『日野市教育委員会定例会会議録』より
○田口委員長 請願第99-6号の審査に入ります。事務局より請願文書表の朗読をお願いします。
○清水庶務課長 請願文書表を読み上げます。(以下、請願文書朗読。)
○田口委員長 では、請願者から請願の事情を述べたい旨の申出がありますので、これを許可します。請願者には10分程度でお願いします。
○請願者 日野市図書館設置条例改定にあたり、図書館を利用している市民、図書館設置当初から図書館に関わってきた者として、今回の改定は到底理解できません。 全国に先駆けて、館長は図書館司書の資格を有するものとする旨の条例を作り、新しい公立図書館の形が広がっていきました。図書館は単に本を貸し出すだけでなく、そのサービス内容は多岐にわたり、深い専門性を求められます。子どもの情操教育に役立つ本の提供、情報の谷間に陥りがちな障害者へのサービス等、図書館司書でなくてはできないサービスです。数少ない情報からでも、いろいろ調べて本を提供してくれることが図書館の専門性なのです。 図書館サービスとは、一人でも情報弱者を出さないための地味で表にでない仕事です。図書館職員には尊い専門性と情熱が求められます。だからこそ、私たち市民も陰で支えられるのです。目の前のことだけで考えるのではなく、幼児から高齢者までが利用する図書館、障害を持った人達にとってなくてはならない図書館をもっと大事にしてもらいたいのです。 日野の図書館は、情報弱者といわれる障害を持った人々に心を砕いて図書館サービスを提供してきました。全国に先駆けてこのような仕事を進めることができたのは、日野市立図書館が図書館職員には司書としての専門性が必要だとの原則を掲げ、多くの司書職員を配置してきたからです。図書館長は司書の資格を持つものでなければならないという図書館設置条例の規定は、日野市立図書館の運営の原則を象徴する規定です。 今回の改定案は、この規定を曖昧にするものですが、私たちにはその理由が全く理解できません。また、事前に図書館を利用する市民に提示されないまま進められました。大事な問題について利用者の意見を聞くために設置されている図書館協議会にも諮られていません。市民ととともに作り上げられてきた図書館の今後のあり方については、市民とともに考えるというのが当然の原則ではないでしょうか。今回の改定は一端白紙に戻し、市民の意見を踏まえ、もう一度教育委員会で検討し直してくださるよう要求いたします。
○馬場委員長職務代理者 図書館の果たす役割、専門職員としての司書の大きな役割がよく分かりました。館長の職務・仕事について具体的に決まりがあるんでしょうか。なければ、どういう仕事をしているのか、また館長は司書でなければ勤まらないのかについて伺います。
○小川図書館長 図書館法では、「館務を掌握し、所属職員を監督して、図書館奉仕の機能の達成に努めなければならない。」とあります。人事・予算・組織の管理者という面と、教育機関の責任者としての役割があります。前者の面ではどの組織も共通だと思いますが、後者については一定のサービス方針を持つこと、資料サービスに関する見識、経験が大切だと思います。
○田口委員長 図書館職員に占める司書のパーセンテージはどのくらいですか。
○小川図書館長 現在は81%です。
○田口委員長 残りの19%はどういう方ですか。
○小川図書館長 一般事務職です。
○冨田委員 請願者のお話の趣旨はよくわかりますが、館長について司書の資格を有する必要があるのかどうか考える必要があります。図書館法第13条第3項に館長の資格要件として司書の資格が必要だとの規定がありましたが、ここで改正され必要性を認めなくなったわけです。それにともない、教育委員会では図書館設置条例第5条第2項を、「図書館の館長は、図書館機能を達成するため、館長として必要な学識経験を有する者とする。」と改めました。確かに「司書の資格」という項目はなくなりましたが、決して排除しているわけではありません。より広範な知識を有する人、経営能力を有する人等も館長として必要だと思います。それらを勘案して、こういう規定になったと思います。 図書館協議会に諮っていないという指摘がありましたが、どうだったんでしょうか。
○渡辺委員 関連ですが、図書館協議会の役割や、今回のような条例改正について諮る必要があるのかどうか、について説明してください。
○小川図書館長 図書館協議会は館長の諮問機関であり、市民の方に図書館の運営についてご意見を伺う機関です。現在は10名の方に委員をお願いしています。今年度は5回開催されました。今回の条例改正については、各委員に資料提供し、ご意見も伺っております。
○冨田委員 そうしますと、この改正案は協議会の意見を聞いた上でまとめたと解していいんですか。
○小川図書館長 委員の皆さんの意見も考慮してこのような条文にしました。
○田口委員長 こういった件は、必ず協議会にかけなければいけないんですか。
○小川図書館長 そのような規定はありませんが、大きな問題としてご意見を伺うという姿勢です。
○冨田委員 これは条例改正ですので、市長部局が議会に提出するわけです。すでに、市長部局にこの案件はわたっていることも勘案し、また内容的に決して司書である人を排除しているわけではないことから、白紙に戻すことはできないと思いますので、不採択にせざるを得ないと思います。
○馬場委員長職務代理者 白紙に戻すことはむりではないかと判断します。改正条文でも、館長になるにあたって司書であることはなんら問題もないわけです。つまり、司書である館長が運営を続けることは十分可能なわけです。我々は、司書の資格を有する館長に反対するということではないということを付記したいと思います。
○渡辺委員 館長の話によりば、条例案については図書館協議会に資料も提供し意見も伺っているようですので、手続き的には問題のないことだったのではないかと思います。
○田口委員長 皆さんの話を伺ってきましたが、本請願については不採択の方向で進んでいるようですが、不採択でよろしいでしょうか。では、請願第99-6号について不採択とすることにご異議ありませんか。異議なしとのことですので、請願第99-6号は不採択と決しました。