Library Friends 日野 第8号
2006年3月27日
も く じ
としょかんと私

☆ 通信内で使用させていただいたカットは、堀田敦子さんと大山菜々子さんの作品です。
 ご協力ありがとうございました。
 
& としょかんと私 bU &
阿部大介(新町在住)
 初めて図書館を使ったのは小学3、4年生の頃だったと思う。自転車に乗っていった日野図書館で、那幹須正のズッコケ三人組シリーズをよく借りた。ただ中学に入るとあまり利用はしなくなったと思う。
 その後、高校生の時のレポートを作るのに参考文献が必要になったときに、図書館をまた使うようになった。文献探索の方法などわからなかったから、中央図書館に行って棚にある本を探したり、OPACでキーワードを入力してヒットした他館にある本を、日野図書館に取り寄せたりした。
 大学に入って、図書館関係の授業をとると、中央図書館の研究室にある、図書館関係の資料の棚が非常に役に立つことがわかった。雑誌のバックナンバーが古い号数から開架にあり、市販されていないような資料も開架にあってすぐ手にとって読めたからである。
 高校、大学と小説も借りたが、今は実用書を中心に、読んでみたい本をまず図書館で読めるかチェックして、借りられたら借りるという使い方が主である。
 日野の図書館は様々な効用を私にもたらしてくれた。子ども時代に活字を読む機会を増やしてくれたことは重要なことだったろうし、学生にとって調査研究に役立つ資料は必要だった。楽しみや教養のための本が無料で読めるというのはありがたいことだ。
 ただ、現在の図書館に対する要望もある。第一に雑誌のバックナンバーが開架でもっと読めるようにして欲しいということである。市政図書室のように、調査研究に役に立つような雑誌のバックナンバーが開架で何年分か読める種類を多くしてもらいたいと思う。
 第二に情報提供の重視である。例えば選挙の時に各党のマニュフェストや選挙の論点が図書館に行けばわかるようにしてもらえたらと思う。また第3次日野市行財政改革大綱中間報告がでたが、行政やまちづくりに関する情報というのも、それがどういうことなのかわかるのかということも含めて図書館で情報を提供してもらえたらと思う。
 第三に実現は難しいかもしれないが、新中央館の建設である。スペースの都合で廃棄資料が多くなってきているのと、資料は開架で新旧多様な種類のものが集まることにより、より価値が出てくると思うからである。今の中央館は他の東京との自治体の中央館と比べると狭く感じる。保存に関しては都立図書館にあるかもしれないが、二週に一度しか都立図書館からの連絡便がきていない現状では取り寄せるのに時間がかかるのは否めない。欲しい時にすぐにいろいろな資料を手に取れるようになっているとありがたい。
 第3次日野市行財政改革大綱中間報告では図書館の民間委託が取り上げられている。また指定管理者制度によって公共施設の管理者の規制が緩和された。日野市立図書館は今、岐路に立っているのだと思う。
 人によってどういう図書館が自分にとって役に立つかということは違うと思うが、日野の図書館がよりよい方向に進んでいくために、様々な人が、自分はこういう図書館が必要なんだということを言っていくことが必要なのではないだろうか。

日野市立図書館の40年の取り組みと委託問題を考える
 山口源治郎氏の講演に先立ち、16ミリフィルム『図書館とこどもたち』(日本図書館協会編 わかば社 1980年制作)の上映を行った。市内初の大型分館、高幡図書館が生まれる直前の日野における児童サービスの様子が写し出されていて、映像に出てくるこどもも母親たちも職員も実に生き生きとしているのに驚かされた。市民と図書館が共に歩もうとする姿、よい図書館を共に創り出そうとする姿が、日野には確かにあったことをまず再確認できたのではないだろうか。引き続き、小林代表から委託問題に関するこれまでの経過報告があり、その後、山口氏の講演「日野市立図書館40年の取り組みと委託問題を考える」に移った。 
山口源治郎氏の講演要約
 魔法の杖あります」という新聞投書の例を引き、1960年代後半のベッドタウン化や社会基盤の未整備、子育て環境の悪化といった社会情勢を背景に、行政が確かな理念に基づいて図書館サービスを展開したことが、市民に受け入れられ、引いては「市民の図書館」として全国に野火のように広がった歴史的経過を解き明かしていただいた。まさにそれは図書館革命であったという。こうした日野市立図書館の40年の実践に対して、今回のカウンター委託の提案が示された訳だ。
 25年前の京都市の委託から始まり、東京23区の窓口委託、桑名市のPFI、北九州市などの指定管理者制度の導入と、急速に図書館のアウトソーシングが図られる状況だが、京都市の例を見ても、当初の通年開館の破綻や雇用における違法状態が恒常化し、問題が起きたとき行政と財団のどちらが責任をとるのか曖昧化した状態に至っているのが現状だ。
 委託がもたらすものは何か。果たして図書館サービスはよくなるのか。図書館サービスは利用者と職員のコミュニケーション関係を通して行われるものだ。選書や運営方針の作成、職員の成長等々、そうした実践の中から築かれていくものだ。市民と最も接する大事なところであり、直接的な利用者サービスを委託することは図書館の命取りになる。それは教師と生徒、医師と患者の関係と全く同じだ。
 また、分館単位での委託だが、分館は地域の市民が最も利用するところであり、図書館システム自体そのものを壊すことになる。中央館と分館の運営は一体のもので切り離せるものではない。
 専門性を有する職域への嘱託職員の導入についても、専門性が必要だからこそ正規の司書職員が必要なのではないか。市として経験のない分野ならわかるが今まで支えてきた専門職員がいるところに何故導入するのか。図書館とは何なのかを行政も市民もいっしょに考えて欲しい。
 最後に、日野という位置、その意味を考えたい。日野市と東村山市(注:設置条例に館長の有資格条項が規定されている。)がこけたら全国への波及ははかり知れない。他の自治体の理事者側はそれを待っているのだろうが。調布市の委託の問題から10年、多摩地域の図書館はいったい何をしてきたのかが問われてもいる。金が無いから即、官から民へという思考停止状態が問題。何故委託がいけないのかそれぞれが自分の言葉で伝える必要がある。日野の図書館は「公」だから出来た訳だ。行政としての責任を果たしてきたことをもう一度確認すべきではないか。日野の図書館に問題もあることは事実。図書館員と市民がその問題についていっしょに議論することが必要だ。
(山口源治郎氏の講演全文を氏のご了解を得て、近く当会のホームページ上にアップする予定です。)
質疑応答

○窓口委託を実施している23区のある区の例からの発言:レファレンス、選書、クレーム処理、督促、庶務等以外の窓口全般を委託。委託職員の構成を見ると、家庭の主婦、若い女性、図書館で働きたいが就職先が無いので一時的に委託職員になっている人。主婦以外は定着率が悪い。時間単価は800円。司書率は2〜3割か。研修費がないので経験なし。委託が実施されて職員は半減した。職員の引きこもり現象があるのではないかとの指摘もある。職員はクレーム処理、督促処理など楽しくない仕事(?)にあたる。図書館の経験のない職員も増えているから当然か。

○東京の図書館をもっとよくする会からの発言:区内の図書館で委託実施館に対してアンケート調査をした。委託が実施されたことでの変化は、効率化、財政的な面。人件費を抑えられた。祝日・夜間など開館時間の延長。全館のサービスの統一化が図られた。仕様書に決められた通りにやるからか。というような回答があったが、サービスの改善が本当になされたのかは疑問。

○障害者サービスは委託や指定管理者制度の導入でどうかわるか。プライバシーについては民間だから守れないというのは言えないが、図書館での読者のプライバシーを考えると不安がある。
→職員:宅配を有料化するというような話が出ているが、図書館が作りだしている障害を取り除くという意味での障害者サービスという認識から考えると論外ではないか。
→代表:区部での個人情報の目的外使用の事例があった。会としてもプライバシーの件で、民間だから守れないとは言えないが2・3年で替わっていく委託職員ではより守りにくいのではないか。

○ 日野の図書館は日本の図書館を牽引している。

○市政図書室の実践を評価したい。行政情報の収集能力の高さを認めたい。
→山口氏:市政図書室の仕事は実に評価できる。ただ40年を経て内部的な問題もあるのではないか。それは専門職がもっている問題と公務員がもっている問題である。自分たちがもっている問題をどこまで自覚できるか。司書として、社会の変化に対する鈍感さ。例えば児童サービス。子どもたちの置かれている状況を直視していない。自分たちの領域に入るなという態度が窺える。役所の中で特殊な人種と見られる。市政全体の様子を知らない。
→代表:職員と市民がなれ合っていないか。指摘されたような問題を共に考える場としてこの会を立ち上げた。市民運動としてよりよい図書館を考える機会としたい。
○日野の図書館は私たちの誇り、財産である。

○浦安市立図書館の故竹内氏の「日野の図書館があったからこその浦安図書館」という発言を聞いたことがある。この言葉を日野の図書館の位置づけとして捉えたい。利用者とのコミュニケーションの重要性を感じている。委託の問題はそれを切り離すことになる。シドニーの図書館の例で、リーガル・インフォーメーション・アクセス・センターの所長の言葉。子どもたちは幼い内から自分たちの暮らしにとって必要な資料や情報は何か、図書館との関わりを学ぶ。図書館は生きていく上で必要な情報「クオリティー・オブ・ライフ」を提供するところだという。図書館を考える上で示唆にとんでいると思う。

○日野の図書館に欠けているところとして、中高生の読書離れへの対応を求めたい。先進図書館から学んでやってもらいたい。窓口の委託なんて論外だと思う。
<代表から最後にひとこと>
 過去の栄光にすがっているようでは終わりだねというようなことを言われたが、そうでは無いと思う。誇りがあるからこそ未来があるのではないか。過去を正当に評価して明日につなげることが必要ではないか。今後、委託問題についてのパンフや第二弾の集会を考えている。今後も市民の運動を拡げて生きたい。行財政改革大綱中間報告に対する意見をこれからもそれぞれが自らの言葉で出していっていだきたい。議員さんたちにも積極的に訴えていって欲しい。最後に入会とアンケートのご協力をお願いしたい。
アンケート集計
(1)今日の講演会はいかがでしたか。1つ選んでください。

良かった:    21名
普通:       0名
あまり良くなかった: 0名
無記名:       1名

ご感想をお書きください。

・感動しました。映画、山口さんの講演ともに。

・山口先生のお話がとても良かった。私も23区の図書館で嘱託職員をしています。未来に希望が持てず、絶望的な毎日ですが、たまにこういう集会に来ると少し元気がでます。職もなく、希望も持てず、若者がつらいばかりの世の中ですが、どうにか生きる道をそれぞれがみつけられるようになれば良いと思います。

・資料として、中間報告の要旨、(貴会作成)を配布してほしかったです。意見だけではよくわからなかった。並べてみないと…。(私はHPで先に読んでいますが)40年の重みと委託の問題点がわかり易かった。

・日野の図書館の歴史を踏まえ、山口先生のお話を聞けたことはとても良かったです。

・図書館の原点を考えさせてもらいました。

・ビデオ(注:16ミリフィルム)を見て、自分の子育て真最中の頃、こんなにも子供たちとお母さん達が生き生きと本をむきあっていたことを知り、今になって後悔の念と懐かしさで胸がいっぱいになった。夫は定年後毎日のように図書館通いで、本をいっさい買わなくなった。単に本を借りる、本を読むだけでない役割りを山口先生のお話でよくわかった。全国に先がけた日野図書館の偉大さ、重要性を重く受け止め、民間委託問題をしっかり考えて行動したいと思う。

・図書館をよく利用しているが初めて今日の様な話を聞いた。今後の図書館活動が重大な時にさしかかっていることが理解できた。講師の話も具体的で分かりやすかった。司会者が話しすぎ、講師や参加者の話をもっと多く。司会者が先生になっている。
・映画も講演も大変良かったと思います。分館での利用者と職員のコミュニケーションが図書館の活動の大切なことであることを改めて深く受けとめることができました。

・いろいろ考えされられました。図書館職員と腹をわって議論するということはどうやったらできるのだろうか。くさってもタイのおはなしがよかった。まさにそのとおりだと思いました。

・映画も講演も非常に有益でした。
・質疑・応答の時間を含めて日野の図書館、23区の状況、図書館をとりまく状況が理解できる内容でした。図書館員が考えるべきこと、市民が考えるべきことを自分の問題として捉えて欲しいというメッセージが伝わりました。
・市民の方々が大勢おあつまりで、その方々が休憩時間にとても品よく談笑されていたのがさすが文化のまち、図書館のまち日野のと思いました。

・映像に感動しました。できるだけ責任を持って仕事をしたいとあらためて思いました。

・記録をまとめてください。

・ポイントをおさえてとてもわかりやすい話(市民の方にむけて)と思います。

・直営の重要性をあらためて認識したところです。

(2)この講演会は何で知りましたか。1つ選んでください。(複数回答あり)
ちらし 7名
友人・知人 14名
インターネット(hp) 3名
その他 (自治労図書館員職場   交流会)    1名
無記名 1名
 
絵1 こどもとお母さんがテーブルに
腰掛け絵本を読んでいるところ
絵2 こどもふたりが絵本を
読んでいるところ
(3)今回の窓口委託の問題についてのご意見をお書きください。

注:コメントは原文のままに掲載しました。   

・委託は何もうみません。調布は痛くした業務が全部うまくいかず?直営に戻り、条例の委託条項もなくすことができました。(全部直営という項目になりました)

・江東区や墨田区の調査をする必要があると思っています。実態が公開される時期だと思います。指定管理者制度が導入されても今の委託の実態と変わることはないと思います。

・日野の図書館についていいたいことはいろいろあるのでいっしゅん委託もいいかなと思っていましたがやっぱりとんでもないと思います。「第3次日野市行政…」の中の町づくりのところに日野のブランドをつくるとあるがぜひ日野のブランドは図書館だとなるように…。

・図書館の使命、本質に自負をもった図書館員が(図書館員の仕事が)、"図書館の可能性=図書館があることで何ができるのか"を住民に感じさせてきた歴史があると思います。(私自身、子どもの頃、地元の図書館の司書と話をすることで、この仕事を目指すようになりました。)窓口委託の司書が図書館の可能性を市民に伝える存在となりうるかについて非常に危惧を感じています。

・図書館の委託を含め、日野市の理事者、企画あたりの部署は"もったいない"ことをしようとしているように思う。"官から民"という言葉に流れることなく、自らの行政、施策を再評価点検を行うべきだ。

・市民参加による対策、対案づくりの場を市につくらせるべきです。多少の経費削減は必要で人件費をおさえ資料費を増やすことは必要。その対策は市民が考える←専門的な図書館の助言もきいて組合や労働者の意見もきいてとすすんでほしいと思います。

・図書館の利用者として委託には反対です。何か自分にできることがあればと思い今日参加いたしました。今回の委託のことは広報にものらなかったので、ほとんど市民は知らされていないので、まずはそれを広く周知することが大切かと思います。

・教育、福祉、文化をお金の問題だけで計算するのはまちがいである。未来をみすえた行政を市民みんなで考える機会に。

・図書館の蔵書、サービスの構築は長い時間をかけて作られ、作り続けられていきます。部分的、短絡的に考えるのではなく、長期的、全体的に見て本当に良い選択を日野がされることを望みます。安易な委託が将来にわたる大きなつまづきにならないよう、今後の動きに関心をもっています。

・ぜひ、職員と市民で委託をさせないようにしてください。私は調布市立図書館の職員として応援したいと思います。

・調布の問題から10年。調布は本年9月議会で委託条項を廃止しました。5年ほど前には地下書庫出納を直営にし、自習室も財団からシルバーへの委託先変更となっている。指定管理者制度についても、専門職員の運営、嘱託員による運営の方がよいとの理由を示して、理解を得てきた。事務職館長ではあるが、専門職による図書館運営が大事であることを強調してくれている。司書採用を4年前から再開。

・市民サービス事業で、民間の方が良いという発想は、全く出来ない、公だから出来る。民間は慈善事業を目的としていない。

・最後の方で発言された方の言葉に「クオリティー・オブ・ライフ」の重要な点として、図書館の役割が語られました。市民生活の大切な要素に関連していても、「安ければよい」の物さしを使うのは出発でまちがっていると思います。さらに、低賃金と結びつけるのが間違いでしょう。

・10年前の調布、今日の日野と多摩のみならず日本全国で先駆的な活動として図書館界で評価されてきた市立図書館で委託問題がおこることに共通点はないのだろうか。図書館員として考えていくきっかけとしたい。山口さんの「調布から10年、この間に図書館員は何をしてきたのかも問い正したい」という言葉を重く受けとめたい。

・ぜひとも正規職員を守り、ひいては多摩地域の図書館を守ってください。

・ヒューザーの問題で、効率化の追求が命もうばうということが明らかになったが、図書館も同様。文字どおり、人の生死にかかわる問題だと実感。それにしても映画のいきいきとした生命感!!


(4)今後、この会に望むことがありましたらお書きください。

・大事な活動だと思うのでぜひ続けて活動なさって、できたら記録や講演録を出版してください。

・日野の外からも応援しますので、住民の中に自治意識の高い日野です。色々知恵を集めてよりよい図書館に育つきっかけになることを祈っています。

・日野の委託、指定管理者制度を何としても阻止できる様頑張って下さい。隣の多摩市も一緒に頑張りたいと思います。明日の多摩市での学習会にもぜひお越し下さい。

・ねばり強く。

・今後の図書館職員と市民の意見交換の場を作って下さい。

・どうしたら巾広く市民に訴えていけるのかを工夫してほしい。

・当図書館発足当時と現在では、当市の年齢別構成比が大幅に変わっており、又、インターネット等の発達により、情報伝達の方法が変わってきたのは明らか。然るに図書館は、図書検索をパソコンで行いうるようになった程度。この辺、パソコンと外部Networkを接続しますます増える高齢者が気軽に行ける所となるようになる事を望む。又、視力が弱くなった高齢者が文字に親しめるようになってほしい。

・江東区のことを話す必要があれば声をかけてください。

・10年前調布で起こった時、市民の方々の力をかしてもらうために、このような集会を職員が主導で開きました。日野は市民のみなさんが先頭にたって学び活動されています。とてもすばらしいと思います。図書館員の動きがみえません。市民のみなさんが図書館のよいところを広め、悪いところをやはりかえていく力になって頂きたいと思います。図書館員が50人もいれば公でも十分できます。図書館員には図書館員が叱咤激励します。市民の皆さんは図書館員とコミュニケーションをとりながら市民に広めて下さい。

窓口委託問題のその後
 1月末、理事者側から図書館現場に、行財政改革大綱中間報告に寄せられた意見等を勘案し、第3次行財政改革大綱には窓口委託を盛り込まない、代わりに人員の削減と嘱託職員の拡大化で対応したい旨の方針が示されました。2月に控えた市議選を前に、市内外から寄せられた窓口委託への疑問や反対を提起する意見書、また当会や他の団体による集会の開催や職員組合による委託問題を問う新聞折込やシンポジウムの開催などさまざまな取り組みが、理事者側にとって見過ごせない状況を生み出したと言えるでしょう。
 理事者側の方針を受け、3月1日に発表された『行革大綱中間報告に寄せられた意見に対する回答』で、「図書館の民間委託・嘱託職員の導入(ステップアップのために)」との一項を設け、図書館界をリードしてきた日野の実績を評価しつつも、「現状は、どこの図書館も同等のサービスを提供するようになり、日野市の図書館としては更なる飛躍の努力が必要」と指摘した上で、厳しい財政状況の中で、「図書館サービスについても、子どもの読書活動の推進に関する法律等の関係で、図書館と学校、保育園、児童館等との連携や高齢者、障害を持った方々への新たな施策展開が必要となりますが、新たな行政需要に対応するための図書館司書の採用は困難な状況にあります。」「日野市の図書館が更なる飛躍、拡大・充実していくためには、今いる図書館司書の力を十分に発揮させるため、図書館司書でなければできない業務と図書館司書の代替となりうる業務とを精査し、図書館司書の業務を特化していきます。また一方で、定型的な業務は嘱託職員化を図りますが、図書館サービスを拡大・充実させるため、嘱託職員の教育・訓練を行い質の向上を目指すことで、職員に見劣りしない業務が提供できると確信しています。また、図書館の特殊性のみを掲げて効率化に対し特別扱いすることは行政全般の考え方、進め方として選択すべきことではないと考えますが、サービスの質の維持・向上とコスト面の両面をクリアすることが委託の前提と考えています。」と結んでいます。 
 図書館の窓口委託はあくまでもしばらくの猶予期間を与えられたに他なりません。今後3年間で職員を8名削減し嘱託職員化を図るとの方針が、果たして図書館の発展に繋がるか。これからの数年が職員にとっても、またサービスを受ける市民にとっても非常に重要な時期となりそうです。
 ライブラリー・フレンズ日野では、今後職員と共に学習会などを開催し、市民にとって本当の意味で役に立つ図書館とは何かを考えて行きたいと思います。
絵3 女性がテーブルに向かって本を読んでいるところ

図書館を考えるためのこの一冊
 『新版 図書館の発見』  
    前川恒雄・石井敦著 NHKブックス 2006年1月発行

    「図書館とは木々の緑と同様、人々を癒すものであり、
    それゆえにつねに生命を保持していなくてはなりません。
      …チャールズ・ウォーナー」(帯より)
 旧版が刊行された約30年前の1974(昭和49)年と言えば、前年に日野の中央図書館や都立中央図書館などが開館し、公共図書館の発展の兆しが見えだしたころだった。当時この本を読んで、図書館の仕事に興味を抱いた学生がどれだけいたことか。これからの日本において、公共図書館の果たす役割は大きいと希望を胸に抱いたのは私だけではないだろう。
 採用試験に合格後1年の待機期間を経て、夢かなって日野市立図書館に就職。ひまわり号担当を皮切りに図書館一筋に四半世紀。ところがいつの間にか図書館界をとりまく状況はうすら寒い状況に一変。日に日に追いつめられていく状況とはこういうものかと諦めに似た気持ちを感じるこの数年だった。これに追い打ちをかけるように昨年行革大綱中間報告に示された窓口委託案は、「まさかこの日野が」という焦りと同時に一種虚しささえ感じた。
 ところで一昨年、関西から東京に戻られた前川さんから、改訂版を準備されているとの話を伺った。旧版の時代とはまったく異なる状況で、読者にどうメッセージを送るべきかと大変ご苦労されている様子だった。そこへ昨年夏、日野の窓口委託の問題が浮上し、公共図書館の発展に尽力された前川さんたちをさらに傷つけることになった。
 しかし私たち現場の職員にとって、前川さんの存在はやはり大きかった。同時に私たちに大きなチャンスを与えてくれることにもなった。図書館とは市民にとって何なのか。図書館にとって窓口とは何なのか。基本に帰って考えて見てはどうか。前川さんの存在そのものがそう訴えかけてくるのだった。委託問題に立ち向かう私たちにとってこれは大きな力となった。今回改訂版が刊行されるその過程にふれさせていただき、私は二度目の希望と勇気を与えられた。                (H.I)

☆この通信は点訳版もあります。ご希望の方は事務局までお申し出下さい。
三多摩図書館研究所のホームページ(http://www.hinocatv.ne.jp./~je1hyg/)の関係団体情報コーナーに、「ライブラリー・フレンズ日野(旧日野の図書館を考える会)」のページが掲載されています。
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