多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 
 
 2001年 春(3号)
 
 「朝の読書」は今までよくないという評判があったけれど、学校図書館と密接に連携をとってしている「朝の読書」を紹介します。
 
*** 「朝の読書」と学校図書館の役割 ***
〜学校図書館職員の皆さんへ〜
朝の読書ネットワーク福島代表 庄司 一幸
(福島県石川高校教諭)
 
 「朝の読書」の実践校が4,000校をこえた、全国の1割をこしたという報道がある一方、児童生徒の本離れ歯止めがかかっていません。この原因はどこにあるのでしょうか。「朝の読書」を実践しているが、学校図書館の本の貸出し数が思うように増えていないという話をよく聞きます。
 本校では、(1)図書館の早朝開館(7時20分〜8時40分)、(2)図書委員会の研修旅行で他校の「朝の読書」の見学や図書委員同士「朝の読書」交流、(3)100冊以上の本を読破した生徒の表彰、(4)生徒の自主的な読み聞かせボランティアグループ「エクテ・モア」の活動の支援などを行っています。
 その結果、「朝」の貸出し数が5割をこし、学校図書館の本の貸出し数は「朝の読書」の始まる前の10倍となり、100冊以上の読破者数は18名に達し、1,000冊読破者まであらわれました。そして、本好きの生徒たちが「エクテ・モア」を結成し、地域の公民館や銀行、郡山の書店で定期的にお話し会を開催しています。高校生にもなると、表彰されるからといって競い合って読むなどということはなく、かえって「朝の読書」の推進役となり、地域の子どもたちに本の楽しさを知らせるために活動しています。このように、生徒が主役の「朝の読書」をすすめていくためには、学校図書館の役割が重要で、生徒の読書意欲を高めるために、学校図書館職員の方々と連携を図り、様々な施策を講じていく必要があります。
 「朝の読書」はたかだか10年の実践です。これまで、学校図書館職員のみなさんが取り組んできた実践のノウハウや成果を取り込んでいくことによって、「朝の読書」をより素晴らしい読書活動に発展させていくことができると考えています。「朝の読書」の4原則(@毎日 Aみんなで B好きな本を Cただ読みだけ)は優れた実践マニュアルですが、これに拘泥していると「朝の読書」の主役が生徒であることを見失うことになるのではないでしょうか。私はこれまで読書活動の成果を、「朝の読書」に活かしたいと思っています。その場として、毎夏福島県の石川町で「朝の読書教育研究大会全国大会」(2001年8月20日、21日に開催予定)を開催しています。学校図書館職員のみなさん、是非出席して実践のノウハウや成果を教えていただきたいと思います。学校図書館を核とした「21世紀の学校づくり」のために。
 

多摩地区学校図書館職員の話 その2
 
狛江の小学校図書館司書として
狛江市立狛江第三小学校図書館司書 丸山英子
 
 市民運動が実って、狛江の公立小中学校に人が配置され初めて3年目。今年度で全校(8小学校、4中学校)に配置が完了しました。職名は学校図書館事務臨時職員。応募条件は司書あるいは司書教諭の資格で、学校図書館についての作文も必要でした。勤務時間は1日4時間(小学校8:30〜12:30 中学校12:30から16:30)、週4日(月火・木・金)。今のところ異動や期限の話はありません。市民として、また親として「狛江の学校図書館を考える会」に関わっていた私は、配置2年目に応募し、狛江第三小学校に配属され2年目を迎えています。三小は17クラスで、狛江では2番目に大きな小学校です。
 小学校は図書の時間が毎週一時間あるので、担任の先生に最初の10分ほどいただいて、毎回読み聞かせやブックトーク・パネルシアター・ストーリーテリングなどを行い、動機付けをしています。私が入ったばかりの時は、何を手に取っていいかわからず一時間中書架の前をうろうろしていた子がかなりいましたが、この動機付けによりそんな子どもが激減しました。読み聞かせは低学年だけでなく6年生にも行っていますが、子どもたちも先生もとても楽しみにしてくれています。どのクラスも「先生、今日は何の本?」と言いながら図書室に駆け込んできては、読み聞かせ用のござの最前列を取り合うように座っています。
 読み聞かせやブックトークが終わると、自由に本を読む時間になりますが、私は子どもからの本の問い合わせに答えたり、本探しの手伝いをします。「先生、何かおもしろい本ない?」と聞かれると、「たくさんあるよ」といって子どもと棚をまわりながら、その子の「今」にピッタリくる本を探すため、私の頭はフル回転をはじめます。何が好きなのか、どの程度の読書力か、友達との関係や兄弟のことなど、その子との話に日常の様子を含めて考えながら、何冊かを引き出して選ばせます。「これおもしろい!」と言われると、まさに司書冥利に尽きる感じです。
 図書の時間の対応以外の大きな柱としては、学習のための資料提供があります。先生方からの依頼により、資料を集め提供しますが、自校のみでは足りないので、公共図書館に探しに行き団体貸し出しを受けることがほとんです。また、調べ学習の資料を求めて来る子どもたちへの対応もしています。
 その他にも本の整理や貸し出し数の把握はもちろん、予約制度や図書室展示、としょかんだよりの発行(月1回)、夏休み・読書週間・卒業にあたってのおすすめの本リスト発行や、先生方や保護書の方へ読み聞かせ用の本の提供など、仕事は際限なく広がって行きます。また、居場所のない子の緊急避難場所や悩み相談所になったり、先生方のほっとする場所になったり、本来の目的以外でも学校教育現場の潤滑油のような働きが自然とでてっきています。
 仕事の中で最大の問題はとにかく時間が足りないことです。三小の場合、私の持ち時間よりクラス数が多いため、全クラスの図書の時間に関わることができません。また提供する資料を公共図書館に探しにいくのもすべて時間外です。おたよりやリストの作成も印刷以外は家でせざるをえませんし、先生方との打ち合わせの時間もほとんど取れません。恐らくこれらのことは、全国で働く臨時職の学校司書の共通する悩みでしょう。
 また、総合学習等で学校図書館があちこちで話題にのぼっているようですが、学校司書の役割を学校全体で考えることが必要不可欠です。学校教育の中で司書がどういう働きを担い、どう先生方と連携していくのかがはっきりしないと、調べ学習の対応もうまくまわらないでしょう。
 臨時職員という不安定な身分で日々の仕事に追われながらも、子どもたちと本をつなぎ、先生方をサポートするこの仕事は、私にとってかけがえのないものです。限られた状況の中で、いかによりよい仕事をしていくか、また同時にいかに状況自体を改善させていくか…。課題は山積みで前途多難ですが、それに取り組んで行くのが、学校司書のパイオニア期にあたった我々の使命だと思うのです。 
 狛江の場合、「狛江の学校図書館を考える会」が音頭をとるかたちで、初めから学校司書の連携をもつことができました。全校配置になり、これからは司書独自で連絡会をつくり、ともに支え合い学び合おうとしています。先生方、「狛江の学校図書館を考える会」、公共図書館、教育委員会などあらゆる関係者とのいい関係を作り、連携し、ともに向上していくことを目指して、少しずつ前進していきたと願っています。そして何より、子どもたちのニーズを的確に感じ取る感性を大事にして、日々努力していきたいと思います。
 

お・た・よ・り
東郷 生志 (2001年1月)
 
 私は図書館には大いに助けられて育ったので、図書館がいかに活用されるか、というのは大変大事なことだと思います。特に、時代というものの流れをきちんと見ている大人が図書を選定していることが大事な気がします。良い図書館というのは、「新入荷のコーナーが面白い」んです。田町の図書館はキチンと「クレオールの民話」とか「ビリジッドジョーンズの日記」とか入れてました。お堅いものしかないのはダメです。
 いつの時代も「子供にとって面白いもの」が受け入れられる。本当に力のあるものは子供に受け入れられると思ってます。
 NHKが日曜日の午後6時くらいからやってる「ようこそ先輩」という番組は、そういったことがわかるので、ぜひ一度見てみてください。得るものがたくさんあると思います。こういうのが教育のあるべき姿なのではないかと私は思っています。
 インターネットを活用されていることでも大きな進歩だと思います。頑張ってください。困ったらメールしてください。できるだけお力になりたいと思います。
 私は、何事も人を動かすのは北風ではなく太陽だとこころがけてます。本当に必要なのものは誰も気づかないし大事にされませんが、確実に結果がでます。それは川真田さんたちの地道な活動でも同じことが言えるのではないでしょうか。
 お互い頑張っていきましょう!!   (東郷さんにお断りして、載せました)

お知らせ
 
 <<おすすめの本>>
 『朝の読書 夢ありて 楽し』 著書:庄司一幸
   歴史春秋出版株式会社(пF0242-26-6567) ¥1,600
  「朝の読書」から荒れた学校を変え、生徒を主人公にして、学校と地域との連携を図り、学びの共同体を作りました。今までの「朝の読書」を超えた実践です。是非、読んでください。(川真田 記)
 

連絡先:〒186−0011 国立市谷保1348−1
          国立市立第3中学校・図書室 川真田 恭子
          電話:042-576-3638(11:30〜16:30)