?  公共図書館と学校図書館の連携を考える ?
 
 三多摩地区の自治体の公共図書館調査報告 その3
川真田 恭子(国立市立第三中学校司書)
 
                           
三鷹図書館      
             面接日:8月18日(金)
             面接時間:14時00分〜15時30分
 
 三鷹市の公共図書館は本館と4つの分館と移動図書館1台があります。昭和42年(1967)に学級文庫の貸出しを始め、49年(1968)に地域文庫の貸出しを始めています。本館にはヤングアダルトコーナーがあり、中・高生を対象にした資料が充実しています。平成3年(1991)には個人貸出しの登録が出来る者の範囲を隣接市区(武蔵野市・調布市・小金井市・世田谷区・杉並区・田無市・保谷市)に住居、通勤、通学する人まで広げています。他市の登録者数は、武蔵野市と調布市が1000人以上を越えて多いです。
 貸出し図書内訳は、一般書、児童書、絵本・紙芝居、雑誌と分けています。児童書、絵本・紙芝居をあわせると、1番が下連雀図書館の42.9%、2番が移動図書館の41.6%で、小さい子どもは身近に図書館があるのがよいことがわかります。
 三鷹市は13の文庫があり、文庫活動が活発です。公共図書館が文庫への助成をしています。公共図書館の予算で、三鷹市文庫連絡会への補助金を120,000円しています。年1回の希望図書を文庫から提供して購入しています。月1回、公共図書館で文庫連絡定例会をしています。図書館協議会は12人いますが、そのうちの2人に、文庫の世話人の人が入っています。平成10年度には14の文庫連講習会をしています。この講習会の他に、地域文庫学習会も行っています。
 平成10年(1998)度の事業の報告の中に、学校図書館との連携・学校訪問の実施があります。「学校図書館との連携では、学校図書館に司書の配置されるなど、学校図書館の整備が進むなかで、授業に使う図書の照会などがふえています。こうしたなか、小学校に図書情報として新着本リストを隔月に配布しています。また、小学校に児童図書634冊を移管し、学校図書館資料の充実のための援助を行いました。なお、夏休みの推薦図書を冊子にして、小学校全児童に配布しました。
 学校訪問の実施では、学校活動の一環として取り入れていただきまして、小学校3年生を対象に、図書館の利用案内や読書の動機づけ指導を、小学校15校全校で実施しました。
 平成11年(1999)度図書館事業計画の重点目標のなかの一つに、関係施設との相互協力の推進とあり、コミュニティ・センター図書室、学校図書館等の関連施設との連携について、その具体的な方策を検討する」とあります。
 三鷹市の学校司書の配置は1994年に三鷹の学校図書館を考える会が「小・中学校の学校図書館に専任の学校司書の配置」請願が、市議会で満場一致で可決・採択され、1995年から、2校に学校司書が配置され、現在13校に配置されています。2002年度には22校全校配置される予定です。学校に学校司書が配置される前に、2,500万円の予算がつき、図書館の改装、パソコン、図書を購入し、整備します。市民からの要望で文部省から学校図書館情報化活性推進モデル地域の指定を受けた。文部省から1,300万円のお金が出た。7校をネット化した。1999年から2000年にかけて、学校図書館を学校の学習情報センターの中心に据えるという考えに基づいた校内ネットワーク化及び市の公立図書館とのネットワーク化を目指した時期で、対象校の職員室及びコンピュータ室、学校図書館が校内LANで結ばれ、LAN環境のどこからでもインターネットを利用した調べ学習が可能となった。学校図書館システムも市の教育センターで蔵書データベースの情報を一括管理し、各学校でそれらの情報を共有できるシステムとなった。これは、1994年に作成された「求められる学校図書館としてのインフラ」に基づいて行われている。指導主事のOさんの話では、「三鷹市は公共図書館より学校図書館の方が早い。学校図書館から市公共図書館の蔵書を見ることが出来る。」そして、これからの学校図書館のあり方については、「@学校の知的財産の地域への開放の視点、A市全体の図書館のあり方の見直し、Bキーワードは図書館の情報化と調べ学習の拠点センターとしての機能の充実」とのことでした。
 学校施設の開放で、第3中学校が第2・4土曜日に、閲覧のみということで、学区内の小中学生に開放しています。現状は、来る人がいない。第3中学校の生徒は制服で行かなければなりません。
 面接をしていただいたIさんは、行政職の方です。Iさんの話は、「学校図書館は学校図書館で自助努力をしてもらって、足りない分を公共図書館が補う考えである。組織でなっているので、資料も足りない、研修もやってくれ、それは学校教育と公共図書館は違うので学校図書館のなかでやるということだ。ノウハウはこちらから教えてもいいですよ。要望や不満がこちらにくるのではなくて、全部教育委員会に行くことだ。学校司書から教頭から校長ということでやることだ。」そして、学校訪問の説明でIさんは「最初、公共図書館が地域文庫へ本の貸出しをして、読み聞かせなどをしていた。それをしている地域の人が学校でやってみたいと言った。それを聞いて公共図書館の方で職員がやろうということになった。地域文庫の人がうるさいの。」ということでした。地域文庫の人の話では、私たちがやろうとした事を公共図書館の人たちがやったとの事でした。
 団体貸出しは、小学校の学級文庫、地域文庫、保育園、学童クラブにしています。学級文庫へは1クラス40冊貸しています。学校へ貸出すのは200冊です。今年度は、団体貸出し資料は10%の削減です。団体貸出し資料がいっぱいで置き場がない。運搬については、借りに来る人にしてもらう。学校司書が自転車に飛び乗って近くの公共図書館にでかけてくることもある。物流システムはない。
 三鷹市小学校教育研究会に図書部会があり、教師と文庫連と図書館職員が年1回集まり意見交換している。平成2年(1990)に交流会をもち、その交流会で理解ある学校司書が参加しました。学校司書の間では2ヶ月に1回、交流会を持ち情報交換しています。市民がつくる公共図書館の会はない。
 Iさんは、「組織」という言葉を何回も、おっしゃいました。私が帰ろうと、部屋を出ようとした時、「校長会が大変なの。」と一言おっしゃいました。Iさんの考えは、公共図書館と学校図書館とではその目的を異にするという考えである。私は、現在の日本の子ども達の現状を考えると、公共図書館に来る子も地域の子、学校に来る子も地域の子です、共に地域の子として考えなければ、子ども達の環境を良くする事はできないと思います。そして、調べ学習・情報と同じように読書の楽しみも考えていかなければなりません。三鷹市の活発な文庫活動を見ませんでしたが、年齢の高い子どもは部活などで、特に、平日は公共図書館に行く機会がないので、学校図書館には両方の資料が必要です。活字離れといわれますが、豊富な資料と多様なきっかけが子ども達に必要です。
 
 くにたち中央図書館と中学校図書館
 
 公共図書館と学校図書館のとりまく状況を記します
 国立市は人口約7万1千人の市で、市民活動が活発な市です。JR国立駅から南へのびる大通りには、一橋大学など、学校が多く文教都市です。現在の市長は革新系で女性です。
 国立市は昔から公民館活動で有名です。その公民館にも図書室があります。嵐山光三郎が「女性が元気なまち」といっているように、性差別の本、男女参画の本が揃っています。くにたち公民館便りには、『図書室活動は「市民の本棚」としてばかりでなく、図書を通じて学ぶ事業も行われており、共同で読むこと、共同性をそだてることがめざされています。』と書かれています。
 市には公立小学校8校、中学校3校がありますが、現在、中学校3校に学校図書館職員が配置されていますが、小学校8校には配置されていません。学校図書館職員が置かれた経緯は、「学校図書館業務委託制度」(臨時的な学校司書制度のこと)はP連、教職員組合の要求事項でありました。そして、議員による議会での質問、「くにたちの学校図書館を考える会」の活動の結果で配置されました。1995年度に1校、1996年度には全3校に配置になりました。
 
 PTAと学校図書館
 
 現在のP連(国立市公立小・中学校PTA連絡臨議会)活動は、懇談会(教育委員、民生児童委員、校長先生、先生)、環境づくり(道路問題、子どもの帰宅時間を呼びかける「ひと声運動」、不健全図書児童販売機撤去のお願い、安全な通学路の確保)、教育委員会の傍聴、学習会(教育予算、学級編成、性)、給食の充実、後援活動、共済活動、家庭教育学習会等多岐にわたり、しっかりした活動を行なっています。P連はこの報告を基に行動を決めます。
 99年5月に発行になった「P連だより」によると、教委に対する12の要望事項の中に、学校図書館の充実と図書司書配置について書いてあります。この要望は市議会議員全員に配置し、バックアップをお願いしています。活動報告によると、学校教育環境の充実について教育委員会事務局との懇談会報告が書かれています。その報告には、『昨年に引き続き「図書司書の配置」と「図書購入費」についての2点を要望しました。それに対する教育委員会の回答は、「図書司書については学校図書館法の改正により2003年4月より図書司書の資格を持つ教諭が各校に配置されます。それまでの間、専任の図書司書の配置は考えていません」。また、図書購入費は、一昨年で(国の予算上の五年間の特別措置が終了し、今年度は、地方交付税による図書費の予算化を要望しましたが、「地方交付税による図書費への反映は考えていません」ということでした。心の教育の大切さが見直されている今日、子どもたちの心を豊かに育っていくためにも、学校図書館の充実と、早急に小学校にも図書司書を配置する必要性を強く感じます』とあります。
 国立市の公共図書館は、中央図書館、北市民プラザと5つの分室があります。分室は1週間に2日の開館で、時間は2時から5時までです。P連の懇談会報告の中に各地域の図書館施設の充実について、『子どもたちが本に親しむためには、身近な地域の図書館施設の充実が必要ではないでしょうか。学校週5日制が月2回実施されています。しかし、子どものたちや多くの市民にとって、その受け皿となる開かれた施設の利用はまだ十分とはいえないのが現状のようです。子どもたちにとって1番身近な地域にある分室の施設は十分とはいえず、各分室の開室日は週二日で、午後2時から5時まで3時間のみの開室です。子どもたちの本離れを防ぎ、いつでも・だれでも・どこでも気軽に利用できる地域の図書館施設の充実が望まれます。そのために、分室の開室日の増加と開室時間の延長を要望しました。回答としては「現在ある各分室の広さは30平方メートル〜40平方メートルで本の収容も5千冊が限度です。また各分室の貸出し冊数は現状の傾向にあります。図書館としては、むしろ中央図書館の充実と北市民プラザ図書館の拡大、そして南市民プラザ分室としての機能できるように努力することが大切であると考えています」とあります。
 団体貸出しについては、小学校・中学校・保育園にしていて、希望があるところにはどこでもしますとのことです。団体貸出し用の予算はありません。そのため、新刊は入らないので資料が古くなります。基本的に一般図書からは借りられません。児童書の複本があるものです。期限は3ヶ月で上限は200冊です。この他、お話会のサービスをしています。新刊は貸出しをしません。
 
 市立図書館と学校図書館
 
 小学校には学校図書館職員が配置されていません。小学校へは、公共図書館から毎年、年度始めに団体貸出しとお話会の希望を聞き、学校からの返事で、1年から6年間での希望クラスへ、1クラス75冊貸出しをしています。毎年5月、6月に公共図書館の車で、1校に24箱配送します。1年間各クラスへ置いてあります。クラスごとの本の交換はよいことにしています。選定は公共図書館職員がします。中学校へは96年度は、学校図書館職員が3人で各自テーマを決めて本を借りてきて、3校でその本を回していたそうです。1997年から、私の学校では、1年に2回、1回200冊を私がお願いし選定して借りています。期限は3ヶ月です。図書館側で予約の入った本は、3ヶ月間、延長して借りる事が出来ます。運搬は、公共図書館職員の方が公共図書館の車で学校へ届けてくれます。この団体貸出しの返却時にも、車で学校まで取りに来てくれます。その他、教育課程や「読書の楽しみ」で、多い時は10冊位別に借りますが、ころは私がバッグに入れて歩いて運びます。返却は駅のところにある図書館の「本のポスト」へ返却でき、便利に利用しています。学校の学芸発表時の演劇の脚本は、都立図書館から借りてくださいました。他館との連携の統計をみると、1987年から比べると1998年には他館からの借用資料数は都立図書館が1.5倍増え、他市からは58倍に増えています。他館への貸出しは0冊だったのが、170冊になっています。学校図書館で、今までに、子ども達から親の伝言で、「鉄道員」「五体不満足」「沈まぬ太陽」を、公共図書館での待ちが28人とか36人で多く待たされるせいか、学校で貸出しをしています。資料交流での連携が大切で、今後考えていかなければならないことがわかりました。これらの連絡のため、公共図書館員のIさんとMさんには、お招きして学校図書館の見学をしていただいています。
 今年度の公共図書館の資料費削減はありません。「子ども読書年」で、100万円予算がつきました。
 1998年度から1年に1回取次ぎ書店で本を購入する時、三人の学校図書館員がさそわれています。今年度は公共図書館と学校図書館との書店が同じであったため、誘われて、都合のつけられた私が一緒に参加する事が出来ました。また、1年に2回、公共図書館職員と学校図書館職員が公共図書館の休館日(非公開日のこと)に公共図書館で2時間ぐらいの研修をしています。今までに4回しています。これは、私がIさんに日時の都合を聞き、市教委の庶務課の人に研修日時を連絡し、庶務課の人からIさんに連絡をしていたかくのと、3校の学校長へ文書で研修日時の連絡をしていただき、実施されます。内容については学校図書館員3人で相談して、図書館員の人から話をきいています。4回目の時は市教委へ研修報告を文書で提出しています。このことは、公共図書館と学校図書館の現状を知ること、人の交流によりお互いの理解ができ、選定などのお話を伺い、勉強する会となっています。
 小学校へのお話会のサービスは地域の「国立のお話の会」の人が2人で学校へ行き、授業時間で、語りと読み聞かせをしています。この会は年間130クラスで行っています。同じクラスには、学期に3回します。最初は、図書館職員が行きますが、その後は「国立のお話の会」の人だけで行きます。二つの小学校には、別な地域のお話の会の人が独自に入っています。
 学校図書館へは、教育委員会・市民・議員が見学に来ています。市議会では学校図書館の充実について討議しています。1999年度には、超党派で岡谷市の学校図書館を視察に行っています。
 学校図書館職員のAさんはPTAから話があり、PTAの会でブックトークの実践をしたり、図書館職員のIさんを招いて本のお話をしていただいたりしています。
 1997年の9月から、私は学校の職員会議に参加しています。漫画の選定、資料の種類を増やす(雑誌・新聞)、資料不足、公共図書館の団体貸出し、学校図書館と公共図書館の利用指導について話をしています。この会議に参加して、早く学校現場を把握することができました。
 市民の会の「くにたちの学校図書館を考える会」に、学校図書館職員も参加しています。また、市立図書館の図書館協議会は12人からなり、2年の任期で2ヶ月に一回会議をしています。第13回期から学校図書館職員が一人、この委員になりました。第11期図書館協議会報告の児童サービスのところで、「児童図書については、中学生・高校生向けの資料のふるさと少なさが目につきます。現在、この世代の子どもたちに、ぜひ、心の栄養となるよい本を数を多く読んでほしいものです。そのためには、読みたい本、手にとってみたい本がそろっている魅力的な図書館でなければなりません。」とあります。
 学校教育で「総合的な学習」が始まり、公共図書館と学校図書館の連携を公共図書館職員と学校図書館職員で話をして連携のあり方を模索しています。公共図書館の人が「まずは、学校図書館の充実でしょ。」と言われ、私が「応援してね!」というと、「応援していますよ」と返ってきました。このようなことが話せるのは、日頃、率直に友達感覚で話している学校図書館の窓口になっているIさんがいること、研修会があること、書店へ行くなどの人の交流があって、実現していることだと考えます。
 一人職場である学校図書館にいる私にとって、公共図書館の職員の援助は心的にも、図書館業務の運営にも、専門性を高めるためにも心強く、学校教育のなかで図書館活動が実践できています。学校教育に学校図書館が不可欠であることが、公共図書館の支援があって、教育現場で具体化し、実践が可能になっています。
 国立市は私の勤務地で、日頃、図書館のIさんと話しているので、特別に面接日を設定せずに、今までのお話と経過に基づいて国立市立図書館について書きました。  つづく
(学図研・東京支部 2000年12月NEWS GAKU-TO-KENより転載)