【記録】第1回 共同保存書庫構想/公開説明検討会]の報告

日時:平成15年1月12日(日) 6:30~9:00
場所:立川女性センター・アイム 第3研修室
テーマ:『多摩地域から東京の図書館を考えるプロジェクト』中間報告
参加者数:約30名
司会・守谷(町田)、記録・浴(東大和市)

『多摩地域から東京の図書館を考えるプロジェクト』中間報告

プロジェクトチーム(以下PT)メンバー(順不同・敬称略):斎藤誠一(立川)・鬼倉正敏(日野)・中川恭一(西東京)・吉田光美(調布)・雨谷逸枝(都立日比谷)
代表して、斎藤氏より内容報告。レジュメは、1/13付け斎藤さんからの投稿メールを、本文は「多摩むすびHPを参照のこと。

質疑応答(以下発言者敬称略)
氏家(小平図書館友の会):NPOという選択肢があるという話だが、NPOも非営利だけで経費はかかる。
 5万冊の図書を管理するのに最低一人は専従のスタッフが必要だし、パソコンなどもいる。
 人件費もかかる。資金については?
斎藤(PT):市町村から移譲された図書のうち複本分を売る、各種補助金・助成金、会費などで運営できるのでは、と考えている。スタッフはボランティアという手段もある。
氏家:スタッフにはお金は払ったほうがよい。
石井(実践女子大):事業計画と経理はしっかりさせるべき。NPOでも税金は払わなくてはならない(年間7万円くらいか?)。関連団体にアピールして会員を増やす必要がある。バラエティにとんだメンバーがいる。補助金などに強い人など。
黒子(代表):報告書p14-15に書かれている内容が重要。
  浴・注:運営経費①各自治体のデポ使用料の徴収
    ②寄付金・運営出資金・維持会員費 ③補助金の模索
    ④自助努力による資金創出 ⑤各自治体で廃棄となった資料の保存分以外の資料については、デポのリサイクル事業として相当の対価で販売を行い、その収入も運営資金として活用します(ただし
    “BOOK OFF”批判がある中では慎重な対応が必要です)。注・終わり
斎藤:NPOでやるとPTで結論を出したわけではない。議論して欲しい。ただ都や市町村が動くかは不安。
荒井(八王子市):NPOの法人格にこだわらなくてもいいのでは。一部事務組合の可能性。企業は?(メセナ活動をしているところもある)
 浴・注:一部事務組合とは?市町村等の事務の一部を共同で処理するために設立された組合。特別地方公共団体になる。1市町村では対応できない、あるいは広域で取り組んだ方が効率的である、等の理由で設立されるもので、ゴミ処理、消防、火葬等様々な事務処理のために各地で設立されている。
 一部事務組合で図書館を運営している自治体もある(岡山県・蒜山教育事務組合立図書館八束村など)。
斎藤:大学のコンソーシアムもいいかもしれない。NPOなら法人格が必要ではと考えた。その方がアピールできると思った。東京都内に限らず、神奈川などと一緒になって作る方法もある。
荒井:市町村自治調査会は?
 浴・注:東京市町村自治調査会とは?http://www.tama-100.or.jp/question.html
参照
 多摩・島しょ地域の市町村は広域的・共通的課題をより体系的に調査研究し積極的な政策立案を展開する必要に迫られる。このような情勢を背景に昭和61年、多摩・島しょ地域の全市町村の総意により「財団法人東京市町村自治調査会」が設立された。以降、自治調査会は多摩・島しょ地域の自治の振興を図り、住民福祉の増進に寄与することを目的とした都内市町村の共同の行政シンクタンクとして、調査研究、情報提供、共同事業、住民交流活動の支援などを行なっています。
斎藤:一部事務組合設立には何年もかかりそう。公的な部分(市町村館長協議会内の図書館サービス研究会)からの提案として、市町村自治調査会の中に図書館部門を作ってもらい、デポ以外にも広域的な課題を研究することもできるだろう。
黒子:町田で預かってもらっている5万冊の所有権はどうなっているのか?今後都の再活用を受けるのには、法人格があったほうがいいはず。もしくは都の再活用を市町村が受けて、それをNPOとして引き取るという道筋も考えられるが。報告書p14の「各自治体のデポ使用料」は図書館利用の有料化につながりかねない。各項目について具体的な情報が欲しい。
斎藤:デポ使用料は取らないほうがよい。リサイクル等がうまくいけば不要となる。
手嶋(町田):5万冊は町田市に所有権がある形。都からトンネルでNPOはむずか
しいのでは?当初館長協議会として預かりたいと都に申し出たが、館長協議会という任意の団体には譲れないと都に言われたことがある。
黒子:5万冊利用の実績を作るとよい。が実際にどのような内容の本があるのかによって利用状況は異なってくるだろう。多摩の市町村の除籍本を集めたほうが利用は増えるだろう。都の本をどんどん取り寄せる運動をしてはどうだろうか?たとえば都立多摩のレファレンス本を協力貸出することで、複本の必要性などを数字で残せるように。
斎藤:都も再活用で残った本の処分に困っているのでは?それを引き取れないか?
 浴・注:前段の報告の中で、斎藤氏は「都はもともと再活用されなかった本は溶解するつもりだったのが、しないでとっておくと変わった(しんぶん赤旗 2002/11/10記事参照)。これは我々の反対運動の効果が現れたものである」と感想を述べた。
浴(東大和):5万冊は都の複本分。都立から借りてしまえばあまりこちら側の資料の利用率はあがらない。多摩各市の除籍本で都にはない本を利用できることで、存在価値がでてくる。多摩各市の除籍本を譲り受けることができるかどうかが鍵だ。
守谷(町田):町田の除籍本のリサイクルは大盛況だが、一般の人にただで配ることに抵抗のある人もいる。公的財産でも資料を残していくという意義を理解してもらえればできるのでは。都民の財産である除籍本や遊休施設を活用すること/共同保存書庫は全国初の事業。文化を残すという“美しい話”であること/NPOの活用、はいずれも我々の強みとなるだろう。都の弱みは、本来は都で行うべきことを行っていないこ
と。それが逆に我々の強みともなる。したがって、施設の維持管理は都でしてほしいなどと交渉することもできるだろう。
岩井(小金井):都の政策を認めて対応策をたてているように思えて、腑に落ちないな-。
斎藤:そう思えるかもしれないが…。うまくいえない。都道府県立図書館の位置づけが今後変わっていくように思う。都のやり方にほかが追随するのではないか。
浴:我々は都のやり方を批判してきたが、一方で市町村でも年間49万冊もの本を捨てている。同じ穴のむじなかもしれない。都立問題をきっかけに多摩地域の課題がみえてきた。広域化も今後のキーワードとなる。
吉田(調布):5万冊の複本は、都で所蔵している分をレファレンスで使えるように、協力貸出分をこちらで負担しましょう、と都へ交渉することもできる。だから都の再活用本を引き取らせて、など。市町村の本は移譲ではなく、「寄託」というスタイルもある。所属は各市のまま、保管だけこちらでするなど。
守谷:都がレファレンスに特化する → 協力貸出を切り捨てた、ことになる。しかも一方的に!これを認めたわけではない。しかし対応策は現実的に必要。
斎藤:対応策をこちらからも出しながら、交渉していく方法をとりたい。
黒子:都の「あり方検討」では「新たな相互協力ネットワーク」をうたっている。それに対し、どう援助するつもりだ?と問いかけられる。もっと具体策を出させる。その検討に市町村も加わらせる。
石井:考えられるあらゆることを行う。都に対しては必要なことは言い続ける。都の再活用に対し文句をいうグループ/資金調達。財界人との接触などのグループ/市町村の除籍本の検討をするグループなどに分かれて動くべき。
岡田(狛江):除籍本リサイクルは無料しか知らないが、有料でやっているところは?
 有料にするのには利用者は抵抗があるのでは?
守谷:町田では商店街祭りに提供。チャリティーにしている。2日間で3~40万にな
る。
氏家:無料リサイクルが定着している自治体では、理解を求めていく必要がある。
浴:場所について。本の重みに耐えられる建物でなければならない。遊休施設なら
 どれでも、というわけにはいかない。
黒子:家庭で不要の本棚をもらいうけるなどもありえる。情報を流して協力を得る。
蓑田(東大和):進め方について。報告書にはかかれていないが、PTの中で出た話題や採用されなかった案なども提供して欲しい。日程について、日曜の夜が多いので違うパターンも必要だ。
斎藤:複本の活用法として、海外の日本語学校に本を送ると外務省から補助金が出る。
久保田(日野):図書館除籍本を貰い受けて、点字をはって学校に寄贈する活動をしている。外国へ送ると寄付でも関税がかかる。NGOなどとタイアップするとよい。
斎藤:ラベル貼りなどを作業所にしてもらうのも考えられる。
久保田:NPOの寄付に対する税金が安くなる法改正がある。自分たちは助成金のみで活動している。実績を積んで、案文をうまく書くとよい。
氏家:各種助成金は福祉目的のものが多いようだが。
久保田:図書館でも障害者も利用できるなどとすると福祉目的のものも対象になりえる。要は文をうまく作る。
川真田:複本を外国に送る前に、学校図書館でも欲しいが…。活動には短期・長期がある。保存庫の要求もすぐかなえられなくても必要。
斎藤:とりあえずあるもので始めても、どこかで保存庫に移行したい。がバックが欲しい。
川真田:学校では図書館の必要性が理解されていない。共同保存書庫も、もっと理解されるよう努力が必要。
斎藤:毎月講演会をするなど人材育成にかかわる活動もできるだろう。
川真田:図書館が自分に役立つことをPR。もっと他の人にもアピールしていく。

以上。

堀事務局長より:
①今後下記の日程で、引き続き公開説明検討会を行い、内容について煮詰めていきたい。
  第2回 2/9(日) 2:00~5:00 町田市立中央図書館 6F中集会室 ℡042-728-8220
  第3回 3/9(日) 6:30~9:00 東村山市立中央公民館(図書館ではありません) 2F第3会議室 ℡042-395-7511
  第4回 4/13(日) 調布市 場所・時間 未定
 なお、日曜の夜ばかりはどうか、という意見がでた。今までの経験上土日の夜がもっとも人が集まったという事実があってそうした。が市民も多く参加できるように、第2回の町田については、時間を昼間に変更したい。
②会員を募集している。メーリングリストは会員でなくても参加できる。が入会金 1,000円を払って正式な会員になってくれるのも大歓迎。
③内容や進め方についての意見は、メーリングリストや事務局長あてに郵便でもかまわないので、送って欲しい。 
 
【記録】第1回 共同保存書庫構想/公開説明検討会]の報告

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