多摩地区公立小・中学校図書館職員の会ニュース
 
 
 2001年 秋(5号)
 
 
親子読書地域文庫全国連絡会代表
日本子どもの本研究会事務局長
                           広瀬 恒子
 
 “夏休み”と言えば、のんびり家で昼寝をしたり気ままなたびの解放感にひたったり、ともかく、自由な時間を楽しんで、暑さをしのぐのが何よりなのだ。
 ところが、私のように子どもの本に関するあれこれの会に入っていると、夏は目白押しの集会シーズン、1年で一番忙しく、ただでさえ暑い時期にますます汗をかく季節になる。
 今年は7月24日の子どもの本研究集会を皮切りに、8月5日まで東京調布、埼玉武蔵嵐山、広島宮島、本郷と各地を歩いてきた。
 私はもっぱら「ようこそ この集いにご参加くださいました」と、旅館の番頭さんの如く、来てくださった方々に頭を下げて歓迎する役目だから集会の中みにじっくり触れたわけではないが、大ざっぱな印象として、いま、ホットな問題は「読書ボランティア」と言えそうだ。
 この2〜3年、子どもの本や読書運動関係の会に、よみきかせボランティア、学校ボランティア、図書館ボランティアといった読書にかかわるボランティアの参加がふえてきている。
 7月下旬の親子読書地域文庫全国連絡会の交流では、読書ボランティアについては問題噴出で、今後への多くの課題が残された。
 ボランティアというのは、元来、自発的意志でおこなう活動なのに、問題を、ややこしくしているのは、行政や地方自治体の推進するボランティア活用策である。地域によっては、自主派と、おかかえ派との摩擦や問題意識のギャップなどから、読書活動を前進させるエネルギーに水をかけるような現象もないではない。
 また、現場の学校の先生の中には、受け入れるのがイヤという声もある。それは、「あの学級は…こうだった」とか、「○○先生のクラスの生徒は…」という一部の心ないボランティアによるおしゃべりの対象とされる不快さがある。
 反対に、よみきかせに学級にいつでも先生は全く無関心で、一切おまかせという場合もあって、「出前」する側と受け入れる側の事前の共通理解がどうしても必要になってくる。
 いま、各地で、ボランティア要請講座が活発になっているが、その中みや、養成後の位置づけに注目していかなければと思う。
 2003年から、文部科学省は司書教諭の発令とボランティアの組み合わせで学校図書館の運営をめざす方針だ。
 学校現場にかかわるボランティアとして学校図書館は専門職員の配置がなければ無理なのだという声を大きくしていくことが、これからのボランティアの重要な役割りかもしれない。
 

 
学校図書館のできること
 
町田市立堺中学校 図書館指導員 川合 裕子
 
T 生徒と公立図書館をむすぶ
 町田市立公立中学校の図書指導員として、3年目を迎えました。町田市は学校図書館整備の点においては、多摩地区の中では設備の面も人の面も後進です。学校数が非常に多い点でも(小学校44校、中学校20校)市の予算の面からは大変だと考えられ、まだまだ模索の域を出ない状態です。
 その中で、公立図書館が総合学習を視野に含め学校図書館とは連携をはかりだしたことは特筆すべきものがあります。
 2001年7月に『あると』『くると』という公立図書館における学校の利用、児童・生徒の利用を考えた冊子を作成したことです。そして、図書指導員研修会、公立図書館見学、教員研修会、校長・教頭会などにおいて利用のアピールをしています。
 これは公立図書館を利用するに際して大変よいもので、学校図書館において図書資料の利用を学習させることでも活躍すると期待します。
 堺中学校でも、従来から『読書のすすめ』として、夏休みにゆっくり読んで欲しい図書を紹介してきましたが、一方で課題を学習するための案内が必要なことを強く感じていました。今年から、公立図書館の利用案内をこの夏休みに向けて学年別に発行しました。
 これは、公立図書館を利用する最低限のモラル・図書の分類に関する最低の知識・資料にあたる前の事前の学習・資料の使い方、整理のしかた・検索機の使い方・レポートのまとめに重要なポイント・レファレンスの利用法に加え、生徒がよく利用する2図書館の蔵書配置図をのせて課題に関係した図書はどこに配置されているかなどを記載しました。
 そして、課題に関係する図書の分類番号と参考にできそうな図書の一覧(公立図書館のデータ)を付記し、利用の指針となるようにしました。
 利用の経験の少ない生徒は、公立図書館に行っても図書を探すことができません。悲しいかなコミックスとビデオ・CDのコーナーしか利用したことがないといいます。また、目的をもって図書館に行く(これこれについて調べる)という行動をおこしたことはないともいます。必要としなかったといえばそれまでですが、年長者に教えてもらうこともなかったのではないかと考えられます。本のさがし方や、迷惑をかけない利用のしかたをくり返し指導していくために、将来、学習や楽しみの場所として一生使う場所=公立図書館をマスターする場として学校図書館が存在できればと考えます。
 『みんながつかう』『みんなのための』公共図書館をライブラリー・サーフィンする楽しさはいちど体験するとやめられない豊かな経験です。
 
☆☆公立図書館は、自分の学校図書館とは違うのだ☆☆
 もっと楽しくて、もっとたくさんの本があり、もっと自由に選択できる図書館なのだ。とわかってほしいです。
 
U 本を楽しむ
 『子どもが本を読まなくなった』と近年言われてきていますが、私自身はそのように考えていません。『おとなが本を読まなくなった』と思います。今、子どもたちの保護者の生活を見ると、テレビ・マンガ・コンピュータゲームとすべて家庭にそろっています。子どもたちは生まれたときから親のその生活を見ています。だとしたらなくなったものは何か。『本』です。家庭は本がない。親の難しい本を手当たり次第読む。父親がなにやら難しい本を読んでいる。母親の読んでいる本は楽しそうだ、姉さんは本を読みながら泣いているぞ。それを目にする機会が家庭から消えていっています。参考書と問題集は買ってくれる、週刊誌は毎週家にある、でもベストセラーと呼ばれている本を含めて字がたくさん並んでいる本(文学書や学術書)が、家の中にたくさん転がっている家庭は少ないと思います。別にそんなもの読まなくても世の中渡っていけるもの。めんどうだしね。ゲームやテレビの方が何時間でも時間がつぶせるし…。この状態で子どもの読書離れを嘆いてはいけない。だって時間が足りないでしょう。その上に子どもは勉強・勉強といわれ、塾や家庭教師に追われているのです。本を楽しむ時間なんてわずかなものです。
 その生活を10年近く続けてきて、さあ本を読めと言われても大変です。何を読んだらいいのか、この本にはどんな楽しいことが書いてあるのかわからないのです。生活経験も少ないし、自分が特別に何かに興味を持っているということもなく、学校と家を行ったり来たりだけだったら、ファンタジーや冒険小説のどこがおもしろいのかわからないのです。
 本を楽しむにはワクワク・ドキドキがあって、エ〜っ?!・ウソ〜っ!?とならないと続きません。この気持ちになるまでには、その本の十分の一くらいまでよみ進まなければなりません。字を読みなれていない生徒にとってはここで挫折の道をたどってしまうのです。
 そこで、学校図書館ではブックトークをしたり、簡単にあらすじを紹介したりします。また「涙・涙の物語だよ」「とにかく笑える本だよ」「あなたの趣味にピッタリかも」などと一言添えて、『あなたのために選んだ本』といって手渡しています。
 そして、読書傾向がすでに固定してしまった生徒にも、ひと味チガウおいしさの本を紹介します。気持ちを話す生徒には「今のあなたとよく似てるかも」「こんな考えをする話もあるよ」といったぐあいに紹介します。
 そのために、学校図書簡易ある本・新刊書・書評に出た本・他から紹介された本など、とにかく目を通し把握する必要にせまられています。一方で総合学習に利用できる本、さまざまな分野でこれはと思われる本にも触手を伸ばし、蓄積しておかなければなりません。
 それでも、保護者会などで、「ウチの子が本を読んで、私にその話をしてくれる」「私も子どもの机の上から学校図書館の本を手にとって読んでしまった」という声が聞こえてくると、こころがハズんでくるのです。
 本を楽しむようになれば、どんどん読みたくなる。そしてまた楽しむことができる。ずっと続いていきます。児童図書といわれる本はおとなが読んでも大変楽しいものです。そして考えさせられる本もたくさんあります。子供と語り合いたくなる本もあふれています。
 学校図書館の本を家族で楽しむようになれればと、指導員として願っています。
                      

 お知らせ
(一部省略)
≪子どもゆめ基金助成活動対象事業≫
 第3回読書コミュニティフォーラム
        〜学校図書館と公共図書館の連携を考える〜
  朝の読書ネットワーク福島読書コミュニティフォーラム東京実行委員会
  日時:2001年11月18日(日)
     10時〜15時30分
  場所:中央工学校創立85周年記念館STEP
     北区王子本町1−26−17 (JR・南北線王子駅下車徒歩5分)
  内容:講演 竹内 セ(日本図書館協会理事長)
     パネルディスカッション
     教師:庄司一幸
     図書館司書:内藤・きたむら
     学校司書:丸山・川真田 司会:板垣
     参加費 1,000円 
  問い合わせ:川真田  п彦AX 0426-35-6527
             e-mail Kykwmt@aol.com
 
国立市学校図書館を考える会 (国立市公民館にて)
  日時:2001年10月20日(土) 14時〜16時
  講師:広瀬恒子
  実践報告:国立市学校図書館職員
 

資料の紹介
 
 『ず・ぼん』F 図書館とメディアの本
  −学校と図書館−
   ポット出版 1,800円+税
 
 『学校図書館と公共図書館の連携を考える−三多摩地区公立図書館調査報告−』
   川真田 恭子 歴史春秋社 420円
  (ご購入は川真田へ連絡をお願いします)

 
【多摩地区公立小・中学校図書館職員の会】
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  連絡先:川真田 恭子
      п彦AX 0426-35-6527/e-mail Kykwmt@aol.com