【記録】「多摩むすび」 第4回 共同保存書庫構想/公開説明検討会 報告

平成15年4月13日(日) 18:30~21:00 
調布市文化会館たづくり 1002学習室
参加者:38名
司会:堀

1.  挨拶・経過 「多摩むすび」代表:黒子

2.  挨拶 調布市立図書館長・図書館長協議会会長:座間

3.  共同保存書庫構想中間報告について プロジェクトチーム:斎藤・吉田

4.  質疑・討論
・ デポで保存するのでなく、各市の図書館内で最後の1冊を保存するのでもなく、三多摩の図書館全体の中で最後の3冊を、持っている図書館に残すことはできないか。
・ 現在、都立図書館にあれば除籍している状況。書庫のキャパシティが無いので、最後の3冊を、それぞれの図書館で残さなければならなくなると、「早めに捨てた方が勝ち」というふうな変なことになってしまうのでは。デポが無いと、自分の図書館のまともな蔵書構成が作れなくなってしまう。
・ これが最後の3冊かどうかということをISBN総合目録検索して調査してから除籍する、ということが現実の業務量の中では無理。
分担保存に関しては、図書は無理だが、雑誌なら数タイトルずつであれば、業務量の負担も少なく、保存できるかもしれない。
・ 蔵書構成の主体は各図書館。選択肢としてデポもある、ということを考えている。
・ NPOの経営は、ペイしていくのは難しい。古本屋でも本が売れないのが現状。図書館の古本が利用されるか。単行本だけに特化するとか、どういう本なら使われるのか検討が必要。保存する「場所」が最もお金がかかる部分なので、使われる見込みの無い本を集めておくのは大変。
・ 古本屋の本は買われてしまったら、他の人は使えない。デポの本は残すことで皆が使える。営利的判断でテポの本を持つのではない。
・ 株の本のような、実用書の古い本で、何に使うのだろうと思うような本でも、実際に借りたいという申込がある。何が使われるかは一概に言えない。
・ デポではなく、市民どうしが掲示板を持って本を貸しあうような、市民の本棚を共同保存庫にする仕組みをつくれないか。
・ そこに本がある、というデータが無いと、その本を利用することができない。市民の持っている本を使うということでは、市民が寄贈してくれる本をデポでひきとる、ということも考えられる。
・ 市町村の図書館で除籍されている年間48万冊、除籍の価値基準は何か。その時代の証の本が捨てられていることは問題。日本では、火事や戦争などのために、普通に読まれていた本が無くなって手に入りにくく、むしろ一部の希少な本だけが古本屋に残っている状況がある。緊急避難的にはじまったデポのことだが、新しい可能性をもっている。
・ NPOでの運営は、公立図書館のNPO化につながっていく危険性がある。太田市ではレファレンスをNPOにまかせているし、中野区は図書館のNPO化を計画している状況がある。
・ デポの経営のために図書館の古本を売りさばくのは無理だ。古本屋でも、引取価格は安いし、文庫本は引取りたがらない。売っているものも安い。
また、図書館に、個人で体系的に収集した本をまとめて寄贈しようと思っても、図書館側は、図書館で必要と思うものしか引取ってくれない。また、引取ってくれても、保存状況が、特に雑誌などはよくないので、管理上の不安がある。
こういう状況の中ではデポは難しい。図書館は分担収集・分担保存を考えるべき。
ただ、すべての分野をカバーすることはできない。今、実用書や文学作品が差別されている。公共図書館向きの分野を、例えば台東図書館のように「海音寺潮五郎の作品を中心に時代小説」…というように、分担収集・保存すれば、他の分野は多少いい加減でも、捨てても許してもらえるのではないか。
・ NPOでやるにしても、各市がそれぞれバラバラな状況。NPOが各市と対等に付き合っていけるのか。
・ 古紙リサイクルは、本をつぶして紙にするための、バックヤードの確保と手間が大変。
・ 都立の協力車を配本に利用する案は、官庁のものを使うのは、コスト意識が弱く効率が悪いのでよくない。車は民間の力で。
・ デポは創造的な話だが、そうとうハラをくくってやらないとできない。始めてしまったら、やめられない。自分がかかわっている図書館では、海外との本のバーターなどもやっているし、コピー代は1枚200円もとるが、大変。事業でカバーするためには、創意性が必要。何でもやらないとなりたたない。
・ 住民図書館の資料は、減殺は埼玉大学にあるが、今は市民が問い合わせをしても、実際には使えない状況。デポは、うまく提供していくように、市民が使えるものにすべき。本は、10年に1回でも使われればよいと思っている。
閉会後に会場でいただいた追加意見
・ あくまでも保存は「都の責任」であるということを明確に。NPOでやるにしても、「都がやるべきことをNPOがしている」という形がわかるようにすべき。デポの名称の副名称?を「都立図書館の除籍本の維持再生機構」としてはどうか。

今後の予定
  1ヵ月後程度をめどに、本報告を作成し、報告会開催する予定。

【記録】「多摩むすび」 第4回 共同保存書庫構想/公開説明検討会 報告

トップへ戻る