【記録】二村健氏講演会『公共図書館の現在、そして近未来を考える』要旨とアンケート結果

                                      2001年4月22日(日)
                                  日野生活・保健センターにて

二村健氏プロフィール
明星大学人文学部一般教育社会科学分野教授
 図書館情報学専攻
 図書館情報大学大学院図書館情報学研究科卒業
    
 【関心領域】
  ・図書館情報学の発展・普及
  ・未来の図書館の形/電子図書館/インターネット上の図書館現象
  ・図書館を通じて視る文明史
  ・図書館情報学教育と情報教育
  ・九州における図書館活動の発展
  ・国文学とコンピュータ
 
 【学外活動】委員等:
  ・文部省:地域電子図書館構想検討協力者会議委員
  ・日本教育情報学会:評議員
  ・全国学校図書館協議会:学校図書館情報化研究委員
  ・全国学校図書館協議会:機関誌編集委員
  ・日野市図書館協議会委員
               <二村先生のホームページから引用>
 
☆主な著作等
 
『2005年の図書館像~地域電子図書館の実現に向けて~』
 文部省地域電子図書館構想検討協力者会議 文部省 2000年12月発行
  二村先生が協力者会議委員として参加。
 
『新・生活の中の図書館』
 関口礼子編著 学文社 2000年2月発行 
  二村先生が共著者。高校生向けのテキストとして編集されている。
 
『電子図書館の神話』
 ウィリアム F.バーゾール 根本彰・山本順一・二村健・平井歩実訳 勁草書房 1996年4月発行
 
『学校図書館メディアの構成』(メディア専門職養成シリーズ2) 
 緑川信之編/山本順一・二村健監修  学文社 2000年11月発行
 
『学習指導と学校図書館』(メディア専門職養成シリーズ3) 
 渡辺重夫著/山本順一・二村健監修  学文社 2000年11月発行
1 はじめに
  何をしてきたか  何をしたいか
2 遠隔学習社会
  欧米の動向  遠隔学習社会の到来  遠隔学習ニーズの把握
3 公共図書館と電子図書館
  公共図書館における電子図書館モデル  遠隔学習メディアとしての電子図書館  遠隔学習時代の公共図書館の役割
4 まとめ

2005年の図書館像と日野市立図書館

 二村氏が『地域電子図書館構想検討協力者会議』に「地域電子図書館構想の報告書に盛り込みたいこと」として提出されたレポートから。
 近い将来、はぼ間違いなく遠隔学習社会が到来します。学校教育を含めて、遠隔学習社会において公共図書館は重要な学習拠点の1つとなる、という考えには、皆様のご賛同をいただけることと存じます。このための立論に必要な次のような観点を盛り込んでいただきたいと思いま

1.学習ニーズはますます高度化し、ITの進展とともにインターネットがそのチャンネルとなる。

2.いわゆる遠隔学習(distance learning)は大学教育をはじめ様々な分野に及ぶ

3.遠隔学習によって学習を進める人々に対して、学習スペースを提供することが図書館として重要であることが認識される。

4.人間は端末に向かってうつうつと学習を進めることは難しい。どこか人恋しく、かといって緊密な人間関係を嫌う現代人にとって、そこに行けば必ず誰かが居て、それぞれは互いに干渉せず、適当に気晴らしをしたりくつろげる設備があり、求めればレファレンスサービスも行ってくれる公共図書館は、遠隔学習社会には誠にうってつけの施設である。

5.学習スペースの提供は、かつて議論された受験生のための「自習室」に似た発想と言えなくもない。しかし、大きく異なるところは、受験生と違って学習者が図書館の資料を活用する場面を限りなく想定できることである。すなわち、学習途上で疑問に思ったことをすぐ調べることのできるコレクションが背後に控えているという点である。

6.「自習室」の廃止は貸出し偏重主義の表れである。この考え方自体は誤ったものではなく、1970年代においては、我が国の図書館界が発展していくための重要なフィロソフィーであった。しかしながら、1990年代後半においては、貸出し偏重主義を反省する議論が聞こえる。これを乗り越えたところに21世紀の公共図書館像が導出されるのである。遠隔学習社会に対応することはその1つである。 

 なお、二村健氏講演会の録音テープをお聞きになりたい方は事務局までご連絡下さい。

アンケート結果

2001年4月22日 参加人数 40名  アンケート回収枚数12名

(1)きょうの講演会はいかがでしたか。1つ選んでください。
   良かった  9名  普通  2名  あまりよくなかった 1名

 感 想 

・これからの図書館について、遠隔学習を1つの大きなテーマとして考えていき、1つの答えを模索していっていることが感じられました。改めて、図書館について考えさせられました。
・市の図書館活動の実態を知って大変よかった。
・電子図書館の話に興味がわいた。
・近未来の動きが知る事ができた。
・これからの時代を考えるとそうなるどろうなと思えます。ただ誰でも使える図書館の形はとっておきたい。
・日野が再びモデルとして新しい図書館像を世の中にアピールできるうになるといいなあと思いました。
・近未来の図書館の姿が見えて、具体的にわかりやすい会だったと思います。こういう時こそ、原点に返って、図書館の果たす役割が一層大きくなっていくように思います。
・大学教授のお話なので質の高い内容であり知らない情報も沢山知ることができ良かった。しかし、一般の人にとってはやや難しく、とっつきにくい印象もあった。欲を言えば、後半の話により重点をおいて、しろうとにもわかり易くかみくだいて話してほしかったと思う。
・私は時代おくれなのかもしれないが、あくまで、「本の図書館」を図書館とよびたい。すきな人が、インターネットをやるのはかまわないが、国民全部がいやおうなくコンピュータを買わされ(買わなければ本当はつかえない)いずれその機会に動かされる社会を考えただけで、ゾッとする。これが、図書館の未来像だというのであれば、どうやら、私は図書館問題には興味がないのだといわざるを得ない。
・電子図書館という構想がどんなものであるのか?ということが具体的に理解できた。遠隔学習を支援するスペースとしての図書館という考え方には大いに期待できるので、ぜひとも実現させて欲しい。生涯学習という観点からも必要不可欠と考えます。

(2)この講演は何で知りましたか。

 ちらし 4名  広報 1名  友人・知人 2名  その他 4名

(3)日頃、図書館を利用していて感じていることを自由にお書きください。

・「本」を知らない職員が多い。(正職以外は質問にこたえないことになっているらしいが、こちらは、だれが正職か臨職か区別できない。)
・新しい本が少ない。他市の図書館にあるものが、日野市にはないということがよくある。本の選定もどうやっているのか、疑問に思うことがある。
・学校図書館につめたい。(公共図書館の仕事の中には当然学校図書館を充実させていくこと、支援することが法的にも定められているが、関心すらないと思える。)
・市民とともに歩むという姿勢がない。(他市では、講演会をひらいたり、文庫連のイベントを支援したりしているのに、日野市は全くやらないことをよしとしている。日野子どもと本の出会いの会のイベントにもほとんど協力が得られない。)
・すいません…最近つかっていません。
・1番は図書館員の対応が冷たく感じられることが多いことです。講義等で知った図書館員としての理想の姿に遠いと感じています。(横浜市立の図書館利用者です)
・楽しんで、仕事として使用してます。・開館時間の延長をお願いしたい。23区では8時まで実施している。
・閲覧室orスペースの充実を望みます。
・朗読テープ(名作の小説)をそろえて利用できるようにして頂ければと考えます。(高齢化が進むと目が悪くなり、細かい文字が読みづらくなります)
・現状で満足している。
・利用者の端末がないので大変不便である。・学習スペースがてぜまである。
・雑誌のタイトル数が少ない。(借りたいものが入っていない)
・きちんとした目録が完備されていない。・利用できる図書館が限定されている。(住んでいる所、通学している所など)

(4)今後、この会に望むものがありましたらお書きください。

・図書館についての身近なわかり易いテーマで取り組んでほしい。
・日野市立図書館の中に流れる古い考え方を改めてほしい。・図書館協議会をもっとひらかれたものにしてほしい。
・あたたかにむかえてくれる本をよくよんでいて力のある司書のいる図書館にしたいものだ。
・発展を期待します。
・活動として大変立派なことであります。今後の活動を願っています。
・日野の図書館の抱えている課題や市民の声を知りたい。
・難しいとは分かっているつもりですが、これからは日野市を中心として、日本の図書館を考え、近隣の会と共同でがんばっていって欲しいと思います。
・今後、コンピュータ等と図書館との結びつきがますます重要となりゆくので、現実的に対人関係が少なくなるようで大いに気になる。この点をどうするか、この問題についての話(講演)をお願いします。
・楽しい会にしていきましょう。
・地域電子図書館構想のモデルとして、再び図書館界を引っぱっていってもらいたい。とにかく一石を投じる役割を果たしてほしいと考える

【記録】二村健氏講演会『公共図書館の現在、そして近未来を考える』要旨とアンケート結果

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