【記録】「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見

2008年6月22日付で、「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見書を提出しました。

                                      2008年6月22日
日野市立図書館長
小澤 昭道 様  
                                              
                                ライブラリー・フレンズ日野
                                (旧日野の図書館を考える会)
                                 代表代行 松尾昇治
         「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見
 
 私たちライブラリー・フレンズ日野(旧日野の図書館を考える会)は、「日野市立図書館基本計画(素案)」(以下、基本計画)について、以下のように考えます。
 
1.基本計画の策定にあたり、8名の公募市民の参加をえて議論が進められ、その会議の内容が公開されたことを評価します。ただ、ホームページに掲載されるまでにかなりの時間を要したこと、また会議に提出された資料などがホームページ上では見られなかったことは、市民にとって会議の内容を知り判断を下すうえで情報の不足は否めません。

2.第2章の基本理念・方針ですが、もっともな点が多いのですが、崇高な理念を実現させるための人の問題については、ほとんど触れられていない点に疑義を感じています。「団塊世代やシルバー世代に本の貸出等の図書館サービスに係わってもらいます」という方針は、第3次行財政改革大綱による8名の減員分を補うための便宜的な方策かとしか思えません。市民に責任ある図書館サービスを提供するには図書館長の人材も含めた人の問題をもっと議論していただきたい。

3.第3章の重点的な取り組みとして、「『図書館友の会』等市民の活動・組織づくりを支援します」とありますが、図書館への支援を期待してのいわゆる図書館主導の団体づくりはやめていただきたい。図書館は自主的に活動する団体に対し、図書館サービスを通じて十分支援してくれればよいことではないでしょうか。

4.第4章の部門別計画の施設に、新中央図書館建設を実現させるための3つの手法のひとつとして「豊田駅南口再開発等による複合施設に図書館機能を設け現中央図書館と一体的運営」とありますが、中央図書館の機能をできるだけ分散させない方がよいのではないでしょうか。そもそも財政状況の厳しい今の時期に、新中央図書館建設を急ぐよりも、まずは地域と密着した分館の充実を進めることが求められているのではないでしょうか。今は新中央館建設基金の確保に努めるとともに、建設のための十分な検討を進めていただきたい。

5.第4章の部門別計画の運営に、「組織運営として職員の一人一人の専門分野を構築します」とありますが、<2>でも指摘しましたが、それ以前にその人材をどう確保していくのかという方針が示されていないのではないでしょうか。

6.第4章の部門別計画の図書館を支える仕組みづくりのなかに、図書館運営への市民の参加として、「市民ボランティアによる図書館運営への参加機会を拡充します」とありますが、図書館サービスを受けるのは市民であり、市民ボランティアのためのサービスにならないような取り組みを求めます。例えば未整理の地域資料などの整理や内部で行う作業などに協力してもらうことも考えられるのではないでしょうか。

7.第4章の部門別計画の図書館を支える仕組みづくりのなかに、評価の仕組みづくりとして、市民公募による図書館活動評価委員会の設置を図るとありますが、すでにある図書館協議会との関係をどのように考えているのでしょうか。本来館長の諮問機関でもある図書館協議会をこれまで以上に充実したものにすることこそ今求められているのではないでしょうか。今回の基本計画策定に際しても、図書館協議会に対してどのような対応をなされたのでしょうか。まずは図書館協議会の充実を求めるのが本筋だと考えます。

8.第4章の「5.すべての市民へのサービス」で、「(3)青少年へのサービス」では、「中学生くらいから30歳くらいまでの、社会に出るための準備をしている人々」をさすとしていますが、これらを統合する概念を評価しつつ、「30歳ぐらいまで」の人が、中学生対象のコーナーで「居心地が悪くないか」疑問が残ります。15歳以上の年齢差を一括りにする「定義」は社会的には受け入れがたいと考えます。子どもの読書活動の推進に関する法律では、子どもを「おおむね18歳以下の者をいう」としていますから、『子ども読書活動推進計画(平成18年2月)』に基づき・・・としている「囲み」の部分の記述と対応していないのではないでしょうか。やはり、「青年期」のなかでも18歳以上の年齢層へのサービスは別立てで考えるべきです。

9.「(6)図書館利用に障害のある人々へのサービス」では、聴覚障害者へのサービスがまったくと言っていいほど触れられていません。また、視覚障害者についても録音図書だけでなく、大活字本や点字資料等の提供について触れるべきであると考えます。点字講習・市政情報は、点字についても触れられています。これらは、「基本計画」なので、より具体的な施策・方針の中で明らかにしていくことも一つの方法ではありますが、そのときは具体的な施策を市民に公開し、その展望を示してください。

10.35ページの「実践女子大学図書館・短期大学図書館」および「実践女子・短期大学図書館」はそれぞれ「実践女子大学図書館」および「実践女子短期大学図書館」であると思います。ご確認をお願いします。
【記録】「日野市立図書館基本計画(素案)」についての意見

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