(館長協議会が提出した第2次あり検に対する意見書への都立図書館の回答) |
◇協力貸出について 「今後都立図書館は、・・・区市町村立図書館に対し、専門書等の協力貸出を行う」とあるが、区市町村では書庫の規模からも長期の資料保存は困難。協力貸出制限とも受け取れる「専門書」という表現は支援及び連携・協力の観点からして疑問。 区市町村立図書館が資料の貸出など住民への第一線の直接サービスを役割としているのに対し、都立図書館は広域的自治体の図書館として高度・専門的な情報サービスの提供と区市町村立図書館への支援を主な役割としている。この役割分担に基づき、これまでも都立図書館では専門書等を中心に資料を収集し保存している。今後役割分担の一層の明確化を図り、区市町村立図書館への協力貸出についても、専門書等を中心に行っていく考えである。 ◇蔵書の充実について 「各分野の核となる資料を・・・収集し、蔵書の整備を図っている」とあるが、「専門書等の協力貸出」と合わせ読むと、蔵書の多様性に疑問をおぼえる。核となる資料はもちろん、広く蔵書の充実が必要であることを明確にすべきである。 都立図書館は、これまでも、区市町村立図書館が収集する実用書などの一般図書を除き、高度・専門的な情報サービスを提供するために必要な専門書や参考図書など、各分野の核となる資料を収集して、広範囲かつ豊富な蔵書の整備を図ってきた。今後、都民の課題解決に役立つ情報及び都の施策の立案・実施に必要な情報をより的確に提供できるよう、蔵書の一層の充実に努める。 ◇収蔵対策について 「資料の保存年限のあり方など、今後の資料保存の考え方について改めて検討すべきである」とあるが、保存年限のあり方の前に資料の長期保存の手立てを検討すべき。日比谷を含めた現有の都立図書館書庫の活用、区市町村と共同での資料保存など、長期の資料保存を都立の「広域行政に求められるサービス」のひとつとして再確認すべき。 市町村立図書館長協議会で検討中の「共同保存プロジェクト」への参加を提唱する。 都立図書館では、第一次あり方検討委員会報告を受け、資料の収集・保存を中央図書館と多摩図書館の両館で原則1点とすることにより書庫スペースの効率的活用に努めてきたが、それでも数年後には書庫が満杯になる見込みである。このため、資料の保存年限のあり方など今後の資料保存の考え方に立ち返って検討を行うこととした。その上で、資料の長期収蔵のための具体的対策を検討していく。 資料の保存の分担については、収集分担のあり方とともに、今後区市町村との協議の場を設け検討していく。 ◇日比谷図書館の地元区への移管について 日比谷図書館を書庫として活用することの他、次の点に配慮を求める。①日比谷だけが所蔵する資料については都立として引き上げて公開する。②フィルムライブラリーは都民が等しく利用可能な環境に配置すること。 日比谷図書館は千代田区への移管を図ることとしているので、書庫として活用することは考えていない。 ①②に関しては、利用者サービスの継続を前提として、都立図書館の役割に照らして対応策を検討しているところである。 ◇業務委託の推進について 業務委託には図書館の空洞化の危険が伴うことに充分配慮すべきである。 コスト削減のため、司書が担わなくても可能な非基幹的業務(データの入力業務、書庫内資料の出納業務等)について民間委託を推進することとしている。司書を基幹的業務(図書館の運営方針・事業の企画、資料の選定・収集、書誌・所蔵データの管理、レファレンスサービスの実施等)に専念させることにより、図書館サービスの一層の向上を図っていく。 ◇利用者による費用負担について 電子的情報が不可欠となる中、有料のデータは図書館資料ではないから費用負担をとなれば、図書館の実質有料化になりかねない。図書館法成立の経緯を踏まえ、都立として大局的かつ長期的視点に立った賢明な判断を求めたい。 図書館資料ではない民間の有料データベースを活用して行う情報サービスは、図書館利用の無料原則(図書館法第17条)の対象外であり、その対価徴収のあり方については、図書館の設置者の裁量によることとされている。今後、民間の有料データベースの導入に当たり、利用者ニーズ、コスト、代替資料の有無などを考慮の上、受益者負担の観点から、利用者に一定の費用負担を求めることを検討する。 ◇「第二次都立図書館あり方検討委員会」の運営と「意見」の取扱について 報告書作成過程に区市町村立図書館が参加できなかったことは残念。第一線図書館として遺憾とする。今後改善を要望する。また、意見とそれに対する回答は公開するよう要望する。 本報告は東京都教育庁内に設置した内部検討委員会としての考え方をとりまとめたものである。図書館利用者はじめ広く都民の方々や区市町村からこの報告に対する意見を伺い、また都議会の審議も踏まえて、今後本報告に示した内容を具体化する行政計画を策定することとしている。頂いた意見とそれに対する東京都教育庁としての考え方については、その概要をホームページで公表する。 |
【記録】第二次都立図書館あり方検討委員会報告に関する意見」への回答