Library Firends日野 第10号
2008年8月25日
も く じ
 
としょかんと私

☆ 通信内で使用させていただいたカットは、堀田敦子さんの作品です。
 ご協力ありがとうございました。
 
& としょかんと私 bW &
 
 松尾昇治(実践女子短期大学

 私は1973年昭島市に一般職職員として就職しました。配属先は予想もしていなかった新設の昭島市民図書館でした。初代館長は日野市立図書館から招聘された矢野有館長でした。館長以外は図書館経験者はおらず、新採用職員がほとんどでしたので、当初は三多摩各地の図書館へ研修や見学に行かされました。なかでも私は図書館のことを何も知らずに仕事をすることになりましたから、毎日が不安でいっぱいだったことを覚えています。研修先は日野市立図書館でした。館内での説明の後、移動図書館ひまわり号に乗り、図書館サービスの最前線に連れて行かれました。巡回先に着くと多くの利用者が待っていていました。テキパキと貸出し準備をする職員の方、多くの本を返して、また借りていく市民の皆さん。その活気ある光景が記憶に残っています。図書館の仕事とはこのようなものなのかと感動を覚えました。社会人として仕事のスタートをきったときに、良い研修を受けられたことに感謝しています。同僚の司書から紹介された『市民の図書館』等を読み、当時の公共図書館の運営理念や活動を学びましたが、若かった私には新鮮な考え方が染入るように身に付いていったのを覚えています。
 もう一つは、東京都の図書館政策が実施され、多摩地域に公立図書館が次々に建設していった時期に就職できたことです。昭島市民図書館もその一つです。この政策は図書館界のみならず地方自治の分野からも高く評価されていますが、都において政策立案から実施に至る過程には多くの困難があったものと思います。今日の多摩地域の図書館の礎をつくっていただいた前川恒雄さんはじめ多くの関係者の皆さんに感謝しなければなりません。
 さて、日野市立図書館へは仕事などとの関わりでよく通わせてもらいました。三多摩郷土資料研究会の発会準備をしたのは中央図書館の会議室でした。池谷岩夫さんが中心メンバーの一人となり準備からその後の会の運営などを精力的にこなしてくれました。また、都立三館(立川、八王子、青梅)が都立多摩図書館に統合されるときには、東京都市町村立図書館長協議会の下に都立図書館のあり方を考えるプロジェクトチームができ、参加させていただきました。日野市から斉藤隆夫さんが参加していましたので、高幡図書館が会議場となりよく通いました。活発な議論の渦のなかで、私は追いついて行くのが精一杯でした。おかげで、多摩の図書館状況が捉えられるという収穫を得ることができました。
 近年は三多摩図書館研究所の活動に発足から参加するようになりましたので、幹事会や研究会などを中央図書館で開くことが多く繁繁と通いました。発足当初から森下芳則さんが事務局の運営をリードしてくれました。現在は石嶋日出男さんが引き続いておられます。そのほかにも、三多摩の図書館員として活動するなかで日野市立図書館の多くの職員の方とお付き合いをさせていただき感謝しています。
 縁あってのことと思いますが、昨年4月から実践女子短期大学の図書館学担当教員として勤務しています。日野市が勤務地になろうとはこれも想像もできなかったことです。これからもよろしくお願いします。


「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見

現在策定が進められている「日野市立図書館基本計画(素案)」に対する当会からの意見を以下の内容で図書館長小澤昭道氏宛てに提出しました。

                                2008622

日野市立図書館長
小澤 昭道 様                                      

ライブラリー・フレンズ日野
                                       (旧日野の図書館を考える会)              代表代行 松尾昇治

「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見

私たちライブラリー・フレンズ日野(旧日野の図書館を考える会)は、「日野市立図書館基本計画(素案)」(以下、基本計画)について、以下のように考えます。

1.基本計画の策定にあたり、8名の公募市民の参加をえて議論が進められ、その会議の内容が公開されたことを評価します。ただ、ホームページに掲載されるまでにかなりの時間を要したこと、また会議に提出された資料などがホームページ上では見られなかったことは、市民にとって会議の内容を知り判断を下すうえで情報の不足は否めません。

2.第2章の基本理念・方針ですが、もっともな点が多いのですが、崇高な理念を実現させるための人の問題については、ほとんど触れられていない点に疑義を感じています。「団塊世代やシルバー世代に本の貸出等の図書館サービスに係わってもらいます」という方針は、第3次行財政改革大綱による8名の減員分を補うための便宜的な方策かとしか思えません。市民に責任ある図書館サービスを提供するには図書館長の人材も含めた人の問題をもっと議論していただきたい。

3.第3章の重点的な取り組みとして、「『図書館友の会』等市民の活動・組織づくりを支援します」とありますが、図書館への支援を期待してのいわゆる図書館主導の団体づくりはやめていただきたい。図書館は自主的に活動する団体に対し、図書館サービスを通じて十分支援してくれればよいことではないでしょうか。

4.第4章の部門別計画の施設に、新中央図書館建設を実現させるための3つの手法のひとつとして「豊田駅南口再開発等による複合施設に図書館機能を設け現中央図書館と一体的運営」とありますが、中央図書館の機能をできるだけ分散させない方がよいのではないでしょうか。そもそも財政状況の厳しい今の時期に、新中央図書館建設を急ぐよりも、まずは地域と密着した分館の充実を進めることが求められているのではないでしょうか。今は新中央館建設基金の確保に努めるとともに、建設のための十分な検討を進めていただきたい。

5.第4章の部門別計画の運営に、「組織運営として職員の一人一人の専門分野を構築します」とありますが、<2>でも指摘しましたが、それ以前にその人材をどう確保していくのかという方針が示されていないのではないでしょうか。

6.第4章の部門別計画の図書館を支える仕組みづくりのなかに、図書館運営への市民の参加として、「市民ボランティアによる図書館運営への参加機会を拡充します」とありますが、図書館サービスを受けるのは市民であり、市民ボランティアのためのサービスにならないような取り組みを求めます。例えば未整理の地域資料などの整理や内部で行う作業などに協力してもらうことも考えられるのではないでしょうか。

7.第4章の部門別計画の図書館を支える仕組みづくりのなかに、評価の仕組みづくりとして、市民公募による図書館活動評価委員会の設置を図るとありますが、すでにある図書館協議会との関係をどのように考えているのでしょうか。本来館長の諮問機関でもある図書館協議会をこれまで以上に充実したものにすることこそ今求められているのではないでしょうか。今回の基本計画策定に際しても、図書館協議会に対してどのような対応をなされたのでしょうか。まずは図書館協議会の充実を求めるのが本筋だと考えます。

8.第4章の「5.すべての市民へのサービス」で、「(3)青少年へのサービス」では、「中学生くらいから30歳くらいまでの、社会に出るための準備をしている人々」をさすとしていますが、これらを統合する概念を評価しつつ、「30歳ぐらいまで」の人が、中学生対象のコーナーで「居心地が悪くないか」疑問が残ります。15歳以上の年齢差を一括りにする「定義」は社会的には受け入れがたいと考えます。子どもの読書活動の推進に関する法律では、子どもを「おおむね18歳以下の者をいう」としていますから、『子ども読書活動推進計画(平成18年2月)』に基づき・・・としている「囲み」の部分の記述と対応していないのではないでしょうか。やはり、「青年期」のなかでも18歳以上の年齢層へのサービスは別立てで考えるべきです。

9.「(6)図書館利用に障害のある人々へのサービス」では、聴覚障害者へのサービスがまったくと言っていいほど触れられていません。また、視覚障害者についても録音図書だけでなく、大活字本や点字資料等の提供について触れるべきであると考えます。点字講習・市政情報は、点字についても触れられています。これらは、「基本計画」なので、より具体的な施策・方針の中で明らかにしていくことも一つの方法ではありますが、そのときは具体的な施策を市民に公開し、その展望を示してください。

1035ページの「実践女子大学図書館・短期大学図書館」および「実践女子・短期大学図書館」はそれぞれ「実践女子大学図書館」および「実践女子短期大学図書館」であると思います。ご確認をお願いします。


 シリーズとしょかんをもっとよくしろう 5 

 日野図書館(分館)は2005(平成17)年4月にリニュアル・オープンして、今年で3年が経ちます。かつてこの場所には日野宿の問屋場があり、また道の斜向かいには新選組副長土方歳三と関係の深い本陣も現存するといった立地条件を生かし、2階には「新選組・日野宿関係資料コーナー」を設け、資料の収集・提供に努めているところです。

ちょうど開館してまもなく、市の行財政改革にからみ図書館の窓口委託という大問題が浮上しました。これまでの日野の図書館活動を否定するような政策が突然進められようとしました。これに対し日野市内外の皆さんから委託反対の声を上げていただき何とか回避できました。ただ8名(その前に既に1名削減済み)の人員削減と嘱託員化の拡大は避けられませんでした。

この委託の問題は、現場で働く私たち職員にとって、これまでの図書館活動が市民に納得してもらえるだけの内容だったか問い直すよい契機ともなったのは事実です。

私の勤務する日野図書館では、分館長の下、市で進められている日野宿再生プロジェクトの一環として何かできないものかと議論し、地域の商店会や日野の歴史と民俗の会や地域活動に積極的に参加している方々に呼びかけ、「日野宿発見隊」を立ち上げました。その話し合いのなかから、地元の歴史・民俗・自然などさまざまな角度から日野宿を再発見する活動を進めることにしました。2006(平成18)年夏の日野宿こども発見隊を皮切りに、現在第11弾まで実施しました。

なかでも昭和30年代の日野宿を記録に残すには今が最後のチャンスだろうとの提案を受け、地域の皆さんに声をかけ、当時撮られた写真の収集に取り掛かりました。そして集まった1枚1枚の写真をデジタル化するとともに、提供者あるいはすでに故人の場合は家族の方からお話しを伺いながら、その写真にまつわる情報を記録する作業も進めました。

この取り組みから昨年春から夏にかけての写真展や座談会を開催することができ、そこで新たな情報も収集することができました。

 

  日野宿発見隊ロゴ
 
 この5月からは「まちかど写真館inひの」として、A2判に引き延ばした写真を日野宿街道沿いの個人宅や店先などに展示させてもらうとともに、日野宿交流館では写真展「日野のこどもたち」を開催中です。7月8日にはテレビ朝日「ちい散歩」でも紹介され大きな反響がありました。
8月30日(土)には「日野宿夏祭り―日野宿発見隊ふれあい遊びづくし」として午前の部、午後の部、夕涼み会と1日楽しいイベントを開催予定です。(問合せ:日野図書館 電話584−0467)こうした取り組みは発見隊に集う市民の方たちのアイディアから生まれたものですが、図書館員が建物のなかで利用者を待つのではなく、自ら地域に飛び出し市民と接せるなかで、図書館の存在をアッピールするとともに、地域に埋もれた資料を見出すまたとないチャンスを頂いたとの思いを強くしています。日野図書館という小規模分館ですが、市民の皆さんに認めてもらえる図書館を目指し頑張りますのでご支援のほどよろしくお願いします。  (石嶋)

 

館長の有資格条項の問題

  2006(平成18)年10月1日付けで、日野市立図書館創設以来初めて、一般行政職の館長が就任しました。

 館長の有資格条項については、 2000(平成12)年の図書館設置条例改定の際、当初、理事者側は館長の有資格条項を撤廃しようとしましたが、当会による市長や教育委員会への取り組みにより、結局議会に一度上程した内容を修正し、第5条「図書館の館長は、図書館機能を達成するため、図書館法に定める専門的職員のほか館長として必要な学識経験を有する者とする。」(下線部分が追加された)と館長の有資格を尊重する条項になった経緯があります。
 当会としてはこうしたことを踏まえ、同年12月17日付で、館長人事について、市長に要望書を提出しました。これに対し翌年1月25日付けで、教育長名による回答がありましたが、市民への資料・情報の提供機関である図書館の最高責任者として、専門的な知識と豊かな経験を備えた司書有資格館長の必要性を強く感じる当会としては、この回答に大変疑問を感じておりました。

 それから1年が経ちましたが、なんら改善が見られないため、当会では改めて3月9日付で以下のような要望書を市長宛てに提出しました


2008年3月9日
日野市長
馬場弘融様 
ライブラリー・フレンズ日野
(旧日野の図書館を考える会)
代表 小林 卓

要 望 書

 日頃市政にご尽力いただき敬意を表します。

 さて、もう一昨年になりますが、去る2006年12月17日付で提出しました「日野市立図書館の館長についての要望書」につきまして、改善がみられないため、ここで再び要望書を送付いたします。

 2007年1月25日付で教育長より回答書をいただきましたが、そこには司書の資格をもたない館長をおく理由は示されていませんでした。前回の要望書で、「医師の資格をもたない病院長が考えられないように」と書きましたが、あえて付け加えるなら、教員の資格をもたない学校長が考えられず、Jリーグの選手がプロ野球の監督になることも考えられません。もし、そうしたことが行われた場合、「異なる視点」から得られるものはあるかもしれませんが、本筋である組織の管理運営に支障をきたします。

 今日、最もすぐれた市立図書館のひとつといわれる千葉県浦安市立図書館の基礎を築いた竹内紀吉氏は、日本図書館学会(現・日本図書館情報学会)研究委員会編集の『図書館経営論の視座』の中で、図書館長の仕事として

・地域社会の現状と将来を見据えて、運営方針を確立する

・図書館の成長段階に応じた職員の養成

・次期館長となる人材の育成

等をあげ、“いずれの項目でも求められるものは、資料の運用を核とした長い現場経験から導かれた判断力と先見性である”“個人的な営みとしても図書館にかかわってきた長い時間があるか否かにも館長の資質は相当左右されるのである”と述べています(同書、p.166)。

 また、文部科学省の大臣告示である「公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準」(別紙参照)でも、館長には有資格者を要請していることは、ご存知のことと思います。

 いま、日野市立図書館は、新しい基本計画を策定して、さらなる発展をめざしていると思います。そこで、長期的な観点から真のリーダーシップを発揮できる館長が求められており、その館長は司書の資格をもつものでなければならないと私たちは考えています。

 もし、司書の資格をもたない館長が適しているとの立場をとられるのでしたら、その根拠を明確に公にしていただきたいと思います。なお、お返事は、3月末日までに文書または、E-mail:(省略)でお願いいたします。

別紙

【参考】    
                               記

 文部科学省告示第132号

 図書館法(昭和25年法律第118号)第18条の規定 に基づき、公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準を次のように定め、平成13年7月18日から施行する。  

 平成13年7月18日

文部科学大臣 遠山 敦子

公立図書館の設置及び運営上の望ましい基準

[前文は、http://www.mext.go.jp/a_menu/sports/dokusyo/hourei/cont_001/009.htmより見ることができます。以下、関係部分だけ抜粋]

二 市町村立図書館

(八)職員

 @ 館長は、図書館の管理運営に必要な知識・経験を有し、図書館の役割及び任務を自覚して、  図書館機能を十分発揮させられるよう不断に努めるものとする。

    A 館長となる者は、司書となる資格を有する者が望ましい。


 以上の当会からの要望書に対し、3月31日付けで日野市教育長加島俊雄氏より次のような回答がありました。 
  
日頃から日野市の図書館行政にご理解ご協力いただき、感謝申し上げます。2008年3月9日付けの要望書について、次のようにお答えいたします。

1 今後も、日野市立図書館設置条例の趣旨に沿って、図書館行政を進めてまいります。
2 引き続き、図書館職員の人材育成に努めてまいります。


 内容は、前回の要望書への回答と、ほとんど変らず、項目部分については、一言一句変っていません。「その後の取り組み」への回答も含めた当会の真摯な要求に対し、市民運動/市民の意志をないがしろにする回答としか思えません。当会はこの回答書について、内容について遺憾の意を表明するとともに、市民の要望に対する市政の対応の在り方として看過できないものとして強く抗議するものです。
 
☆この通信は点訳版もあります。ご希望の方は事務局までお申し出下さい。
三多摩図書館研究所のホームページ(http://www.hinocatv.ne.jp./~je1hyg/)の関係団体情報コーナーに、「ライブラリー・フレンズ日野(旧日野の図書館を考える会)」のページが掲載されています
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