ひののとしょかんを考える会通信 第4号

2002年3月25日発行

& としょかんと私 &
 
                           原 ヒナ子(多摩平在住)
 
 41年前、多摩平に越して来ました。近くの桑畑と未舗装の道から舞い上がる土ぼこりは、時として隣家も霞む程のすごさでした。まだ分譲地も団地もばつぼつ建ち始めていた頃です。文化果つる処の感がして、心細かったのを思い出します。それから何年かして、「ぼくのおじさん」のメロディーにのってひまわり号がやって来ました。音楽が聞こえる前から、子供達は公園横の駐車場へ目を輝かしてやって来ます。我が家の子供達も、鳥や昆虫の図鑑など借りて来ては、いそいそとその日一日で読破?その頃の私は芝木好子、円地文子と女流作家のものを借りまくっていたようです。おかげで毎晩おそい主の帰りも苦にならなかったのです。
 そして中央図書館の開館!開架式の明るい図書館に足を踏み入れた時の幸せ感は忘れられません。大きなガラス窓、そこから見える緑の木々、このたたずまいは大好きでした。
 レファレンス室での調べものも、戦時下に女学生時代を送った私には、アカデミックな場所に身を置いていると云うただそれだけで単純に嬉しかったのです。
 後、何年かして、図書館迄出掛けて行けなくなったらパソコンでデータ検索をして、本を届けて貰う、そんな夢のような事は、実現しないでしょうけれど、又、あの音楽にのって“ひまわり号”が廻って来て…なんて想像して見るのも楽しい事です。
 今都内のあちこちの図書館で、予算の削られるのは当たり前、存続の危機すら伝えられて来ています。あの40年前の文化果つる処と云う思いを、図書館がどんなに勇気づけ心豊かにして呉れたか、私達の心のオアシスは永遠に、こんこんと水の溢れる緑の場所であって欲しいのです。   
                
 

       〜町田市立図書館の場合〜』の報告
 
 
 2001年8月30日、「図書館の会」主催の学習会がルネ小平で行われました。私は一昨年、図書館設置条例の一部改正の動きに関わって以来、図書館のあり方をめぐって学習を深めたいと思っていた矢先に久保田さんに誘われ、日野からは2人で参加しました。
当日は上記のタイトルで、町田市立図書館の副館長、手嶋孝典さんのお話を伺いました。以下にレジュメに基づいて報告します。
 
1.町田市立図書館の奉仕理念
 
(1)中央図書館建設計画当時の理念
 「町田市立図書館は、市民に資料及び施設を提供することによって市民の学習する権利を保障し、さらに市民の自治意識の形成や地域教育力の向上に役立ち、広く市民文化の発展に寄与することを目的として運営される。」(1986年)
 
(2)現在検討中の奉仕理念
 町田市立図書館は、「いつでも、どこでも、だれでも」利用できる図書館を目指し、「町田市立図書館整備計画」で、以下の理念を掲げる。(検討中)
@市民生活とまちづくりに役立つ図書館
A市民とともに成長する図書館
B市民に信頼される図書館
C明日を担う子どもたちを育む図書館
 
 
 
 
2.町田市立図書館のサービス (検討中)
 
D資料の提供
E情報の提供
F町田市に関する資料・情報の提供(地域資料)
G施設の提供
H集会事業
I対外サービス(地域文庫、読書会、学校等への支援)
J図書館利用が困難な人々へのサービス(傷害を持つ人々、病院の入院患者、外国人)
 
3.中央図書館の機能とサービス
 
@地域図書館としての機能
A地域図書館を越えるサービスを提供する機能
B地域図書館との連絡調整機能
C町田市立図書館以外の図書館との連絡協力機能
 
4.職員の問題
 
 図書館の問題は、かなりの部分職員によるところが大きい。人材の豊かさが必要である。中央図書館だけでなく、地域図書館こそ人材が必要である。そのためにもきちんと研修の場を保障していくことが大事である。定期的な館内異動を行い、図書館の仕事全体を理解してもらうようにしている。将来図書館のリーダーになりそうな人材については、移動図書館を持つ地域図書館を経験させたいと考えている。
 「館長は、館務を掌理し、所属職員を監督して、図書館奉仕の機能の達成に務めなければならない。」(図書館法13条第2項)「館長は、図書館の管理運営に必要な知識・経験を有し、図書館の役割及び任務を自覚して、図書館機能を十分発揮させられるよう不断に務めるものとする。」「館長となる者は、司書となる資格を有するものが望ましい。」(公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準)
 専門職制度については、図書館サービスの充実・向上を図るうえでも、住民の高度で多様な要求に適切に応えていくためにも職員の専門性は大事なことである。しかし一方で、人件費削減のため非常勤職員、臨時職員が目立つ。
 
5.後の図書館のあり方
 
・図書館の基本的な役割である資料、情報提供の機能は、どのように変化するのか。
・予約、リクエストサービスは、どのようになるのか。
・地域電子図書館構想とは?
・職員の資質
・施設
・資料費を含む予算
・「無料の原則」は、どうなるのか。
 
6.図書館作り運動の展望
 
 今後の課題は山積みされている。自治体の財政危機、職員増員の困難な状況等々。図書館に何を求めるかは、利用者・住民が決定すべきことである。図書館協議会の活用も大事である。地域の状況を踏まえ、利用者の声を十分に反映した図書館の運営がなされなければならない。(文責 神田)
  
講演会「市民と図書館−町田市立図書館の実践−」
 
講 師 手嶋孝典氏(町田市立図書館副館長)
内 容 不安な社会情勢の中、図書館を取り巻く環境も大変厳しいものがあります。私たち市民にとって図書館とは?町田市立図書館の実践から学び、日野市の図書館のこれからを考えてみませんか。
日 時 4月21日(日曜日) 13時15分〜 受付開始
13時30分〜15時30分 講演及び質疑応答
場 所 日野市生活・保健センター2階講座室
資料代 200円
 

 
 
 日時:2002年2月28日 
    午後1時30分〜4時30分
 場所:ルネ小平(小平市)
 
 多摩地区の図書館に関わりながら活動している市民の自主的な集まりである「図書館の会」の定例会が開かれた。多摩6市と杉並区からもひとり参加して、各地区の活動報告・会の今後の運営について話し合われ、そのあと山口先生から「都立多摩図書館の問題」の現状報告があった。
 都立多摩図書館問題については、地域によって格差があり、調布市では図書館長自身が怒って市長や議会に働き掛け、また職員のバックアップもしていると報告。小平では文庫連も図書館自体もあまり動かないとのこと。多摩市は文庫連で陳情書を提出。東久留米市は文教委員会の方から都に意見書を出した。日野市も「図書館を考える会」で陳情書を提出し採択されるなど、それぞれの地区でも動いているが、現状は情報公開がなされず、トップダウンでことが運ばれていくなど悲観的意見が多かった。
 また市民と図書館員と協力し合いながら取りくんでいかなければならない運動でありながら、市民がどういう立場で関わればいいのか位置づけがはっきりしないという意見が出た。図書館を取り巻く厳しい現状の中で現実に形として表われた都立多摩図書館問題は、まだほんの序の口で、今後もいろいろ出てくる息の長い運動と私は見ているが、そうなるとこれからの運動の進め方をどうするか問われていくと思う。
 そのほか学校図書館司書の話も出た。増やされる地区、減らされる地区など自治体事情の格差もあり、真剣に考えれば考えるほど前途多難な気がした。(文責 久保田記)
 
 

 
 
 昨年の6月30日(土)午後、会員6名で、日野市立中央図書館を見学してきました。会員と館長との初めての顔合わせということで、まず、参加者各自から日頃利用している図書館についての印象などを述べた後、先日明星大学で行われた小川館長の基調講演の感想、資料費削減の問題、新しい分館構想(公団多摩平団地建て替えに伴う新多摩平図書館開設)、今後の図書館の方向性等について意見を交えました。その後、日頃なかなか目にすることのできない図書館内部をひととおり案内してもらいました。利用者の生の声を伝え、また図書館側の考え方をも直接聞くことができるこうした機会をこれからも積極的に設けていくことの必要性を強く感じました。
 

 
 
 都立多摩図書館(立川市錦町)は1987年の開館以来、三多摩の市町村立図書館のバックアップ図書館(図書館の図書館とも言います)として、市町村立図書館で所蔵していない資料(図書・雑誌)を貸出してくれる「協力貸出」や市町村立図書館では解決できなかったレファレンスについて応えてくれる「協力レファレンス」など、全国の県立図書館に先駆け、特徴あるサービスを精力的に展開してきましたが、この度の都立図書館再編計画により大きく変わろうとしています。
 計画では、これまでの地域分担制から、都立中央図書館を中央館、都立日比谷と都立多摩図書館を一分館とし、都立多摩図書館は今後、文学(といっても小説類に限り全集や研究書は中央図書館で所蔵)と児童・青少年資料(都立日比谷図書館から移管)、多摩行政郷土資料、新聞・雑誌を所蔵する図書館に改めるといいます。
 また、都立日比谷図書館の児童・青少年資料を多摩図書館に移管するため、都立中央図書館と重複する、14万冊を2001年度内に処分するというのです(これは先駆けで今後都立多摩図書館の70万冊近い資料が処分の対象となるのです)。
 これまで都立図書館が2冊持っていてくれたおかげで、市町村立図書館を通じて利用できていたものが、今後はそうはいかなくなることは必至です。
 これまでより取り寄せまでに時間がかかったり、区部の利用者との競合が起きることも予想されれます。 また、一般の資料が消えることで、必要ならば都立中央図書館まで直接出向かなければならなくなることも多くなるでしょう。
 行政郷土資料についても多摩地域資料のみと言います。私たちの生活を取りまく問題は都全体の資料があってはじめて解決するのではないでしょうか。全く名ばかりの機能分担ではありませんか。
 都立多摩図書館設立時のような市町村立図書館との協議など一切なく進められたこのような計画に対し、市町村立図書館の職員や市民から反対の声が上がっています。当会も市議会に対しこの再編計画の見直しを求める陳情を提出、議会はこれを受け、都知事宛に意見書を提出してくれました。他の自治体でも議員はもとより各種の団体から議会に対し請願・陳情等が提出され採択されています。
 都議会に対しても2団体から請願が提出され、2月の文教委員会で審議されましたが、私たちの思いとは裏腹に結果は保留という結果となりました。議会は、14万冊という本が散逸してしまうことが利用者にどれだけ影響を及ぼすかを正しく判断できなかったようです。
 2月末に都立多摩図書館は再活用の名の下に10万冊近い本の処分を断行しました。このままでは残された資料についても同じように処分してしまうことでしょう。
 今回の都立図書館の政策判断には利用者である都民の意見が全く反映されていません。今こそ利用者である私たち都民から大きな声で異議を唱えようではありませんか。
 
 

 
☆この通信は点訳版もあります。ご希望の方は事務局までお申し出下さい。
三多摩図書館研究所のホームページ(http://www.hinocatv.ne.jp./~je1hyg/)の関係団体情報コーナーに、「日野の図書館を考える会」のページが掲載されています。
 
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