みなさまへのお礼と今後に向けて
 
 通信8号に掲載しましたように、日野の図書館の委託問題は、「当面」回避されました。この間、日野市民をはじめ、多摩や全国の人々の支援をいただいたことが、本当に力となりました。また、職員や組合、市議会議員のみなさまの力添え等、実に様々な応援が、この結果にむすびつきました。この場を借りまして、みなさまに感謝申し上げたいと思います。また、ご助力いただいたみなさまへのご挨拶が遅れましたことをお詫び申し上げます。
 この運動を進めていく中で、いろいろなことを勉強しましたが、しみじみと感じたのが、有形無形の有山ッ氏(元日野市長)、前川恒男氏(初代館長)の両氏の「遺産」の大きさでした。
 しかし、私たちは「遺産」のありがたさをかみしめつつ、それを食いつぶす存在であってはなりません。豊かな遺産を継承し、未来につなげていかなければなりません。「要望書」で、「日野の図書館は、わたしたちの誇りであり、財産です」と書きました。この思いに変わりはありませんが、これを機会として、よりよい日野の図書館を、よりよい市民と図書館の関係を、考えていきたいと思っています。
 前代表の久保田正子氏は、図書館設置条例改正に伴う館長の有資格条項削除問題にかかわる運動のまとめの中で、2000年に以下のように書きました。

 しかし他地域から比べれば進んだモデル図書館でも、それを日常的に利用している日野市民にとっては当たり前のことでしょう。また図書館側も業務に忙殺され、市民との対話の場をつくれなかったのです。35年前の図書館設立当初は、どうしたら市民の中に入り込める図書館がつくれるか、職員も市民も必死で考えました。だが時代の流れや行政の仕組みの変化が、図書館に対する考え方を変化させ、図書館が地域の中で果たす役割はますます重くなるのに反して、35年の歳月は図書館設立時の理念を風化させてきました。
(http://www.hinocatv.ne.jp/~je1hyg/kankeidantai/hinonotoshokanokangaerukai/hinonyuukai.htm)

 それから6年、私たちは何をしてきたか。職員は何をしてきたか。一時的な「反対運動」の時だけでなく、日常的な地道な活動の積み重ねを大事にしていかなければなりません。繰り返しになりますが、通信8号に書きましたように、"図書館の窓口委託はあくまでもしばらくの猶予期間を与えられたに他ありません。今後3年間で職員を8名削減し嘱託職員化を図るとの方針が、果たして図書館の発展に繋がるか。これからの数年が職員にとっても、サービスを受ける市民にとっても非常に重要な時期"なのだと思います。
 「図書館の力」を豊かにし、それをわかりやすい形で市民にも、行政にも明らかにしていくこと。少しずつでいいから、足もとを、現実を、幻想なしに、失望なしにみつめながら、一歩ずつ進んでいくということ。そのためにもみなさまのサポートを改めてお願い申し上げます。

                                           2006年5月10日
                                            ライブラリー・フレンズ日野 
                                               代表 小林卓

(この間をめぐる動きの経過につきましては、石嶋日出男氏が組合の立場から『みんなの図書館』2006年4月号にまとめています。許可を得て、以下に掲載しました。合わせてご覧ください)
  
日野市立図書館における窓口委託問題の経過報告
 
                                       日野市立日野図書館 石嶋日出男

 昨年8月末、庁内において第3次日野市行財政改革大綱4部会中間報告案が発表された。そこには中央図書館の窓口と分館単位での委託の実施、また宅配の有料化など図書館法17条に抵触するような項目も示され、これまでの日野の図書館活動を根底から覆すおそれを秘めた内容だった。今全国の図書館に吹き荒れる委託や指定管理者制度等の問題が日野でさえもまったく例外ではないことを改めて知る思いだった。4部会の中間報告であるために、部会ごとの報告に一部整合性を欠くところもあり、行政部会では「図書館カウンター事務等及び分館の委託(嘱託職員の検討含む)を実施する」といった含みをもたせた表現もあったが、議会の行財政改革推進委員会の席上、行財政改革担当参事は議員からの質問に対して、「中央図書館の窓口と分館単位での委託」と明言したという情報も入り予断を許さない状況だった。
これを受け、職員組合図書館部会では9月30日に、既に委託を導入している区立図書館の職員を招き学習会「図書館の委託」を開催した。実施館の実情を聞くことで、委託がいかに現場を混乱させるかを知るとともに、出席者一同いっそう危機感を募らせた。こうした状況の中、11月2日に開かれた図書館部会総会にて、今回の窓口委託に対する反対を確認し、組合に設置された行革闘争委員会を軸に、他の職種の組合員と連帯し反対闘争に入った。なお、今回初めて図書館から職員組合に執行委員を送った。
 これと前後して、2000年に有資格条項削除の条例改正問題で発足し、その後市民と図書館が共同して市民にとっての図書館のあるべき姿を模索していこうと、学習会や見学会を通じて活動してきたものの、事情により昨年は休会中だった旧日野の図書館を考える会、現ライブラリー・フレンズ日野の会員である筆者に、事態を憂慮した小林卓氏から声がかかり、早速情報交換会を開催し、空席だった代表に小林氏の就任を得て正式に活動を再開した。まず、10月12日に中間報告の広報(市側はパブリックコメントと称してはいたが正式な規定がない)における視覚障害者への点字版の作成等や寄せられた意見の公開を求める要望書を提出。引き続き、11月2日には窓口委託に対し反対を表明する意見書を市長宛に提出した。さらに、12月3日には東京学芸大学教授の山口源治郎氏を迎え「日野市立図書館40年の取り組みと窓口委託の問題を考える」と題した集会を開催し60名近い参加者を得た。講演に先立ち1970年代後半の日野の図書館活動を記録した16oフィルム『図書館とこどもたち』を上映後、山口氏から日野の実践が公立図書館に果たした役割と委託の問題点を解説していただいた。日野において窓口委託が実施されれば全国の図書館に与える影響は計り知れない。そのためにも、何としても今回の計画を撤回させるために、参加者ひとりひとりが自分の言葉で委託の問題点を周りの人に訴えていこうとの代表からのアピールを参加者一同で確認した。
 一方、10月末から日野市立図書館の生みの親である故有山ッ氏(元日本図書館協会事務局長で第二代目市長)の業績を偲ぶ「有山ッと日野市立図書館」展を、故人の地元である日野図書館で年内いっぱい開催し、市民へのアピールを試みた。
 こうした状況の下、館長から部会に対し口頭で、来年度の人員体制(現在正規職員50名、臨時・嘱託職員年1500時間に換算し21名:嘱託職員の仕事は職員の補助的業務に限っている)を、中央図書館受入担当を5名から3名へ、高幡図書館(地区館)を6名から4名へ、計4名削減し、代わりに嘱託職員(年2000時間、これまでの業務内容から正規職員の仕事に近づく内容)を3名採用して対応するといった予算要求案を提出し、理事者側に窓口委託の実施を思い留まらせたいとの意向が示された。しかし受入れられるかどうかは全く不明であるとの話だった。
 (12月中旬、組合では『ご存知ですか?広報「ひの」に書かれなかった「第3次行革大綱中間報告」の中身』というタブロイド版の新聞折込と委託の話しが出ている保育園、学校給食、図書館等近辺への戸別配布を実施した。また議会でも議員から質問が出された。)<この部分はこの報告に伴い補足しました> 
 年が明け、1月11日行革担当参事宛に部会としての委託反対の意見書を提出。これに対し、指摘内容についての説明を求めると称する事務連絡文書が部会に回送されてきた。部会もその質問書に対して逐一説明を加えるとともに、この意見書が検討部会でどう論議されたかを必ず組合と市民に開示するようにとの要望を添えて19日付けで回答した。
一方、20日には東京の図書館をもっとよくする会から市長、教育長、図書館長宛に意見書が提出された。21日には職員組合主催の「シンポジウム民間委託と直営〜期待に応えるのはどちら?〜」が開催され雪にも拘らず200名近い参加者があった。「学校給食」「子育て支援」とともに「図書館」の市民側パネリストのひとりとして、ライブラリー・フレンズ日野代表の小林卓氏が、先に市に提出した意見書をもとに委託の問題点を指摘し直営による図書館サービスの堅持を訴えた。さらに部会からも当日配布した窓口委託への疑問点を記したパンフを紹介しながら、カウンターにおける市民と職員のコミュニケーションの重要性を訴えた。市全般にわたる出先窓口の委託化が一方的に進められようとしているが、いかに子どもを含めた市民不在の政策かを改めて確認できたと思う。ちなみに当日は市の行革担当参事等の出席もあった。
 1月末事態に動きがあった。理事者側が、中間報告に対して市民や各方面から寄せられた意見等を勘案し、第3次日野市行財政改革大綱の実施期間中は窓口委託や指定管理者制度の導入は考えていないとの意向を示した。但し、その交換条件(?)として、定数4名の削減とこれまで以上のサービス拡大を求めている。館長を含めた退職者2名の他に同僚2名の異動が強いられる訳で、厳しい選択を迫られている状況だ。部会では委託を実施しないという正式な言質をとるよう現在交渉中だが、ただ、まだ確定されたとは言い切れないものの一定の猶予期間が与えられようとしていることは事実だ。多摩地域でも周辺の自治体で委託や指定管理者制度やPFIと民間による図書館運営に移行する図書館が生まれようとしている中で、直営でも市民や理事者に十分理解を得られる図書館サービスがいかにできるか、正にこの数年が日野市立図書館の存亡をかけた本当の意味での正念場となりそうだ。なお、2月1日付けの辞令で次期館長はこれまで通り内部からの昇格となった。
 最後に、今回の問題で市民の皆さんをはじめ多くの心ある方々の暖かいご支援をいただいたことに職員一同深く感謝し御礼を申し上げたい。
 
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