自分の未熟さをどう鍛えるかについて 請願によるアプローチは敗北に終わった。ファイトのある市民の何人ともコンタクトを取ることはできた。そういうネットワークがあることも、図書館に限らず、さまざまな間題に対処しているエネルギーあふれる人々の存在も確認できた。しかし、図書館の存在意義を地道に広めてゆく日々の活動が十全ではなかったことや、安逸な図書館サービスに慣れすぎていたこと、都立図書館があって当然と思い込んでいたことなど、われわれの仕事の内面に反省を求める声が強くあることを認めねぱならない。そういう「未熟さ」は、この先どう乗り越え、鍛錬して行けぱいいのだろうか。 何ゆえに自分は、利用者と向き合うべくカウンターに座っているのか。自分が背にしている市の財産(これまで作り上げてきた図書館のすべて、行政のすべて)が圧力をかけるからか、杜会への奉仕精神に基づいて誘発された自己実現からか…。 人との摩擦を嫌い、ろくに話もせず、仲間内どうしで協調して安全で安易な砦を築いてしまう。ある世代以降の人に多く見られる風潮だが、図書館員の間にもどれだけ人の顔が見えているのか気になることが多くなった。ここで「人」とは、利用者、市民を指す。ハンディキャップの利用者やボランティアと、レファレンス窓口での利用者と、職員との1対1での直接サービスの現場なら、一人一人の人格と向き合うことになり、そこには本来妥協も安逸もない。真撃に向き合う態度がすべてである。では、その他の業務ではどうだろうか。どのくらい、1対1で真剣勝負するポジションがあるのだろうか。 対象をマス化してしまうと、一人一人の顔を目にはしていても、1対1で向き合っていることにはならない。この度の請願でも、顔の見えている人には語を通すことができた。図書館前で署名をお願いしたときも、われわれは真撃ではなかったか。署名してくださった方には自然と頭が下がつた。 この街にいて、この場から発信できるものは何か。「未熟さ」を克服するには、もっと人と接触する現場を生み出さねばならないのではないか。人との摩擦を乗り越えて、一人の人格と向き合える仕事を地道に広げて行くべきではないのか。よくリクエストする人の顔を思い浮かべつつ、本を発注する。カウンターで新刊を貸出す。お礼を言われる…。しかし、これだけでは不十分である。その人とカウンターで本をめぐるあれこれをデモンストレーションしてみせる。「今度、そのあたりの思いを図書館だよりに載せてみませんか」と誘う。PR効果も狙う。何か、新たな要望を聞き出せるかもしれない。利用者を「獲得する」戦術のあれこれを、図書館員の総カを結集してまとめられないものか。そういう生産的な活動とその過程を経験することが、本題の解答に近づく方法なのではないかと思う。 (中川恭一 西東京市柳沢図書館) メツセージ2 私たちは今、真に民主主義社会に生存しているのだろうか。2月19日都議会文教委員会で講願が保留になった審議を傍聴し、強く思ったことである。都立図書館再編計画は効率・合理化の名目で、一方的に押しっけてきたもので、話し合い、理解のもとでの計画ではない。 当然見直しを求める意見書を都に提出するよう議会に請願・陳情をし、15余りの自治体が採択した。請願には4万人の署名をつけた。教育委員会はこれを無視した。この再編計画でこれからどうなっていくのだろうか。でもめげてはいられない。 町田市に眠る5万冊の図書に命を吹き込むこと、その過程から私たちの求める図書館が見えてくる。次代を担う子どもたちが民主主義を学ぶ知恵の樹を、私たちは育てる使命がある。 これからも頑張っていきましょう。 (多摩市 広井ひより) メツセージ3 都立図書館の再編計画にっいて、都に意見書を上げてもらうように、住んでいる中野区議会に、陳情を出しました。 文教委員会の審議当日は、傍聴に行き、はじめに陳情趣旨の説明、審議途中にも数人の議員からの質問に答えて、追加の説明をさせてもらいました。「よくわかりました」と言ってくれる議員もいて、陳情は全会一致で採択され、中野区は東京都知事及び都教育委員会に意見書を提出しました。 初めての陳情でこの快挙!14万冊廃棄計画の結果はともあれ、わが中野区議会はまだ捨てたものでもないなあと、早い桜と一緒に浮かれる気分もあったのですが…。 中野区の14年度予算審議の中で、共産党が出したという「図書資料購入費、3600万増」の修正案は、否決されたとのこと。13年度当初の図書資料費が区民一人あたり147円と都の区市町村の中では、最低であることを、説明の時にもしていたのですが。 今は、国から村まで、「お金がない」と言えぱ、なんでも許されるという世の中ですが、税金のムダ使い、不合理や不正が、秘書費用や機密費、ムネオハウスくらいだと思っている人も少ないのではないでしょうか。 健康や環境や文化や無形のもので生活の質を量ろうとしない、行き詰まった社会のしくみを変える力はなにか。こんな大きな課題が、頭の中に住み着いてしまいました。有事立法の動きが急な2002年4月20日 (根岸志のぶ 調布市立図書館) メツセージ4 「今後の都立図書館のあり方」には“都民サービスの向上を目指して”などとサブタイトルがっいている。しかし、この1年間「今後の都立図書館のあり方」を作ってきた東京都教育委員会の上層部がやってきたことは都民サービスの向上などにはならない事を行い、さらにそれを進めようとしている。 まず、児童資料を日比谷から多摩への移転児童資料が使いやすく作られた、交通の便の良い図書館から、児童資料を使う作りになっていない、駅からも遠く交通の便の悪いところに移したら使い勝手が悪くなるのは目に見えている。 児童資料を移すために、都立多摩には場所がないから14万冊廃棄(都に言わせれぱ「再活用」)。図書館には資料があってこそ、資料を散在しては図書館の意味がない。 書庫が無いと生涯学習部長は言っている。でも本当は日比谷と中央に書庫は残っている。書庫がある日比谷から、書庫が足りない多摩に持ってこなければならない理由は何?(利用実績のある目比谷図書館を、利用実績を下げて閉館にするための第1歩)。 これ以上本は増やさない。増やすなら予算は付けない、本を買うならその分捨てろと言っている。 これが都民サービスの低下にはなっても向上になるわけがない。 文教委員会では嶋津生涯学習部長は3館が一体となってサービスをすると何度も言っていたが、図書館は現物があってサービスを行われる。どうやっても現物を移動するため距離が問題となる。 ITという空聞では割にどこからでもアクセスできるため、現物を扱うよりは、場所という問題は起こらない。また、大勢の人が利用しても取り合いになることはない。(端末が足りないということはあるけれど) 目録での検索の段階では3館あわせての検索ができ、どこに所蔵しているかが分かるようになっている。しかし、実際に利用する人たちは所蔵が分かるだけではなく、現物が見たいのだ。目録は探している資料の中身にたどり着くための前段階。 協カ車を増やすと言っても図書館があくまでも資料という「現物」を扱っているため、物理的な距離や、1つしかない現物を動かすと他の人は使えないという状況はどうしても生じてくる。また、資料は使われれば傷んでくるし、残念だが、破られたり切り取られたり無くなることもある。 今は図書館の予算が少ないから1冊しか買えない、というのはまだ分かる。しかし、今ある資料を散在する理由はない。現に今書庫はまだ余裕があるのだ。 民主党の和田議員は文教委員会で「なぜ廃棄という誤った情報が流れたのか、情報管理の問題がある」や「廃棄だという誤解」、「廃棄ではない再活用だ」などと言っていた。ほかの議員も「10万冊の麟が進められている。その申し込み状況は80を越える自治体から22万冊の二一ズがある、有効に使われると思う。」と話している。他にも似たような事を言った議員もおり、生涯学習部長の言う「再活用」されれば良いと思われている。 資料を完全に捨ててしまうよりはまだましだろう。 しかし、東京都は、引き取り手が無い本は捨ててしまうと言ったのだ。そう言われたなら引き取りを名乗り挙げる図書館がでるのは当然ではないか。それで引取り手が出れば、二一ズがあると東京都は言う。引き取らざるを得ない状況を作っておいて、よくも「二一ズがある」などと言えたものだ。 まとまってコレクションされているからこそ、個人では持ち得ない様々な資料をみんなが使うことができ、図書館としての意味がある。単に捨てられないからいいと言うものではない。 委員会も事前にすでに話がついていて、実際には議員の質問を一応受けるだけだとか。何カ吟の東京都はおかしい。いや、おかしいのは東京都だけではないかもしれないが。(椎原綾子) メツセージ5 「今後の都立図書館のあり方」について地元の図書館員から話を聞いた時は、私の反応は都立図書館が「本を捨てる」ということが理解できませんでした。 都立図書館は実際のところ遠くて、中に入った事もなく、その存在も遠いものでした。預かった署名をお願いしても、都立図書館があることを知らなかったり、利用したことがない、など図書館員の悲痛な叫びと大きな開きがありました、この温度差がどうしてなのかが私にはわかりませんでした。 都立図書館の学習会をして、都立図書館の役割は理解できても、まだどのようなことが行われようとしているのか、それがどう利用者にはねかえるのか、漠然としていました。都議会・予算委員会の傍聴はなんと言ってよいのか…疲れただけ、都民の意見、市議会の要望などは汲んでもらえず、あの2時間30分は…むなしさだけが残りました、都議会議員も「あり検」の委員も同じで、将来も明日からもずーっと責任は重いです。 3/11に都立多摩図書館を見学することができました、私はこれで温度差がなくなりました。そうなのです、恥ずかしいのですが正直に言って、実際に見学して調査研究の図書館というものがハッキリと理解できました。地下の書庫を見学したときはその広さに驚きましたが、都立多摩図書館のフロアの狭さ、再活用のために書庫がところどころがらんとしていて、ポッカリ穴があいていて、働いている方も書架もとても寂しそうに見えてなりませんでした。児童書が入るということですので、どのようになるのか、あの狭さにどう配置されるのか、見学にぜひ行ってみたいと思います。都立図書館が遠い存在でないことをもっともっと知り、都民の財産である本をこれ以上散逸させないよう見張っていきたいと思います。 図書館員と住民が多摩地域の図書館を一緒に考える場が増えることを、多摩地域のネットワークが出来ることを願います。 (東大和市 小穴とみ) メッセージ6 都立図書館の対応、議会の文教委員会のやり取り・結果に納税者、主権者として唖然としてしまった。特に文教委員会では、あれこれ重要そうな事が実質的な議論もなしに、当局の原案通り決まっていく不思議さ。請願、陳情については実に99%が「保留」となっている実態を、都民の何人が知っているのだろうか。日本の議会民主主義はどこに行ってしまったのかと、青臭いかもしれないが、改めて怒りを禁じえなかった。 私たちが都立問題に感じた危機感は、一人でも多くの人に伝え、共感を得ていかなければ、次の世代に申し開きが出来ない。 「知らないうちにこんな事が…」とならないためにも、図書館は「知る自由」を保障する砦となりたい。その意味でも、今回の愚作はまさに「焚書」であった。(蓑田明子 東大和市立図書館) メッセージ6 「過去形にはしたくない」 浴靖子(東大和市立図書館) この半年余り、都立多摩図書館の活動を守りたい!と思し、自分なりに活動してきた。 図書館員だけでなく、市民やその代表である市議会なども巻き込んだ活動ができたことは収穫だと思う。しかし緒果が伴わない。 今まで行政側の一職員として仕事をしてきたが、今回は住民の立場での活動。行政が一度決めてしまったことを覆すのは容易ではないのは百も承知だったが、一綾の望みをかけていた。 しかし、“負けた”とあきらめてしまうのは悔しすぎる。 住民の立場で行政に目を光らせ、声を上げていくことを続けていかなくては、と思う。 行政政策の立案には現場を知る職員がかかわらなくてはならないと常々考えていた が、更にその感を強くした。 そのために現場の職員はできるだけ直接住民サービスにかかわらなくてはならない。カウンター業務を非正規職員まかせにしてはならないのだ。 我が館でも、平日なら4~5人いる貸出カウンター・職員のうち正規職員は一人か二人。 非正規職員のスキノレアップも必要だが、それらを敢りまとめ、政策に反映していく能力 が図書館正規職員に求められている。 専門職制度が確立されていない我が市では、市役所本庁から異動してくる上司や職員にどう図書館を理解してもらうかが最大の悩みである。 都立図書館にその切実感があったかどうか。大きな組織の中で白分の担当業務だけに埋没していなかったかどうか。 こういう間題が起きるたび、対応の遅さ・理解を求める努力をしてこなかったことが指摘される。ことが起こってからは遅いのだ。そうならないような“しくみ”を各図書館で、多摩地域全体で作り上げていかなくてはならない メッセージ7 熊野簸淑子(調布の図書館をもっともっとよくする会) この間題での都及び都議会の今までの対応には「都立図書館は都民のためのもの」との認識が全く欠けています。今後も続くこの都の行動に対し、市民としては、どう対応して、多摩の知的環境の悪化を防ぐべきかを考え、行動しなくてはならないと思っています。 具体的に私達市民が行動できそうなことを考えてみました。 1. もっと広く、もっと多くの市民に、この問題の本質と重大さを理解し、共に行動してもらえるように働きかける。特に今までこの問題を知らないできた自治体やその市民に働きかける。 2. 多摩全自治体とその図書館が足並みを揃えて、自分達自身で、放出され続けるだろう都立図書館の蔵書を、できるだけ早く、且つ出来るだけ多く保存管理し、多摩全体でスムースに利用できるシステムを作れるよう、自治体に働きかける。 3. マスコミがこの問題を本質的に理解し、協力できるようにするため、より一層強力に働きかける。 みんなで智恵を出し合い、カを出し合って運動を続けましょう。 メッセージ8 都議会文教委員会2月19目「保留」 堀渡(国分寺市立図書館) 2002年2月19目、そびえ立つ東京都庁のビル鮮の一角にある議事堂で東京都議会文教 委員会が開かれていた。平成14年第1回定例都議会に先立つ委員会である。昨年秋以来、東京都立図書館の再編計画に反対運動を続けていた都民と区市町村立図書館職員、都立図書館職員、40人余が昼前から傍聴に詰めかけていた。再編計画に待ったをかけるべき二つの請願が約5万人の署名を集め都議会に提出され、この日審査されることになっていたのである。東京都の計画は昨年4月から都庁内に発足した都立図書館のあり方検討委員会」(以下、「あり検」と略記)で検討され、つい先目の1月24目に最終報告書「今後の都立図書館のあり方」が発表されていた。この報告書は東京都の幹部職員だけで審議され、審議が進行中ということさえ当初は伝えられなかった。利用者や有識者を委員に加えるでもなく、途中で外部の意見を聞くでもなかった。そればかりか都立図書館が大きな変更を余儀なくされるということも、区市町村の図書館関係者や利用者にとってはまったく寝耳に水だったのである。 それでも昨年7月に図表3枚の中間報告が出て、秋頃には区市町村立図書館職員や関心ある都民の知るところとなり、このまま決まっては大変だと様々な運動が始まった。それは客観的に見れば短時間に大変な盛り上がりであった。この2月の時点では多摩地区26市3町五村のうち13に及ぶ市町村議会から東京都に向けて意見書が出されていた。(他に2市の議会で審議中であった。)市教育長会および町村教育長会から東京都教育委員会へも意見書が出ていた。もちろん教育長会からこのような文書が出るには、例えぱ多摩地区の図書館長の集まりである市町材図書館長協議会と管轄する都立多摩図書館長の間で、回数は少ないが激しいやりとりがあった。しかし都立図書館側は突っぱねた。結局、約ひと月ずれて発表された最終報告書は中間報告の構想からほとんど変わっていなかったように見える。 「あり検」報告書は、1月23目の臨時教育委員会に「報告」され承認を受けてから発表されたのだ。したがって、昨年秋から取組まれていた都議会請願の持つ意味はこの時点で極めて大きくなっていたのだ。 この日は他に都立高校の統廃合、都立養護学校の廃校、都立多摩杜会教育会館の市民活動サービスコーナーの廃止問題など請願された多くの案件があり、都立図書館問題の審議は午後6時過ぎからとなった。文教委員13人のうち、与野党6人の議員が次々に立ち細部に渡る質疑が行なわれた。すっきり都の政策を是とする意見はなかった。都立多摩図書館は市町村の信頼厚く役に立っている、1200万都民にこの計画で大丈夫か?都立図書館の本は1冊で平気なのか?様々な懸念。答弁者はずっと教育庁の嶋津生涯学習部長だった。午後8時30分を過ぎて、傍聴していた者たちは飛び交っていた議員達の言論からは理解しがたい結論を聞いた。「この間題は、『保留』、とすることでご異議ありませんか?」東ひろたか委員長(共産党、江東区)。「異議なし!」。 こうして再編計画に最初から歯止めをかけ、撤回を迫る「請願」は採択でも不採択でもなく、「保留」になったのだ。何も変化がなければ、今後どうあれ、基本的には都立図書館は「あり検」にそった再編がすすんでゆくのだろう。もちろん大まかな「あり検」報告なので、私たちは今後もその内容の細部を問い是正を求めてゆく。特に、「あり検」にも書かれている区市町対の意見を聞く機会の実現、そして平成14年度以降の複本の除籍計画には見直しを強く求めていきたい。 しかし「あり検」の第一歩は阻止できなかった。再編計画の第一歩として、平成13年度内に日比谷図書館の約16万冊の児童関係資料をすべて多摩図書館へ移管する、それを入れるスペースを生むために多摩図書館にある都立図書館としては複本の一般書を大量に除籍し、引き取り先を区市町村に求めるということが一方的に準備され、実行の直前まできていた。不当なことだが「報告書」が発表される前からどんどん内部準備が進められていたのだ。除籍予定図書約11万冊は昨年12月初旬?からは、誰にも公開されているインターネットの蔵書目録情報からは削除されていた。1月18日からはアクセスナンバーを与えられた区市町村立図書館にだけ見られるぺ一ジで、ほしい図書館は申し出るように再活用予定図書として一括でリスト公開されていた。すべて、やめてくれ、拙速に進めるな、区市町村の意見を聞け、という声を無視した一方的な都のスケジュールであった。締め切りまで短時間にかかわらず除籍図書の引取りを申し出た区市町村の反応の多さに、再編計画は支持されている、とこの日の文教委員会でも生涯学習部長は強弁したが、区市町村は誰もが、東京都にこそ持っていてほしかったのである。普段の利用はそれ程はない古い資料は都立図書館が保存していてこそ、いざという時安心して借りられる。二つの都立図書館のそれぞれにあって有効だ。それはこの間題を耳にした時の、区市町村の図書館関係者、都民利用者の共通の願いだったろう。(区市町村に受け入れては、それぞれの事情と裁量でそう長期保存出来ないことが多い。どこに受け入れられいつまであって他館が借りられるかという情報も保存の安定性も保証されない。多摩地区では資料の散逸を恐れ、11万冊をすべて一括で受け取って市町村の共同保存・共同利用書庫を追及するということが提起された。)「あり検」に、なぜ反対したのか。対抗的にどんな事を考えているのか?図書館は今どこにいるのか?整理していきたい。 この文章は5月下旬?に発売の「ず・ぼん8号」(ポット出版)に掲載される『大きな図書館デザインの必要-都立図書館再編阻止から共同保存システムの構想まで-』という長い文章の序章部分です。集会のためのオリジナル文を書くことが出来なかったので、出します。本日配布される文教委員会速記記録の参考として読んでください。 メッセージ9 ■ふりかえって思うこと 愚かな歴史の始まりは、このような道筋を通ることから進むのかと思った。 東京都立多摩図書館は実質なくなった。都立図書館は市町村立図書館のバツクアツプをやめるつもりだ。「これからはコンピュータの時代。図書館の建物も本もいずれはなくなる。貸し本は市町村の仕事。都が金使ってやることではない」そんな本音を感じる。 先人たちがコツコツつくり続けてきた東京都の図書館ネツトワーク、サービスの理念が、あっけなく崩れ去ろうとしている。 この計画を進めている都生涯学習局、都立図書館の幹部職員は『時代の要請であって、組織が、上層部が決めたことを、具体化しただけ」とでも思ってているのだろう。どうせ「誰も責任をとらない国ニッポン」なのだ。 2月19目文教委員会で目の当たりにした都の職員の表情も名前も心に焼きつけた。 (皆さんがあのことば通りに、これで本当にサービスが充実すると思っているのならば、ぜひ都立図書館に異動し働いてほしい。) 議会という場で発言権を持つ方々が、問題にいかに関わり耳を傾け調べ代弁してくれたかも心に刻んだ。 結果は「負け」でも得たもの、学んだことは大きい。 ■都の實任をあらためて考えよう ぱかげた言い方に聞こえるだろうが、恩い浮かぺることばは「武装蜂起(インティファーダ)」だ。 武器は紙つぶて(本)。もう「都立にあるから」なんてあてにしない。捨てない。自分の市が必要な本は他をあてにせず自分で責任を持って集め保存しすぐ提供できるようにする。まずはそこから始めよう。『捨てるな!』はすべての図書館へ向けられたことばなのだ。2/3の津野海太郎さんの発言に対して、私はそうこたえたい。 (人口減が予測される日本で本に必要な面積がないなんて言えるだろうか) 『それこそ都立の思うつぼ」でもあるのだが、そうはさせない。 市町村間の協カ貸出にかかる費用は、すべて都が負担するぺきだ。 運搬にかかる費用は当然として、貸した市に対して人件費手間賃を含めた保障を要求する。 ■あたらしい「たたかい」を 武装蜂起とつぷやいたら「自爆テロはやめてくださいよ」と言われた。 テロかどうかはしらないが、最初の『捨てるな!』で考え始めた 新しい図書館ネットワークの構築に向けて『たたかい」を始めよう。 「たたかい」? 何のために? 誰のために? この貧しい国にホンモノの図書館をつくるために。 図書館は、単一の機関の名でなく、システムであって平和で民主的な国には必ず必要なものだから。 今を生きる人々だけでなく、未来に生きる人々のために、図書館をつくり続けるのが私たち図書館員の仕事なのだから。(阿部明美 多摩市立図書館) メッセージ10 都立図書館再編問題に取り組んで 加藤 裕史(立川市中央図書館) この問題に取り組んで、図書館を取り巻く様々な問題の存在を再認識し、そのどれもが深刻で早急に解決していかなければならないと改めて実感しました。今日の日本経済の不況という事態は、当然、図書館をも巻き込んでいる訳であり、今回の都立図書館再編問題は、我々市町村の図書館運営においても発生しかねない問題です。 残念なことに、都立図書館の独断的な再編計画を阻止することは出来ませんでしたが、今後一般利用者に出来る限りよりよい環境を創るよう活動を続ける必要があると考えています。この不況の時代だからこそ、図書館という公共機関が重要な役割を果たさなければならないし、また、生涯学習という面においても充実したシステムが不可欠であるのではないでしょうか。私自身、立川市図書館の司書として、この最終的な決定を悲観することなく、市町村の力量が試される試練であると思っています。これまでの都立多摩図書館の利用者が不便を感じることのないようにいかにしてフォロー、バックアップしていけるのかが、今後の我々の課題であり、都と市町村の新たな連携を強固なものにし、より快適な環境を創れるよう努力していかなければならないでしょう。 もちろん、こうした問題は今回の問題同様、我々図書館側の人間だけでなく、市民すべてが問題意識を持って、参加していけるようにすべきであると考えます。この再編問題に参加させていただき、多くの人が図書館に熱い情熱を持っていただいているのかを知り、非常に嬉しく思った次第です。この勢いを無駄にすることがないよう、図書館と市民、双方向から働きかけがあるような、関係を続けていこうと願っています。 メッセージ11 実行委員の皆様方が、一生懸命頑張っていらっしゃる様子をいつもメーリングリストで拝見しています。 請願が保留になってしまったこの度の結果は、誠に残念で、なかなか情報を開示しない上層部のやり方や、議会等の非民主的な対応など腹立たしい限りでした。 本当にこれから新たな運動が始まるのだと思います。その始まりに際して、図書費削減、人員削減の厳しい状況下で、通常業務をこなすだけでも大変な毎日とは思いますが、敢えて苦言交じりのエールをお聞きください。 「図書館人よ!!外に出よう!図書館を知らない人にもっと図書館のことをPRしよう!!図書館の味方になってくれる市民を増やそう!」 図書館員だけではなくお話のグループの人なども多数参加するお話会の後に、近況報告をする時間があったのですが、都立図書館の職員の方が「暗くなるから」と都立図書館の問題に触れられませんでした。お話会の雰囲気を壊さぬよう気遣ってくれたのでしょうが、せっかく市民の理解を得られる機会を、なぜ活かさないのだろうと思いました。 図書館の問題を図書館関係者の間だけで話し合っていても、何とかなる時代ではないと思います。市民と協働する事が求められます。今まで図書館とはあまり関わりをもたなかった人たちをこそ、味方に引き込まねばなりません。例えば、専門用語(業界用語と言ってもいい)が飛び交って、わかっている者同士が通じ合う集会ではなく、一般の人にもわかりやすい言葉で、図書館の理念や大切さを訴える集会、なぜ図書館は無料なのか?なぜ専門職の司書が必要なのか?なぜベストセラーを複本で持っているのか?そして今、図書館が抱えている問題は何なのか?そんな疑問に答えてくれる集会が必要ではないかと思います。(学校図書館を考える会・横浜 伊藤紀久子) メッセージ12 4月22日は、仕事の都合で参加できませんが、実りある議論が行われることを期待します。メッセージ募集とのことですが、簡略ながら 多摩地域の取り組みから、全都的な資料保存、相互協力体制を築きましょう。 鬼倉正敏(日野市立中央図書館) メッセージ13 本日、報告集会にご参加の皆さまに感謝と連帯のメッセージをお送りいたします。昨年10月、都立図書館があぶない!と友人にさそわれ実行委員会に参加いたしましたのが、この運動との出会いです。 私は多摩ニュータウンで文庫活動、図書館運動を仲間と共にすすめ、現在は政策決定の場で、21世紀社会の基盤整備の柱として図書館の必要性・重要性を訴え続けております。 図書館政策といえば、1970年の東京都公共図書館の振興政策として、区市町村へのバックアップ体制・司書職制度等公共図書館の理念を具体化した「図書館政策の課題と対策」があります。私たちはこれをバイブルとして運動をすすめてきましたので、この度の「あり方検討委員会」とのあまりの落差に驚き失望しました。 確かに自治体財政は厳しく、行政改革は第一の課題であり、図書館予算削減も例外ではありません。しかし、私たちがこれから歩む21世紀は、地球環境問題をはじめ、情報化国際化は加速度をつけて進んでいくでしょう。 私たちが生きのびていくためには、参加と連帯にたえうる個の確立とタフな自立精神を市民が身につけ、参加民主主義を発展させることだと思います。私は公共図書館がその役割を果たすものとして、大きな期待を寄せております。従って、今回の「あり検」ショックをてこに、地方分権時代、21世紀市民社会にふさわしい「図書館のあり方」を市民サイドから創りなおしていこうではありませんか。 都議会文教委員会の「保留」という結論は、都民の図書館にたいする見方の平均値かも知れません。運動はちょっと手をゆるめると何十倍も後退するものです。しかし、人類の知恵を集積した、公共図書館を機能させれば、未来は必ず拓かれます。 図書館法の精神が、私たちの血肉となり、図書館に関心を寄せる人が増え続けるよう、これからも確実な歩みを進めていきましょう。 どうかよろしくお願いいたします。 2002年4月22日 東京・多摩市市議 住田 啓子 |
【記録】捨てるな! Part2 都立多摩図書館を通して想ったこと、これからのことなど。多摩はこれから