【記録】各自治体の図書館協議会から提出された都立図書館再編についての要望書

東村山市立図書館協議会
東京都知事   石原慎太郎 殿
東京都議会議長 三田敏哉 殿
東京都教育長  横山洋吉 殿
東京都教育委員会委員長 清水司 殿
 
      要望書
 
 私たちは、東村山市の図書館運営と図書館サービスについて市民を代表して意見を申し述べ、図書館の活動を側面から支援する東村山市立図書館協議会の委員です。
 この度の都立図書館再編計画に対し、多摩地域の図書館利用者として、また市立図書館のサービスに関わる課題としても多大な危機感を抱き、東村山市立図書館協議会として、ここに計画再考のための要望をいたします。
 「都立図書館のあり方を考える検討委員会」の中間まとめが公表されて以来、市町村立図書館長協議会から市教育長会への要望書の提出や、住民と職員の会からの都議会への請願など、都民のみならず多くの関心が集まるなか、「あり方検討会」の最終答申もまたず、議会での審議もないままに、都立多摩図書館の10万冊の蔵書の再活用先の募集を行うなど現場の図書館関係者、利用者の思惑を無視した極めて強硬な都教育庁の姿勢に驚いています。
 多摩地域においては、23区に比べ小規模な図書館も多く、丁寧なサービスに努めながらも、書庫のキャパシティや資料費の削減により課題が多く、都立多摩の迅速な協力貸し出しやレファレンスは、頼りになる支援機能でした。その体制は、市町村図書館と共に協議しながらつくりあげてきた経過があり、今回の再編計画の突然の浮上と、事を急ぐあまりの独断的な実行に不信感が生まれています。請願の都議会文教委員会での審議に期待する前に、蔵書が散逸してしまうのではあまりに民主的なルールを外れています。
 都立図書館の資料費は、この5年間で48%減、14年度は更に予算10%減の大幅な削減となり、首都東京の文化と知的財産の荒廃を招く一因となりかねません。今回の再編計画は財政的な合理化、資料費の削減から派生したものと捉えざるをえず、図書館政策の大きな後退であり、全国の図書館の運営にも多大な影響を与えます。文化の土壌を育み、子どもから高齢者までのすべての都民への生涯学習の環境整備、都民への知る権利の保障に縮小は許されません。書庫の不足の解消であれば、共同保存庫(デポジットライブラリー)などの設置で対策すべきです。全都民への貸し出しや、参考調査など都立の役割・機能を中央図書館1館だけに集中させることは無理があります。いくら交換便を増やしたところで、本がない状態では十分な提供ができる訳もなく、直接来館した利用者へのサービスにも不都合が生じます。1200万人の「知る権利」があまりにもないがしろにされた計画と言わねばなりません。都立図書館に求められる役割としてバックアップの体制は重要であり、多摩の地域分担機能はより一層の充実こそが必要とされ、サービスの縮小は認められません。図書館関係者、利用者、協議会、議会などへの協議を求めることなく、情報公開もせず、「決まった方向」として見切り発車した今回の動きは、住民不在の大きな問題です。首都東京の知性のシンボルであるべき都立図書館の将来に、私たち都民は危惧せざるを得ません。よって、東村山市立図書館協議会は、以下のことを強く要望します。
 
1 都立図書館の資料費の削減は行わない
2 都立多摩図書館の地域分担機能、支援体制を継続し、且つ充実させる
3 知的共有財産としての多摩の蔵書の散逸や廃棄は行わない
4 資料の所蔵、書庫の確保は、共同保存庫(デポジットライブラリー)などの設置により行う
5 都立図書館のあり方は、広く図書館関係者、利用者都民に情報の共有を図り、協議し、拙速な再編計画を再考する
 
2002年1月19日           
東村山市立図書館協議会
町田市立図書館協議会
2002年2月12日  
東京都教育委員会
 教育長 横山 洋吉 様
(同文のものを都知事、都議会議長、都教育委員会委員長宛にも提出) 
 
町田市立図書館協議会
 委員長 関根 達雄
 
 都立図書館の運営に関する要望書 
 
 平素より多摩地域の教育行政にご協力、ご尽力いただき厚くお礼申し上げます。
 さて、本年1月に「都立図書館あり方検討委員会」は「今後の都立図書館のあり方~社会経済の変化に対応した新たな都民サービスの向上を目指して~」をまとめ、平成14年度より都立図書館の運営について大幅な変更を行うことを明らかにしました。私たち町田市立図書館協議会は、この内容について協議致しましたが、問題の重要性を改めて認識し、ことの重大さに驚いております。これでは、多摩地域の住民に対する図書館サービスが低下することは明らかです。
 そこで、私たち協議会の総意をお伝えしたく、突然ではありますが、次のとおり書面をもって要望する次第です。何卒この件につきまして、関係部署等への指示、働きかけを行って下さるようお願いいたします。
 なお、かかる重要事項の検討に際しましては、今後、区市町村立図書館の関係者及び利用者である東京都民に事前にすみやかに情報を公開し、その意向を十分に反映するよう特にお願い申し上げます。
 
       記 

1. 区市町立図書館の資料提供に支障がないよう、都立図書館の資料購入費を十分に措置して下さい。
 
2. 都立多摩図書館の現有蔵書については、一方的な廃棄及び散逸を行わないでください。

3. 都立多摩図書館が各市町村立図書館へ行っている様々な支援体制を継続し、現在の多摩地域都民への図書館サービスが後退しないようにしてください。

【記録】各自治体の図書館協議会から提出された都立図書館再編についての要望書

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