多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 
 2000年 冬(2号)
 
 学校では文部省の方針で「総合的な学習の時間」が始まりました。総合学習とは、『総合学習の過程をモノと対話し、人と対話し、自分自身と対話する「学び」の実現を目的として組織すること、そして学習の資料や環境を豊富に準備し、「主題、探求、表現」を単位とする単元をていねいに組織することである。』(『授業を変える 学校が変わる』佐藤学ぶ 小学館 2000年8月)です。この総合学習で学校図書館が活発な働きをしています。
 
 Q:プランクトンの載っている本ある?
  −「学芸百科事典」と「イワシの本」を手渡す。
 Q:朝鮮について調べたい。
  −作成していた「朝鮮」についての資料リストを手渡す。
 Q:聴導犬について調べたい。
  −学校図書館にないから公共図書館から借りてくるね。
 
 子ども達に一人、一人に適切な資料を手渡す事が大切です。そして、これを実践するには、公共図書館からの支援に支えられています。学図研・東京では、2000年の夏休みに12市の公共図書館の職員(昭島・国立市・国分寺市・狛江市・多摩市・八王子市・東村山市・日野市・府中市・保谷市・町田市・三鷹市)と、お話をしました。その範囲では公共図書館と学校図書館との理解を一歩前に進めることができたのではないかと思いました。                               (川真田 記)
 

 
子どもたちに読書のよろこびを!! 住民運動の立場から
〜三多摩の学校図書館職員のみなさんへ〜
学校図書館を考える会全国連絡会世話人 板垣葉子
 
 10数年前まで、三多摩の公立小・中学校図書館に、職員はいませんでした。父母、住民、教員の運動が実って、現在、8市にあわせて83人の職員が配置されました。それがみなさんです。子どもの豊かな育ちと、読書のよろこびをと、学校図書館で仕事をしているみなさんが、自主的に研修・交流を重ねておられると聞き大変心強く思っています。
 学校図書館で子どもたちは、想像の翼をひろげ、自然や社会の秘密を解き、生き方を考え成長していきます。こうした大切な役割を持つ学校図書館が、残念ながら日本の教育のなかに、まだしっかりと根付いていないのが現状です。
 三多摩の各市で、学校図書館の運動にとりくんでいる、住民団体は現在14自治体にあります。連絡、交流をはかりつつ、東京都教育委員会へ要望をまとめ、提出し、懇談をしています。
 学校図書館にやってくる、子どもの様子や学校図書館の魅力、仕事を通じて感じた喜びや、仕事を続けていく上での悩み、要望を住民運動団体に語ってください。
 共通理解を深め、連携して学校図書館の充実を求めていこうではありませんか。
 

 
中学校図書館のカウンターから
 
日野市立中学校図書館 田沼恵美子
 
 3年間の小学校図書館勤務を経て、2000年4月に現在の中学校に異動しました。1年生6クラス、2年生5クラス、3年生6クラス、障害児学級1クラス。今の中学校の中では比較的大規模といえます。そこに手作りのトトロやピーターラビット、魔女の宅急便の人形、エルマーの冒険の竜たちを一緒につれてきました。
 前任の方が生徒たちととてもいい関係を作ってがんばってこられたことに、まず気がつきました。最初は生徒たちとなんとなくお互いにはにかむような、そんな時間を持って、やがていい関係をそのまま受け継がせていただいて、そこから私の新しい学校図書館での仕事がスタートしました。
 異動してすぐ気がついたのは、一校時終了後の休み時間から学校図書館の前で、10人以上の生徒たちが開館を待っていることでした。9時半に出勤し、40分には開館です。昼休みは生徒であふれるほどで放課後も部活終了時間までは、2,30人の生徒がテーブルで本を読んだり、おしゃべりしたり、貸出し、返却や予約リクエストでカウンターに集まってにぎやかに利用しています。
 日野の学校図書館に学校司書が配置されて、今年で11年、子どもたちは学校図書館に司書がいるのを当たり前のことと受け止めていると改めて思いました。11年前に私が最初の中学校に勤務し始めたとき、鍵のかかっていた図書館に生徒はなかなか足を向けませんでした。レイアウトや展示、掲示に工夫をこらし、魅力的な空間を作ることに努力しました。いつでも私という司書がいることを生徒にわかってもらうことから、仕事が始まったのを思い出します。と同時に、異動が多く一つの学校での継続が困難だったとはいえ、学校司書がいた11年、そこでがんばった司書仲間の仕事を思います。
 今年度の新しい学校での私の仕事を一部、子どもたちに本を手渡す仕事を中心に書いてみたいと思います。1学期、4月は新入生に向けてのオリエンテーションを1クラスずつ図書館で行いました。オオカミやおばさんにも変身する赤ずきん人形を使って司書の自己紹介をして、ストーリーテリングをします。今年はローベル作「はやくめをだせ」。小学校でかえるくんとがまくんんお本に親しんできた新1年生は「ふたりはいっしょ」を照会するとシッテルウーと声があがります。学校図書館について印刷した案内を渡し、書架の配置を各分類の図書を紹介しながら説明し、貸出し、返却の仕方予約リクエスト、百科事典などの使い方について、大きく使ったカードを使って説明します。最後に「みんなの貸出しカードは全員分作ってあるし、いつでも私がカウンターにいるから、今日から利用してね。待ってますよ。」と声をかけて終わります。早速、その日の昼休みや放課後に1年生が何人かずつ一緒に顔をみせました。
 6月下旬に栄養士さんにお願いして給食の地場野菜で緑のある農家から笹竹をいただき、カウンターの横に置き、七夕をしようよと短冊や折り紙を用意しました。生徒はとても喜んで、さまざまな願い事をかいたり、折り紙で飾りをさげていきました。1学期の終わる頃には、みんなの願いで笹が重そうにしなうほどになりました。私はとてもゴミとして捨てられず、短冊や飾りをとっておきましたが、12月に身障学級でおもちつきをする時に燃やしてもらえることになりました。これでみんなの願いが天に昇っていけますね。
 本に関する新聞記事を切り抜き、「こんな本のニュースがありました」コーナーを作り、関係のある図書を一緒に置きました。「五体不満足」「乙武レポート」の乙武さんに関する記事、「だからあなたも生きぬいて」や「グレートジャーニー」、「ハリーポッター」等々、話題の本が生徒に予約されて待たされています。
 小学校は図書の時間があり、図書館はよく利用されています。中学校には図書の時間はないのですが、我が中学校は先生方がよく授業で利用してくださっています。
 身障学級が不定期に読書の時間を作り、貸出や返却の後で、私の昔話のストーリーテリングや絵本の読み聞かせを楽しんでくれます。でも、他の学年で使われることが多く、「今日はあいてないのです。」とお断りすることまあり、残念です。
 1年生の総合学習が1クラス単位で学校図書館の図書を利用して1,2学期と取り組まれ、今も毎週1クラスずつ6時間の利用があります。学校の図書資料だけでは間に合わないので、市立図書館へ司書が赴き、団体貸出を受けて運びますが、なかなかテーマにぴったりとした資料がなかったり、悩みはつきません。これからますます活発になると思われる学校図書館を使っての総合学習に対して、授業内容へのアンテナを働かせ、資料を把握収集し、生徒の声への対応に心がけていかなくては思います。
 2年生の国語の先生が定期テスト後の1時間を読書の時間として学校図書館を利用しています。その時、生徒に本を手渡すためにストーリーテリングブックトークをしようという話し合いをすることができ、5クラスに向けて始まりました。5月の中間テスト後は「なによりすてきなおくりもの」(「十月のみずうみ」ライラント)を語り、「親子」をテーマのブックトークをしました。7月の期末テスト後は「古家の怪」(スコットランドの昔話)を語り、「幽霊」の本を紹介し、10月はハロウィンにちなんでかぼちゃランタンを作り、「魔女と魔法使い」のブックトークを行い、「名まえ」(ハイチの昔話)を語りました。始める前におはなしのろうそくに火をつけ、おもしろがったりしながら消してくれます。12月は小さなツリーを飾って、クリスマスのテーマにしましょうかと話しあっています。2年生から始まったこの試みが途中から1年生にもひろがってきました。
 3年生の選択授業では社会の地理と歴史、国語の読書が週に1時間ずつ利用されています。社会の時間は司書にこれを調べるんだけどどの本をみたらいいかなとか、声がかかり、一緒に調べます。女子の多い国語の時間はしーんと1時間の読書です。受験生で本を借りて読む余裕がないけれど、この時間に集中して、「ゲド戦記」「クラバート」「ホビットの冒険」「レモネードを作ろう」や森絵都梨木香歩上橋菜穂子荻原規子の作品などを読み通していく生徒が何人か現れました。「次はどの本よもうかな」と聞いてきますので、「それが読めたのなら、次はこれどう?」とストーリーをちょっとだけ紹介して勧めます。今の中学生の活字離れとよくいわれますが、気持ちと時間の余裕があって、ちょうど心にフィットする本にであえれば、本の魅力に気がついていくようです。
 
 日野市小、中学校全校の学校図書館に、私たち学校司書(正確には学校図書館事務嘱託員)が配置されて、11年目に入りました。私は中学校2校、小学校1校勤務を経て、この4月はまた中学校の図書館にもどってきました。11年で4回の異動を経験したことになります。ほぼ3年ごとに、やっと学校に慣れ、蔵書を把握し、子どもたち一人ひとりのニーズに応えられるようになってきたときに、その学校を離れなければなりませんでした。そして新しい学校での新しい人間関係の中で、新たに子どもたちに向かい合って、本を手渡す仕事を一から始めてきました。たくさんの先生方に助けられ、いろいろな子どもたちに出会って本を手渡してきた時間でもありました。
 

 
お知らせ
 
  日野お話の会
 
    日 時:不定期(年に4回)
        日野市の広報、アサヒタウンズに掲載する。(日曜日の2時から)
    場 所:日野市立高幡図書館 2F お話の部屋
    * 田沼恵美子さんのお話が聞けます。
 
  町田語りの手の会
     
    月日と場所:2ヶ月に1度。
          町田市の広報、町田市の公共図書館・公民館に置いてあるチラシで
          知る事ができます。
    * 谷釜房子さん(町田市学校図書館職員)の語りを聞く事ができます。 
    
連絡先:学校図書館を考える全国連絡会代表
    〒181-0012 三鷹市上連雀5−13−31
    п浮eAX 0422-48-3172
    高橋 由紀子  

連絡先:〒186−0011 国立市谷保1348−1
          国立市立第3中学校・図書室 川真田 恭子
          電話:042-576-3638(11:30〜16:30)