応してくれた。
 全国的には、学校図書館に常駐する司書がいないところの方が圧倒的に多いが、この春配置される司書教諭は、子どもたちの牛きる力をはぐくむために学校図書館の充実や公立図書館の支援が欠かせないことを学校の内外にアピールする中心的な存在になってほしいと願っている。「いのちの授業」が、少しでもその仕事のお手伝いになれば幸いである。

        国分寺市の学校図書館司書として

                 国分寺市立第四・第七小学校司書 渡辺直子

国分寺市の学校図書館の状況

 国分寺市では、1994年度に小学校1校・中学校に1校、市の嘱託職員として司書が配置されました。95年度に週3日×5時間として小2校・中2校に配置され97年度に全校(小10校・中5校)配置が完了、但し勤務日数は小学校が週2日・中学校が週1日という状況が現在まで続いています。よって司書は、一人で1校あるいは2校・3校(中学校のみ)を掛持つことになります。
 現在7名の司書が各学校で働いていますが、司書同土の情報交換や交流会など連絡を相互に取れる状況になく、今も必要な市内の学校間での資料相互貸借や、選書や利用状況の把握などに対応できません。今後、国分寺市の学校図書館が先生・児童・生徒の学習に十分に寄与し活用されるためには大きな課題であると思います。
 公共図書館との連携は、以前からリサイクノル図書を優先的に学校に回して頂いており、クラス単位で団体貸し出しを受けている学校が多いようです。総合的学習への支援は、事前に市立図書館に資料の貸借をお願いしておけば団体貸出ししてもらえます。

国分寺市の司書の勤務内容

 職名は小中学校図書指導担当とし、勤務日は月曜日から金曜日のうち2日、3日、4日のいずれかになります。(小中学校の勤務校数による)
 勤務時間も9時半〜14時半、10時〜15時、10時半〜15時半、11時〜16時の中から勤務校との相談により決まり、休憩を含み5時間の勤務です。
 任用期間は1年で、4回まで更新可能で最高5年間の任用です。その他は、国分寺市教育委員会嘱託職員の規則に準じます。

国分寺四小について

 四小は、21学級児童数608名の学校です。学区域内の集合住宅増加により平成13年4月に5学級増え、図書費もそれに伴い14年度は130万円ほど頂きました。2教室分の図書室ですが、校舎は古く16年度春に新校舎完成、移転の予定です。
 私は、11年度4月に着任し、蔵書の管理、整理、図書購入の選書などの図書室の運営を図書担当の先生との相談のうえ行います。また、1年生4クラスの図書の時間に読み聞かせと貸出し返却、読書指導をします。
 貸出時間は、月曜日〜金曜日の20分休み・昼休み・図書の時間ですが、私の勤務日は火曜日・金曜日の10時半〜15時半なので、その日以外は先生と図書委員会の当番にすべてお任せしています。貸出冊数は、一人2冊まで、1週間です。

国分寺七小について

 七小は、13学級・児童数約350名程の学校です。近隣に市立本多図書館・公民館があり、児童や先生方の利用も多く恵まれています。この環境の恩恵を受け、14年度の図書費約80万円のうち7割ほどを調べ学習のための資料にあて、要求を満たせない読み物については図書館も利用するよう子ども達に声をかけました。
 11年度4月に着任してから、学習や授業に利用される図書室を少しずつですが実現できるよう意識して選書してきました。出勤日は月・木曜日の9時半〜14時半、1年生2クラス・2年生2クラスの図書の時間での読み聞かせを中心に、養護の先生の「体たんけん」「いのち」の授業で必要な資料をリスト作成、市立図書館の協力で収集・提供をしました。貸出は一人1冊・1週間までですが、朝の読書が定着し1年生から6年生まで図書の時間には毎週図書室が利用されており、本の好きな子が増えてきていると感じられます。

両校共通の取り組みと課題へ

 週2日の勤務で司書としてどのような仕事ができるかは、国分寺の学校司書が皆悩むところです。毎日図書室にいれば、授業で必要な資料を随時探したり、手渡したりできますが、一番役立ちたい場面にいないことがあるのが残念です。それでも、1・2年生の図書の時間には一年間読み聞かせを毎時間するので、図書室利用のガイダンス的なものから始めて、季節や行事、話題の本やニュースなど、子ども達の様子や成長を見ながら読めるので、とても楽しい時間でもあります。読んだ絵本に関連したテーマの本を、ブックトークといえるほどではありませんが紹介すると、子ども達は競って借りたり読んだりしてくれるので、本の楽しさへ導くために大変効果があります。
 また、高学年に「調べ学習のための図書室の利用」のオリエンテーションが必要だと思っていたところ、四小で4・5年生の1クラスずつ、七小で5年生1クラスに1時間頂くことができました。1時間では盛りだくさんでかなり無理がありましたが、小学生のうちに必ず一度は必要だと思っていました。これも私の勤務日・時間に合わせて授業時間を取ってくださる先生方の理解と協カが必須です。
 国分寺の学校図書室には、まだコンピュータが導入されておらず司書の勤務日数も少ないことから、貸出状況の把握、資料の管理、予約制に対して不十分です。今後、司書が授業に情報・資料を提供するという重要な役割を果たすためには、図書主任や司書教諭の先生方とのコミュニケーションを図りながら、学校と公共図書館のネットワークを結ぶという役も重要です。先生方から毎年出されている要望もあるように、小中学校の司書は学校に5日、せめて4日はいる必要があると思います。
 子ども達が本を読んでいる時の輝く目を見ると、いつもそばにいてたくさんの本を渡したいと司書として思へ、そんな図書室を親としても願わずにはいられません。

集会情報

☆第10回アニマシオン公開授業&研究会(代表:岩辺泰吏)☆
はじめようアニマシオン 一冊の本が宝島
池田直樹夫妻による子どもの歌特別コンサート/公開授業/フークショップ
日時:2003年6月21日(土)午前10時から午後3時半(受付開始9時半)
会場:葛飾区立飯塚小学校(葛飾区南水元1−13−1)
参加・資料代:2500円(会員は2000円)
申し込み先:〒422−8033 静岡市登呂6−6−30−5
      メール:hidehikok@yahoo.co.jp
<出版情報>『はじめてのアニマシオン 一冊の本が宝島』柏書房1600円
<HP紹介>岩辺泰吏の「カウントダウンの教師ダイアリー」
      http:■/www5d.biglob.ne.jp/〜manabi/

☆第7回学校図書館を考える全国連絡会☆ ひらこう! 学校図書館
日時  2003年6月28日(土)午前10時40分〜午後4時半
場所  日本図書館協会2F研修室(中央区新川1−11−14)
参加費 500円
間い合わせ先;高橋由紀子(TEL/FAXl 0422-48-3172)

☆第20回子どもの本全国研究集会☆ 生き生きと心はずむことばを子どもたちに
記念講演 「子どものねがいとこどもの本」絵本・童話作家 かこ さとし氏
日時  2003年7月24日(木)・25日(金)午前10時から4時(受付開始9時半)
会場  調布市グリーンホール(東京都調布市小島町2−47−1)
参加費:両日 一般5000円 会員3000円・1日 一般3000円 会員2000円

第5回全国子どもの本と児童文化講座大分別府大会 あすをひらく、子どもと本の出会い
記念講演 「子どもたちへの応援歌 −自作を語る−」 児童文学作家 後藤竜二氏
日時 2003年8月3日(日)〜5日(火)
8月3日 12時30分〜・8月4日 9時〜・8月5日 9時〜
会場:杉乃井ホテル(大分県別府市観海寺1)参加費:一般6000円・会員4000円
1日参加・子ども学園参加・宿泊費などは問い合わせてください
両集会とも 問い合わせ先:
日本子どもの本研究会:東京都練馬区豊玉北4−4−18−105
電話 03−3994−3961 ファックス03−3992−0362
<出版情報>『どの本よもうかな?』中学生版日本編・海外編 金の星杜各2500円

種村エイ子著書 紹介
『「死」を学ぶ子どもたち』 教育資料出版会 1600円
『シリーズいのちの授業』1−5 ポプラ杜 12500円

発行人:川真田恭子  メール:Kykwmt@aol.com 
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