【記録】第2回公開説明会記録

2月9日 14:00-17:00 於:町田市立中央図書館集会室

第1回同様、「多摩地域から東京の図書館を考えるプロジェクトチーム」代表 斎藤誠一が中間報告の概略を説明後、質疑応答及び意見交換を行った。主な内容は次のとおり。

質疑応答
Q1:共同書庫をNPOで運営するというのは、良いアイディアだと思うが、場所は一ヶ所と想定しているのか?
A1:効率を考えると散在は難しい。当面一ヶ所と考えている

Q2:共同書庫には司書は常駐か?
A2:常駐が必要と考えている

Q3:図書館の大きな目的の1つに保存がある。書庫は拡大しつづけることを覚悟せねばならない。共同書庫は、まず、どういう蔵書構成にし、どういうサービスをするかという検討から始めるべきではないか?公的にどこまでやれるか、市町村立図書館が解決の核にならなければ保存図書館の設置は無理ではないか?
A3:今回の再編計画を見ると、都立が保存をするという状況ではなくなっている。市町村でも毎年50万冊近くを除籍しリサイクルに回している現実があるが、本当に不要なものなのか価値のないものかの判断をきちんと行えているとは言いがたい。ITの進展を生かして情報の共有化を進め、もっと市民によい情報を提供していく可能性を探りたい。場合によっては民設公営もありえると思うが、早い時期に公設を実現させるのは困難と判断して、NPOによる民設を提案している。

Q4:1館では買えないものをみんなで買うという発想はないか?古い住宅地図や各自治体の条例などはDEPOで保存していくのだろうか?
A4:現段階では購入は考えていない。将来、広域的な図書館運営を考え始めたら、あり得るかもしれないが。
   地域情報については、各館が廃棄するならDEPOでストックすることになろうが、本来は各自治体で考えるべきだと思う。

Q5:DEPOで、レファレンスはするのか?
A5:蔵書のあるところにレファレンスは付き物だという思いはあり、検討はした。都立図書館が今後どういうスタンスをとっていくかにも関わるが、現段階では無理。

Q6:DEPOを「都が行う可能性がない」「市町村が一部事務組合で行う可能性はなくはないが時間実現までに時間がかかる」という判断の裏付けは何か?行政が担わなくてはならない部分を明らかにしていくべきでは?
A6:「あり検」による都立再編計画で都は現行以上の書庫の拡張は行わないとし、限定的な保存しか期待できない。一部事務組合での運営については、市町村のスタンスや財政力の関係で早期に実現は無理だと判断した。保存については、国立国会図書館が最終的な責任を負うということで資料の電子化も進めており、電子化によってカヴァーできるものもある。今回提案しているDEPOは、第2の保存図書館を目指そうというものではない。現行の著作権を考えれば、出版されてから100年程度は現物を利用を前提とした状態で保存しておくことが望まれる。日常的に使うものはそれぞれの館で、広域的にみて利用があるものはDEPOで提供できるようにしていこうという考えだ。

Q7:学校図書館の現状が配慮されていないようだが?総合的な学習が本格的に始まったら、資料が足りずにとても対応しきれないのが学校図書館の現状で、DEPOでのリサイクルはとても待ち遠しい。
A7:確かに学校の問題は大きいが、リサイクルがDEPOの主な仕事とは考えていない。各自治体の中で、まず考えることで、DEPOでのリサイクルは次善の策になるだろう。

Q8:「中間報告」本文のP.3で「中央図書館が単独館での限定したサービスを行うことを選択」とあるが、中央図書館で集約したサービスを行おうとしているのであって、事実と異なるのではないか?
A8:都の保存に関する役割の推移についてのことだが、「あり検」では現有書庫の削減不拡張を表明しており、蔵書容量を限定した中では限定的なサービスにならざるを得ないだろう。誤解を与える文章ということなら、本報告の際には表現を変える。

Q9:信頼できる保存図書館を作るには、50万冊程度の蔵書が必要。蓄積するには相当の年月が必要であると同時に、ステレオタイプの収集を区市町村の図書館が行っている現状では、広範な分野の資料を除籍資料の中から収集するのは困難。各館で主題を分担して責任をもって収集するなど、収集の時点から保存を考えておく必要がある。
A9:都立が作成しているISBN目録によれば、ISBNを持つものだけでも互いに重複しない80万点のタイトルがあり、それなりの収集は可能と考える。10年先を考えれば、今から始める必要がある。

意見交換
(1) DEPOの具体策は出ていると思うが、理念について不十分だと思う。図書館がどのレベルまで住民にサービスしていくのかのシビルミニマムといったものを出していきたい。

(2) DEPOの本来業務は、「都内の図書館が収集したものは1点1部は保存する」「DEPO所蔵資料のデータベースを作成し、公開する」が主なものになると思う。

(3) 現在、市町村で50万冊近くを毎年処分しているというが、その具体的な内容というのを知ることはできるのか?K市では市内への有効活用を他市のように行わずに廃棄しているようで、自分たちの文化をどう保存伝達していくかという意識が希薄。行政がやらないなら自分たちがという心意気が良い。

(4) 都立多摩で参考図書を各館に貸出してくれていたことは、大きな意義があった。参考図書を自宅に持って帰ることができると、ゆっくり使える。図書館が開いている時間に何回も足を運ばずに済むのは本当に助かる。特に現在の区立図書館などで顕著だが、今後、インターネット情報に頼って「どこでどんな資料をもっていて、どんなサービスを提供しているのか」を把握せずに利用者に相対する職員が増えることが予測される。書誌情報だけでは、役に立たないこともある。
(5) DEPOがあれば全て問題が解消される訳ではない。ただ、現在廃棄してしまっているものをとっておけば、思い切ったことができるのではないかという気がする。

(6) 自然科学の技術書のようなものは、長期に保存しておかなくてもよいように思う。Book Offにすべてがあるかのようにいわれることがあるが、そんなことはない。魅力的な蔵書を構成するには時間がかかるものだ。

(7) 古くても使い勝手の良い本というのが、自然科学の基礎的な分野ではある。愛用していた本がある日忽然となくなっていたりすると本当に悲しい。

(8) 町田の預かっている5万冊をなるべく早く利用できるようにしたい。議論も大事だが、動けることは少しでも早く動き出したい。

(9) どうすれば図書館をもっと使えるかを知らせるような有料講習会をやると、基金ができるのではないか

(10) 学校での資料利用は、同じものを同じ時期にと集中する。回し使いができるような方法を考え出せないだろうか?

(11) 子どもの読書推進について検討されているが、国・都道府県がどういう環境を作ろうとしているのか具体的にはわからない。

最後に事務局長から「本日の内容は、次回以降の説明会に反映させていきたい。今回もそうだったが、PTの基本的な提案については時間を短縮し、質疑や意見交換の時間を多くとるように心したい。」との発言があり、閉会した。
【記録】第2回公開説明会記録

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