
2003年12月22日発行 ▶PDF版第7号 |
もくじ としょかんと私 清水登志子(旭が丘在住) 調布市立中央図書館見学記 シリーズとしょかんをもっとよくしろう №.4 予約サービス-協力貸出を中心に 障害者サービスの利用者として都立図書館問題を考える 「多摩むすび」からのPR 「稲城市図書館利用に関する市民アンケート調査」について 「図書館の会」参加報告 活動報告 |
としょかんと私 No.5
清水登志子(旭が丘在住) 私と日野の図書館の出会いは、一人目の子どもの妊娠中、外出もままならない中で、近所にやってきた移動図書館ひまわり号が最初です(石嶋さんも乗っていましたね)。二週間に一度の巡回の待ち遠しかったこと!しかし、子どもが大きくなり、仕事も始まる中で、しだいに図書館から足は遠のいていきました。 再会は市政図書室。「日野市のごみの量は他市に比べて多い? ごみ処理にかかるお金は?」こんな疑問に答えてくれる他市の予算・決算や条例、基本計画や調査報告などが、たくさんそろえてあります。 今はインターネットでも、こうした情報の多くを引き出すことができます。新しくて、豊富で、住民運動の生情報もあって、夜遅くてもOKなど、かなり重宝ですが、困るのは求める情報を探し当てるのが大変なこと。先日、マンション紛争で役立ちそうな情報がほしいとおもって検索をかけたら、数十に上るホームページがでてきて、絞り込むだけで数時間を費やしてしまいました。 こうした雑多に並んだ電子情報を整理して、提供してくれるレファレンスサービスが、図書館にほしいなと思っているのですが…。 |
調布市立中央図書館見学記
シリーズとしょかんをもっとよくしろう №4 予約サービス-協力貸出を中心に
石嶋 図書館では、利用者の皆さんから求めれた資料を所蔵していないとき、まず購入か借用かを考えます。できるだけ購入したいところですが、年々削減される図書費の中では、蔵書のバランスを考えるとどうしても購入を見送らざるをえなかったり、購入しようにも資料自体が運悪く品切れとか絶版等で入手不可能となることもあり、そのような場合に、図書館間の協力貸出の制度を利用して、他館からその資料を借用した上で提供している訳です。皆さんがお借りになる時、特殊なビニールカバーがかけられた資料があったら、それは都立図書館や他の自治体から借用した資料なのです。 その借用先は、2002年度で、借用資料総数5,911冊の内、約72%が都立図書館、26%が市区町村立図書館、残り 2%が国立国会図書館や都外の公立図書館等でした。特に、都立図書館からは毎週協力車が巡回してくれ、市区町村立図書館からの借用資料とともに無料で確実に借用できるのが特長です。一方、国立国会図書館(片道分負担)や都外の公立図書館(往復負担)場合は郵送料がかかるのが難点と言えます。 さて、最近では、ホームページ上に所蔵データを公開する図書館が増え、こうした情報をもとに、ますます図書館間の資料のやり取りが拡大しているところですが、こうして中で、世の流れに逆行化しているとしか思えないのが、都立図書館の協力貸出事業の縮小化です。 2002年4月の都立図書館再編を前に、重複資料の大量処分など利用者無視の政策を断行し、今年度も以下のような協力事業の新たな変更を一方的に通知してきました。 ①新刊書は約3ヶ月間は協力貸出をしない ②昭和25年以前の資料は協力貸出しない ③10万円以上の資料は協力貸出しない ④辞書・年鑑等の参考図書は複本がなければ協力貸出をしない ⑤シリーズものは一度に5点まで ⑥山本有三文庫の資料は協力貸出をしない また、開館当初から都立多摩図書館が培ってきた雑誌の協力貸出についても、都立中央と重複しているものを処分し、実質的な協力貸出制限を始めました。 ホームページ上に所蔵情報を公開し漸く資料へのアクセスが容易になったと思った矢先、上記のように貸出制限対象が拡大され、利用したければ都立中央図書館あるいは都立多摩図書館まで直接来館しなさい!という訳です。全くの来館者優先であり多摩地域の都民にとってはサービス後退の何ものでもありません。 東京都には広域行政を任された責務、即ち、第一線図書館である市区町村立図書館をバックアップするという責務を極力削減していこうとの思惑が見え見えです。ゆくゆくは都立多摩図書館がなくなるのではとの不安もよぎります。 |
こうした都の姿勢に対して、利用者である都民ひとりひとりが直接声を上げない限り何も変わらないでしょう。地元自治体の理事者へ・議会へ・都立図書 館へ・都知事へ・都議会へ、さまざまな方法で私たちの声を伝えましょう ! |
障害者サービスの利用者として都立図書館問題を考える
中山 玲子 このたび、「日野の図書館を考える会」の皆さんから、「都立図書館における障害者サービス利用の問題について書いてほしい」という依頼を受けました。その際、私自らが日野市立図書館の職員でもあることから「仕事上の立場もあると思うから匿名での原稿でかまわない」という配慮の言葉をいただきました。 しかし、私はあえてこの原稿を実名で書くことにしました。その理由は、先ず「自分を偽りたくなかったこと」、そして、「職員対利用者という関係で動いている日野の図書館を考える会の中で私はそういう立場の違いによる枠を取り払って活動したい、つまり、図書館員も個人の立場になれば一人の市民であることを強調したかったから」です。私にもたまには「職員」という殻を脱がせてください。いつも少数派としてその願いの声を社会に消されてしまう障害者の一人として、障害を持つ仲間の声をありのまま皆さんに伝える立場にならなければ、と強く思うから。 私は、都内在住の視覚障害者です。活字を読むことは困難であり、あらゆる情報は点字または音声から入手します。 例えば、健常者の方ならば、図書館や書店に行って自由に棚から本を選びその場で読むなんていうことは当たり前のことと思いますが、私たち視覚障害者にとってはそのように自由に読書することは夢のまた夢であり、図書館やボランティアグループが行っている音訳・点訳サービス(弱視の人なら拡大写本サービスも利用できる場合もあります)に頼らざるをえません。 ![]() ところが、私の住んでいる街(日野市ではありません)の図書館では録音サービス(本など読みたいものをカセットテープやCDに録音すること)は行っていないようです。点訳サービスは、担当職員の方の大きな理解も得られてようやくスタートするようですが、まだ起動にのっていないので自由に頼めるという雰囲気にはなっていません。対面朗読サービス(読みたい本などをその場で読んでもらえるサービス。ただし多くの場合予約制)は盛んに行っていますが、フルタイムで働いていて個人的な活動も忙しい私にとってはなかなか利用する時間がとれません。そんなわけで、地元の図書館に読みたい本があっても点訳や録音の依頼がしにくく、結局読むことをあきらめてしまうことが多いです。 個人的に持っている本は都内の点字図書館やボランティアグループに点訳や録音の依頼をすることがあります。でも、どこも人材不足で忙しいんです。それに、点字図書館の中には、都内の多くの公共図書館同様点訳者や音訳者に謝礼を払っているところもあり、そんなところでは「予算がないけどなんとか引き受けましょう」と言われます。そんなことを言われるとこちらも負担で「そこまで手間をかけるなら読みたいものを我慢しよう」と思ってしまうんです。 さて、前置きが長くなってしまいましたが、今回は、最近の都立図書館の問題を受けて、私が今抱えている都立図書館利用の問題と、今後の不安について書きたいと思います。地元の図書館などでの録音や点訳のサービスが前述のような私にとっては、本当は最も頼りたい図書館が都立図書館なのですが…。 ![]() これから少しきびしいことを書きますが、それは皆さんに私のような視覚障害者がおかれている図書館に対する切実な問題を知っていただきたいからです。しかし、おさえておかなければならない大切なことを一つ。それは、こんなに問題のある都立図書館にも熱意のある職員の方がおられるということです。そして、そういう熱意のある都立図書館の職員の方が、理想と現実のギャップに今一番苦しい立場におかれているのではないかと私は考えます。そんな職員の方が言えないことも、利用者である私だったら言えるのではないかということで、思い切って書きます。どうか、この私の文章を読んだからといって、都立図書館の職員の方への安易な批判はしないでください。 私は都立中央図書館と都立多摩図書館の両方に利用者登録をし、それぞれの視覚障害者サービスを利用しています。こう書くと「便利に利用している」と思われるかもしれませんが、今まで経験した問題を書きます。 今から3年前、都立図書館のホームページから読みたい本を1冊見つけました。都立中央図書館所蔵でしたので、都立中央図書館に点訳の依頼をしました。外国語も入ってくる本でしたので、点字で読むことに向いている本だったからです。ところが、「点訳の予算がない」と断られてしまい、やむを得ずテープ録音してもらうことにしました。ところが、いくら待ってもその本の録音が完成したという連絡はなく、1年半たったころに待ちきれず、「例の本どうなってますか?」と聞いたところ、「まだ作成中です」とのこと。困った私は職員に無理にお願いして、録音しただけの(校正もされていない)その本を、できたところから貸してもらうことにしました。でも、なにしろ校正前ですから、間違った読みもあるようで、そのテープを聞いていても信頼できるものではありませんでした。そんなことをしているうちに録音依頼からもう3年です。もちろんまだ完成していません。というか、私の手元には完成したものがまだ届いていません。「予算がなく、なかなか録音が進まない」との職員の方のお返事でしたが、今でさえこんな状況です。都立図書館の予算がこれからさらに削減されると聞いていますので、もう都立の図書館にある価値の高い専門書の点訳や録音はしていただけなくなるのではないかと不安です。皆さんなら、読みたい本を3年も読めずにいるなんてこと考えられますか? それから、都立図書館の職員もどんどん削減されています。点訳や録音サービスを担当する視覚障害者サービスの職員も例外ではありません。今でも、都立図書館から借りる点訳図書や録音図書の質にはときどき「あれっ」と首を傾げてしまうものがあります。こんな状況で、職員がさらに減って、質の良い図書製作が今よりもしにくくなると思うとこれも不安なことです。 それから、都立図書館は、規模が大きいためか、非常に分業化されていて、「視覚障害者のことは、視覚障害者サービス係に任せれば良い」といった風潮があるようで、視覚障害者サービス担当以外の職員の、障害者に対するコミュニケーション力の低さを電話応対や直接の関わりの中で感じることが多く、かなしい気持ちになることがあります。 今、この都立図書館の問題について多くの皆さんが熱心に活動されていますが、私からすると、「それでも皆さんは私たち視覚障害者よりもずっと自由に都立図書館を利用できるではないか」といううらやましさが沸いてきてしまいます。どうして、障害のある人とない人との読書環境には未だにこんな不公平があるのでしょうか。 この原稿を書くにあたり、与えられた文字数をずいぶん超えてしまいました。それだけ、私たち障害を持つ者は、普段図書館に対して我慢して黙っていることが多いことをご理解いただきたいと思います。 最後になりますが、今回は日野市立図書館の職員である私が都立図書館の障害者サービスについてできるだけ率直に書きました。今後、こんな私のように率直に、日野市立図書館の障害者サービスについて飾らない意見をくださる利用者の方がどんどん増えることを期待しています。なぜなら、図書館は「市民が育てる」ものなのですから。 |
「多摩むすび」からのPR
昨年10月に発足しました「多摩地域の図書館をむすび育てる会」(通称「多摩むすび」)のプロジェクトチームから、多摩地域における「資料の保存」の問題について、9月4日、本報告 『東京にデポジット・ライブラリーを作ろう!-多摩発・共同保存図書館基本構想-』 が出ました。 デポジット・ライブラリー(利用のための保存図書館)の設立に向けた提言ですが、今後の取り組みとして、都立再編反対運動時に、署名活動や市議会への働きかけなどをしてくれた多摩各地の方に改めて話しを進め、また、話しを聞いてくれた都議、市議の方などに、東京都と運動に関わってきた私たちのその後の経過を語り、デポジット・ライブラリー建設の協力要請をしていきたいと考えています。 皆さまのご参加ご支援をお待ちしております。 追記:この12月に 『東京にデポジット・ライブラリーを 多摩発、共同保存図書館基本構想』 がポット出版から刊行されました。巻末に関連文献や統計等が掲載されています。是非ご覧下さい。 |
「稲城市図書館利用に関する市民アンケート調査」について
稲城市教育委員会生涯学習課が、「社会教育だより ひろば」というA4判1枚の広報誌を出している。私が手にしたのは2002年12月10日発行で第350号。中央図書館建設に向けての市民の意向を反映させるためのアンケート調査の結果をまとめたもの。稲城中央図書館建設については、地元でのさまざまな事態が噂で流れているが、それは別として日野市でも図書館についての市民の考え方を知りたいと思った。「社会教育だより ひろば」のアンケート結果のまとめは次の通り。 アンケート回答数(男女別、年代別)、利用の仕方、目的、ほしいスペース、利用したい時間などに分けて数値を出している。また、一番利用したい本、利用したい資料、雑誌、CD、デジタル資料など希望があり、最後に「こうしてほしい」という自由回答。 すでに中央館のある地域でも、図書館を利用している市民の利用傾向や希望、利用しない市民の理由などを知る手がかりを得られるのではないだろうか。都立多摩図書館の問題は、実際にはとても大きな意味を持っているが、図書館利用の一般市民にとってはなかなか理解しにくい面もある。だが自分が利用している身近な図書館が無くなるとしたどうするだろうか。(久保田記) |
「図書館の会」参加報告
活動報告

【記録】ひののとしょかんを考える会通信 第7号