多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 2005年 春(第16号)
 
           
          学校図書館のソクラテス

                       
神奈川県立麻溝台高等学校
                                                 片岡則夫

 「なにをテーマにしますか?」
 「どうやってそのテーマを学ぷのかな?」
 「なぜそのテーマにしたのかな?」

 総合学習や調べ学習のテーマ探しへの手助けを、こんな3つの「問い」からはじめています。
 問われること、それはたいへん厄介なことです。「なにを学ぴたい?」そう問われる子どもたちにしても、ふだんから立派な答えを用意しているわけではありません。
 「自分はいったい何を学びたいのだろう?」多くの子どもたちはそう考えるでしょう。
 「楽なテーマを探して、この時問をやり過ごすことはできないものかなあ」、そんな誘惑だってあるものです。それだけに、テーマを問われて、「ネコ」とか「環境問題」とか、思いつきの単語がぽつんと出てきたりします。
 そこで私は、「ネコの一体なにを学びたいの?」「ネコをどうやって学ぷの?」「どうしてイヌじゃなくてネコを学びたいの?」…そんな風に問うのです。学習の内容(what)や方法(how)や目的や根拠(why)についての吟味が、こうしてはじまります。
 問いの十分な答えを子どもが自分で見つけ出すのは時間のかかる大仕事です。はじめに口にしたテーマが変わることはもちろん、テーマがはっきリするまでに相当の時間を使ってしまうことだってあるでしょう。とはいえ、繰り返して問われ、吟味に耐えようと考えるからこそ、その子だけの個性的なテーマが生まれてくるのだと思います。
 テーマを生み出すための問いによる手助け、そういった役回りをソクラテスと呼んでいます。子どものテーマの「助産役」というわけです。「善く生きる」とはどういうことかを、歴史の中のソクラテスは問いました。はるかに及ぼずともそれに倣って、その子にとって「善く学ぷ」とはどういうことかを、学校図書館のソクラテスは問いたいと思うのです。

 イラスト『クックとタマ次郎の情報大航海術』(リブリオ出版・2002)より<イラスト略>

学校図書館に勤務して

                         調布市立八雲台小学校 学校図書館専門嘱託員
                                                 宮武まゆ子

 く調布市の学校図書館の状況>
 調布市では、2002年度から学校図書館に専門嘱託員の配置が始まり、2003年度、全小中学校(小学校20校、中学校8校)に配置が終了しました。
 これまで週3日X5時間の勤務時間でしたが、2005年度は勤務日数の検討が行われています(週4日勤務の方向で)。私は、2年目の2003年採用です。嘱託員相互の連絡会は年7回、自主勉強会は3回行われました(いずれも2004年度)。連絡会は教育委員会が招集し・勉強会は小中学校に分かれて行っています。嘱託員の配置と同時に図書管理がコンピュタ化され、序々に定着してきた今年度は、学校間の相互貸借も進み、細かい各校の希望にも、学校同士で補えるようなシステムが出来上がってきました。公共図書館からの団体貸出は、学級文庫から移動教窒、教科の調べものまで、年間通じて常にお世話になります。搬送もしていただけるので、「来週からすぐ使いたい」という先生方の要望にも大方応えられます。団体貸出は、学校図書館に無くてはならないものです。
 
 く調布市立八雲台小学校と学校図書館〉
 京王線布田駅の北口に位置し、校舎南を甲州街道が通り、北は往宅街が続いています。近くに野川が流れ、「野川でつかまえた虫の名前を調べに来たの。」と、図鑑を広げる子どもの姿も見られるなど、都市化の中にも自然は豊かです。学校は中規模で、図書館の蔵書数は、約8000冊。毎年夏休みには、国語部の先生方3人と、子どもや先生方からあがったリクエストに沿い、大規模な選書にあたっています。教科に詳しい先生かとの選書は充実し、読み物についても「読ませたい」ものより「これおもしろいよね」という感覚で選書でき、夏休み明けの納品を、子ども共々、皆で楽しみにしています。
 本校学校図書館は、昨年度改修工事が終了した南校含1階の、昇降口近くにあります。新しい図書館は2教室分ほどの広さを持ち、南向きのため暖かく(本には向かない環境)、子どもたちの集まる場所になっています。2003年4月に配置されてからは、プレハブやその後できた新校舎への移転に伴い、掃除や整理に追われ、資料に当たれる時間ができたのは、2004年の現図書館になってからでした。資料が整理されると、日常的に調べもので図書館を訪れる子どもが増え、図書館の資料が学習をバックアップできる体制も、少しずつ整ってきだのではないか、と思います。今年度3年目に入る私は、資料に対する知識不足は否めないのですが、それを補いつつ、日常のカウンター業務やデータから、子どもや先生の二一ズを拾い出し、選書やサービスに役立てることを続けていきたいと考えています。

 <おはなし会立ち上げ〉
 2003年度まで、本校では保護者による読み聞かせボランティアなどは存在せず、子どもと本の関りは、学校任せの状態でした。配置1年目、11月に毎年行われる読書旬間で、たいした協カや活動も出来なかった反省もあり、保護者ボランテイアが行うおはなし会を立ち上げたいと、学校側に要望しました。子どもと本の出会いの場を増やしたいということ、保護者の方が関わって下さることで、子どもと保護者の関心が図書館へ向くのではないか、と考えたからです。国語部と管理職の先生に打診し、活動時間等骨子が決まったのは2004年度になってからでした(毎週金躍日の昼休み20分間。2人で2冊を読む)。実際活動が始まったのは、夏休みが1週間後に迫った7月も後半でした。その月の図書だよりで全児童の保護者に活動への参加を募集し、実際に今、活動に参加して下さっているのは13名の保護者の方々です。ほとんどの方が大勢の前で読み聞かせをした経験はなく、手探りで始めたもので、月1度は交換会を行うこ二とにしました。交換会は自由参加で、自分が担当した日の会の感想や問題点をあげたり、読み聞かせのセミナーに行った人はその報告や、本の紹介等も行っています。さてお客様の様子というと、毎回顔を出してくれる子、少し時間が過ぎてしまっても友達と図書室に駆け込んできておはなしを聞く子、お母さんの手にある絵本を間近で見ようと身を乗り出している子など、毎回会を開くのが楽しみな反応が多い反面、お天気が良い日はたった一人のお客様だったり、はじめたくさんいたのがだんだん減ってしまったりと、毎週行う会だけに、魅カをどう伝えていったら良いか、考えることもしばしばです。しかし、図書の時間や休み時間に「今日おはなし会ある?」「今度はいつ?」と聞いてくる子も増え、ボランテイア活動は「継続はカなり」であり、決して焦って定着するものではないのかも、と思えるようになりました。また嬉しいことに、クラスでおはなし会が始まる動きがいくつかあり、本選びや相談などで図書室を訪れる保護者の方が増えました。これらの活動が無かった頃と現在とでは、子どもの読書をめぐる環境は、変わったのではないでしょうか。

 く変わる学校図書館>
 人が入って図書館が変わったというのは、レイアウトや見た目の環鏡から受ける印象が大きいでしょうが、子どもの読書環覧が少しずつ変わることこそが大きな変化だと思います。おはなし会は、子どもの読書環境を豊かにする一つの活動です。勤務日数、時間に限りがあることは悩みの種ですが、この様な活動を継続し、日常業務を大切にしていきたいと思います。また、自身の反省は山ぽどありますので、それを生かし、日々変わる学校図書館を支えるカになれるよう、努めたいと考えています。

情報(情報)

アニマシオンクラブ月例会(代表:岩辺泰吏)
  4月9日(土) 「メディアを楽しく読み解く 〜コマーシャルと新聞を読み解くアニマシオン〜」笠井英彦 (静岡県中学校)

  5月14日(土) 「いのちの詩」でアニマシオン
  小山公一・海保進一 (暁星小学校)
  会場は暁星小学校・時間は午前・・時から12時30分
  参加費:500円
  会場のわからない人は JR飯田橋東口  9時40分集合です。
  「岩辺泰吏の午後の歩き方」ホームページの紹介
   http://www5d.biglobe.ne.jp/~manabi

日本子どもの本研究会・文化講座
  8月21日(日) 記念講演 那須正幹
  8月22目(月) 分科会・学校図書館
           多摩地区の方が報告します。
  場所:ホテルおかだ(神奈川県・箱根)
  問い合わせ:Tel/Fax 03-3992-0362

『学校図書館のカウンターから2』
 『多摩地区公立小・中学校図書館職員の会・ニュース」の8号から15号までを掲載した冊子です。その他、学校図書館職員が選んだ“今年の3冊”、小中学校の図書館に人を置く運動の流れ、東京都公立小・中学校の図書館職員配置の現状が載っています。1部250円です。送料は180円です。ご購入希望の方は川真田まで、ご連絡ください。
 16号の片岡則夫さんと宮部まゆ子さんのお話しはいかがでしたでしたでしょうか。感想などありましたらお知らせください。

発行人:川真田恭子  メール:Kykwmt@aol.com                                             
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