【記録】都立多摩図書館のこれからを考える集い

11月26日(月)午後1時20分から、立川市女性総合センター・アイムホールにて、都立図書館再編に伴う都立多摩図書館の問題を考える集会が開催されました。住民・図書館職員など190名の参加があり、ほぼ満員に膨れ上がった会場で、これからの都立多摩図書館について熱心な論議がなされました。

   
 ほぼ満杯になった会場
・基調報告 「図書館の新しい役割-米国公共図書館サービスの事例から」菅谷明子氏(ジャーナリスト)
・「都立図書館問題の状況報告」斎藤誠一氏(立川市中央図書館)
「都立図書館の組織と機能に関する経過とその概要」田中ヒロ氏(都立多摩図書館)
・パネルディスカッション「都立多摩図書館のこれからを考える」
  進行:守谷信二氏
  パネリスト:平山恵三氏・住田啓子氏・中川恭一氏・雨谷逸枝氏 
・「集会に参加して-今後に向けての助言」山口源治郎氏(東京学芸大学) 
 
 
Ⅰ 基調講演 
 
 菅谷明子氏(ジャーナリスト、メディア情報と市民社会が専門、NYとWC.DCに住んでいた)

  
 
[発言要旨]
・ 日米間では、野球とbaseballの違いのように、図書館とlibraryほどの違いがある
・ アメリカでは、「図書館がなければ○○はできなかった」と言われるほど密着している
・ ニューヨークの図書館で、都立問題が起こっていたら、大きなデモが起こっただろうし、ニューヨークタイムスなどの大新聞が社説で取り上げただろうし、図書館友の会などで市民のアクションがさかんに起こっただろう。
・ 日本では、図書館の重要性が認識されていない。図書館側にも問題がある。図書館がどういうふうに役立っていくか提示がないこと、図書館がその可能性を持ちながらもアピールしてこなかった、など。
・ アメリカでは、図書館は広く一般に調べものに使われている、生産型である。対して、日本は消費型(自分で読んだものは自分だけに蓄積されていく)である。自己責任社会をサポートすることや創造的機関としての図書館として使われている。
・ 9月11日のテロ事件の2日後には、HPが立ち上がった。「ニューヨーク公共図書館は、地域社会の皆さんのニーズにこたえます」と。事件後のさまざまな電話問合せ先、負傷者が運ばれた病院のリスト、旅行中の人への情報、オフィスを失った人へ、死亡証明書の取り方、司書とオンラインで相談できる、テロ後の子どもたちへの対処法、イスラムとは、子ども向けの童話など。
・ 図書館の役割は、地域の情報センターであり地域の行政、NPOの情報を一箇所にまとめて使えるようにする、使える形に加工している。
・ ニューヨークの公共図書館は中小企業家向けのビジネス図書館で、大企業に対するギャップを埋める情報提供を行っている。日本ではこの考え方に抵抗があり、非商業・中立である。アメリカでは、ビジネス支援を市民への支援と捉えている。
・ 文化・芸術支援策では、コンサートやパフォーマンスを司書が録画しに行ったり、メディアからもれているものに注意を向けている。日本は、出版社からでているものは熱心に集めるが、そうでないものには不熱心。
・ 調べものをするときのハードルも低いのが特徴的。インターネットの普及により、商業データベースなどは、自宅からアクセスできるようになっていて、市民が自分で知識を得ることをサポートしている。
・ 運動の広げ方としては、行政がそこにお金を出すことにメリットがということをアピールする。メディアをうまく使うと効果が大きい。具体的には、総合学習で、学校との補完関係を強化していく。ニューヨークでは宿題ヘルプデスクがあったり、パソコンができる子にアルバイトさせてパソコン支援サービスを行ったりしている。また、医療情報としては、医療情報の使い方講座などで医師にもメンバーに入ってもらう、NPOの人たちに情報の提供、どのように活用していくかを提示していくかなど。
・ 図書館はなぜ重要なのか、図書館にはマスメディアができないことができる。市民のニーズにこたえていくこと、図書館で何ができるか。図書館はYahooではない、図書館ならどんなことをするか、市民へのリサーチをしていない。図書館に来ていない人にいかにきてもらうか、情報の消費の場から創造、提供の場になっていくように。
 
[質問]
「アメリカの図書館はどういう図書館か、開館時間などは」
 →ニューヨーク公共図書館・・市の税金
       リサーチ図書館4・・企業・個人の寄付6割、税金4割、経営はNPOで。
       分館85。
 開館時間は場所、曜日によって違う。9:00~18:00、~20:00、13:00~22:00など、~23:00も。
  開館時間が長いといろいろな人が使える。
 
Ⅱ 都立図書館問題の状況報告
  斎藤誠一(立川市中央図書館)

  
 
・単に反対するだけでなく、都民と職員が一緒になってどういうふうにしていくか考えたい。
・都の上層部が情報を公開せず進めていくのが一番大きな問題と考えている。
・館長協議会にも当初は説明しない方針だった。
・三多摩格差の再来。市民サービスコーナーとの協力関係を保ちながら運動していきたい。
 
1.  今回の都立図書館再編計画とは
  ・「あり検」中間まとめ
  ・組織改編・・・多摩の分館化、機能分担へ
  ・収集・保存・・・永久保存から有期保存へ
  ・多摩の蔵書構成の変化・・・児童書・青少年資料中心
            文芸単行書、多摩地域資料のみ、協力貸出用雑誌が1/3減
  ・日比谷図書館の児童サービスを多摩に移譲のため、多摩本14万冊を廃棄
  ・今後も中央との重複資料を廃棄に
  ・協力レファレンスは中央に統合
2.  どんな影響があるのか
  ・1200万都民に提供する資料が1タイトル1点では・・・
  ・地域分担分が消える・・・中央まで行かないとダメ
  ・中央が全都のレファレンスを受ける
3. 実行委員会としての取り組み
  ・請願に向けた署名活動
  ・今集会を通しての対案つくり
  ・学習会、拡大集会を行い、23区を含めた広範な運動展開を
  ・14万冊を救う運動
最後に
  ・都民のコンセンサスもなく廃棄されていいのか
 ・ここまで都民を無視する都政とは
 
Ⅲ 都立図書館の組織と機能に関する経過とその概要
  田中ヒロ(都立多摩図書館)

  
 
・市町村立図書館と共同で築き上げてきたものを無視した計画案である。
・職員にすら満足のいく説明をしていない。
・「都立図書館のあり方検討委員会」の中間のまとめを中心とした経過報告(省略)
・収集整理の一元化による人員削減・・・都立多摩の収集係を廃止、全体で7名削減
 
Ⅳ パネルディスカッション「都立多摩図書館のこれからを考える」

  
 
進行:守屋信二(町田市立中央図書館)
 パネルの意図:図書館は大変厳しい状況に置かれているが、まず、この都立問題について、
1. 認識を共有したい
2. 都立に対し単に反対するだけでなく、何をなすべきか。逆に打って出るような議論をしたい。図書館がどう自己変革していくかを考える会にしたい。
  仕掛けとして、発言の要旨を模造紙に書き出していき、パネラーの後ろに貼り出して、全員の共通認識に役立てたい。
 
平山恵三氏(利用者のひとり、立川市在住。エル経済研究所所長、全国の図書館を見て回っている)
・都立再編問題の感想-国会の保存機能と市立の利用との中間的性格を持つところ
・希望として、開架式で専門書をおいてほしい、現物を手に取れることが望ましい。古い本や貴重な資料も。
・若い人への啓発、高齢者のこれからの仕事への支援
・多摩の人口は380万人で、都全体の32%を占めるが、自立した都市圏を形成しており、図書館政策の、優先度が高いはずなのだが。
・多摩の核図書館として機能を充実させたい、そのための提言を。
・一本化するなら、中央を多摩に
・図書館は毎日作っていく文化遺産である
・街づくりの中心に、図書館はコミュニケーションプラザ
・図書館の中間的性格
・開架式で専門書を手に取れる
・お金がかかるというのなら、ボランティアを活用する
・国の費用、都の費用、市町村の費用を併せて考えられないのか
 
住田啓子氏(利用者のひとり、多摩市在住。文庫活動、多摩市議)
・都立青梅の「むらさき号」の本を借りて文庫活動していた。
・図書館振興策で図書館運動をはじめ、多摩市に図書館ができた。各市町村に図書館はできたが、古い本は都立にあって初めて市町村が直接サービスできるという前提で成り立ってきたはず。それを根底から崩すのは認められない。
・署名活動は、なんとしてもやり遂げたい。21世紀に後の世代に知の遺産を渡していかなければならない。最終的には都の図書館政策を確立させていくべき。自分の足で立ち、自分たちの図書館として都立図書館を編成しなおすときにきている。
 
中川恭一(西東京市中央図書館、市町村相互協力事業担当者会運営委員会メンバー)
・配架していたら、利用者に「痴呆の家族を抱えているが、ペースメーカーの手術を勧められている。本人への意思確認ができないので困っている。どうしたらよいか、手術はできるのか。」市内図書館で探す旨伝えたが、不安顔だったので、「都立図書館がありますから」と伝えると明るくなった。これは、レファレンスに属する事例だが、都立多摩でレファレンスを受ければ回答と共に、協力貸出もできるので、これが都立中央では大幅なサ-ビスダウンである。
・レジュメには、都立側のやり方は「現代の焚書坑儒」と書いた。文字通り都立多摩14万冊を焚く行為であり、都民と、都立図書館とここまで関係を築いてきた市町村職員の努力を坑埋めする暴挙である。これらの再編計画が市町村の職員になにも知らされずに強行されようとしていることは断じて許されない。館長会にさえ説明せず、要請してはじめて説明する始末。もとより職員にも担当者にも説明はない。12/13開催の担当者会の準備のため先日開かれた運営委員会でも、当日の冒頭に課長挨拶で触れるだけだという。事態が紛糾するから説明は当然だろうといっても、都立の政策について市町村職員と議論する考えはないという。
・(都立図書館のホームページから入るインターネット検索画面の結果を例示して)中央と多摩と2冊あっても2冊とも貸出中のとき、都立多摩の蔵書が消されることに。また、レファレンス資料の場合も中央では協力貸出不可、多摩にもあって協力貸出可となっている場合、都立多摩本はデータから消されることになり、必要なら広尾まで来いということになる。果してそれで耐え得るのか。
・都立の変節の事例は、経過報告でも触れたように、廃棄をはじめサービスダウンばかり目立つものだが、さらに、都立全体で7名削減となっている。都立図書館は誰のものなのか、再考すべきである。
 
雨谷逸枝(都立多摩図書館)
・なによりも一番問題なのは現状認識のなさということ。都立多摩図書館ができたときに、地域分担、機能分担についてアンケートや意見を取りまとめたのが今のサービス。
・市立図書館から雑誌のバックナンバーを譲り受けたり、「探しています」を市町村と作り上げてきた、レファレンスもどういう形が望ましいか研究してきたのに、今回一方的な決め方をしている。市町村に対してもどれだけ機能分担すればよいか意見を聞いていない。
・14万冊の基準は協力貸出のあまりない古いものでというが、廃棄に変わりはない。14万冊とは、都立多摩の開架2館分になる。1冊¥3300で4億6000万円になる。
・1点収集-効率的な本の買い方というが、協力貸出と利用者との競合が多くなる。手元に借りられる期間が短縮される可能性が高い。中央と多摩といずれにせよ1箇所で収集するのは逆に非効率。協力関係を何も理解していない。
 
[追加発言]
住田:
・学校図書館に司書を置いて確実に効果が上がっている。活字を通して人と対話することで考え方も確立していくという効果が子どもたちにはあがっている。
・何も知らない人がビジョンもなく政策を作成しているというのは素人の私でもわかる。次の世代には確実に資料を残していきたい。
 
平山:
・同じ東京の中でも1冊だけというのは(地震なども想定され)問題がある。ぜひダブりで持っていてほしい。
 
守谷:
・都立多摩図書館の今後のスケジュールをお聞きしたい。
 
雨谷:
・「30年有期保存」「1点1冊永久保存」は1999年に決定したばかり。今ホームページで再活用に回っているのはことらのことで、14万冊のこととは別。
・14万冊の方は、スケジュール案は10月に出たが引き抜きは遅れている。12月第1週末には開始される。1~2月に再活用の処理を行う。3月に児童書が引っ越してくる。
・12月に最終案が出、1月に知事査定。2月議会には、2級廨→3級廨(中央は局から部へ、多摩・日比谷は部から課へ)を通すとのこと。
 
中川:
・都立中央も渦中にあるが、直接サービスでいい顔をしている中央は痛くない。むしろ、分館にする多摩の書庫能力が魅力のはず。だから、中央と多摩ではこの問題について温度差があるのは確か。
・都立中央にレファレンスが集中すると本も都立中央のものが運ばれてくることになるだろう。そうすると、現状より時間がかかるのは必至。サービスダウンは明らか。
・市立図書館は23区の図書館に比べて小さいところが多い。図書費も比例しており、その点でも温度差を感じる。
・資料の除籍を当市でも行っているが、都立にあるかどうかは最終確認している。ただ、今度のような問題が起きて、市町村の最終の書庫が都立でいいのか疑問が残る。
 
[フロアから発言]
池上(日野市、自治体問題研究所)
・これはもはや図書館政策とは言えず、自治体リストラのつじつまあわせだ。リストラが前提で政策は後回し、政策的に問い詰めていったら答えられなくなる問題だ。
・国の行政改革大綱に対し、東京都が先陣を切ってやっている。石原都政が先頭を走ろうとしている。
・公務員制度改革では、企画立案部門と執行部門を分ける内容で進行している。企画部門のみ公務員が行い、執行部門に公務員は要らないという方針だ。司書や保母なども公務員でなくてよいという方向が打ち出されようとしている。大学などを独立法人化して全面委託するなど着々と手が打たれている。東京都で阻止しないと全国に波及するので、なんとしてでもみんなで止めましょう。
・市町村合併を特に進めようとしている。多摩を6ゾーンに分け、自立できる政令指定都市化しようとしている。道州制の検討もしている。
・財政状況もみんな違う市町村のデコボコを均等化するために都立図書館の役割がある。明らかな地方自治法違反ではないのか、効率的というが、今のように適当に分散しているほうが無理がなく効率的といえる。
 
平井(国分寺市民)
・国全体の国家統制の流れに呑まれている。全国社会教育推進協議会は決議文を出したが、その中に今日の中身を反映させたい。
 
守谷(進行):
・大きな視点も必要だが、具体的な視点でのご意見を
 
山田(立川市民)
・議員たちを説得することが必要。
・現在の都立は3館でも不足。地域的にも平等ではない。1200万都民には都立は12館あってもよい。
 
氏家(小平図書館友の会、フリーランス)
・この集まりを知ったのは友の会の会報だった。東京・産経新聞には載っていない。
・都立図書館の職員は業務命令でやむなく仕事しているのか。
・14万冊は、とりあえず物理的なスペースを用意しておけば捨てなくて済むのではないか。
・石原知事にナラオ氏にぶつけるとか動けないか。
・利用者としては、web OPACのみ活用している。協力貸出の1週間は待てない長さ。
 
竹内(都立中央図書館)
・ダブりで持っているのは、30万冊といわれている。ただ、書庫スペースは限られているのだから、いっぱいになったら1冊ものも手放すことのなるのではないか。
・日比谷から多摩へ移す16万冊をやめさせれば、多摩の14万冊は捨てなくてもいいはず。まだ、都立の書庫がいっぱいになるまで3年あるので、市区町村のデポジット化も含めて双方で検討する時間が稼げるのではないか。
 
守谷:
・デポジットライブラリーについて、具体的な提案をお持ちの斎藤さん、ご意見を。
 
斎藤(立川市中央図書館)
・市町村共通の問題としてデポジットライブラリーの私案を考えている。
・日の出のごみ最終処分場跡地などリサイクル関連施設用地などに、同一タイトル2冊を確保し、3冊目からは販売し利益とするなど、実験的な提案も含めて考えた。(配布資料「捨てるな!」収録)
 
内藤(都立二商)
・都立の中にスペースはある。高校、青年の家などを利用すれば施設はある。ただ、都はこれ以上書庫を広げるつもりはない。
 
黒子(元保谷市図書館長)
・地元の都議にデポジットの話をすると施設はいくらでもあるという。
・住民でデポジットライブラリーを運営してはどうか。大阪でアジア図書館の例もある。
・民間として活動し、それを支えるのが公共図書館ではないか。市町村の資料を一箇所に集めて保存・調整するセンターを作り資金を募るなど。
 
林(立川市図書館、都立多摩利用者)
・今までの提案には賛成だ。
・以前に都立中央へ行ったら資料費削減のビラをもらった。今回のことと関連しているとは思いもよらなかった。
・市立図書館で14万冊を引き取らない、廃棄に反対するという決議をすることは可能か。
「黒人文学全集」を廃棄して、もうないといわれた。今回のことと関連するのか。
・国会図書館の科学関係資料を関西館に移すという。新聞発表は騒動になるからしないという。
・署名運動以上に強硬な対策はないのか。
 
雨谷
・職員には知らされていなかった。意見をいっても聞いてもらえる体制ではない。
・文学関係・・・有期保存計画で除籍作業を進めている。コンピュータのデータ上だけの判断。1点1点現物を見たわけではないので、中央と重複していても中央の本が不明だったりという危険はある。
 
 
守谷
・14万冊は引き取らない。廃棄に反対する件について。館長協議会に動いてもらっているので、また検討したい。
・もっと大きな集会を1月に行う予定(出版・書店関係者も一緒にした)。
 
山家(市民活動サービスコーナー)
・時代の流れからいっても活動は拡大しているのに、何の見通しもなく廃止されようとしている。
・「市民活動のひろば」を発行している。
・臨時職員3名を3/31で解雇。
・都議会への請願署名をお願いします。
 
[ひとことずつコメントを]
平山:
フロアからのいい話を聞かせてもらった
 
住田:
地方議会から意見書があがるとよいのだが
 
雨谷:児童書を無理に持ってくる必要はない。14万冊の本を取り上げるなといいたい。
 
中川:これからが闘いの本番だ。がんばりましょう。
 
守谷:
・12月19日に今日以後の取り組みについて、報告集会を開催します。18:30~ 5階第3学習室にて
・メーリングリストへの参加を
・都庁・知事へ、声を直接届けてください。メールで。
・1月にもっと大きな集会を企画します。
・都議会議員をご存知の方がおいででしたらご紹介ください。
・自分たちの議会を通しての活動をよろしくお願いします。
  
Ⅴ 集会に参加して―今後に向けての助言
 
 山口源治郎氏(東京学芸大学)

  
 
1. 都民税を納める都民としての自覚を新たにした。都民としての危機と捉える。
 学びや文化の土台が捨て去られようとしている。都民にも職員にも公開されずに進められている。
2. 都民が都立図書館のあり方を決定する。市民が作り上げる図書館が都立多摩図書館である。
 市町村、市民として作り上げてきた歴史を無視している。市町村に対する働きかけ、議会など多様な方法で声を上げていくのが大事。
 これからの図書館の政策への提言をしていく姿勢が必要である。市民・都民のフォーラムを作っていく必要がある。
3. 23区と多摩、中央と多摩の職員、区民と市民が提携し、力をあわせていくフォーラムが必要。そうしないと石原都政に勝てない。
 
蓑田(司会)
 東京の図書館全体を見直すチャンスです。これからの闘いをがんばりましょう。
 
 
パネルディスカッション -パネラーと会場からの発言要旨-
 
都立多摩
 市民の日常施設と国会図書館の中間的存在の有効性
 ある程度、専門書もあり、古い資料も確認できる。現物がじかに見られることの重要性、
行間から伝わるもの
 
地域社会論の視点
  活力ある自立的生活都市圏
  過度の集積を避ける区部以外の核   人口380万(都の32%)
   →図書館の優先度は?
   
 市町村の図書館は、都立多摩がうしろにあって成り立っているし、利用者もそれを信頼して請求している。
 開館して時間がたっていない市町村の図書館が役に立つのは都立多摩あってこそ。
 
 新しい都立図書館の政策が必要。署名、請願運動ぜひ成功させ、これからは以前の振興政策、それで出来た市町村図書館の利用経験をふまえ、都民と職員で次の21世紀の展望をひらく、図書館の政策を!
 
 毎日毎日蓄積していく文化遺産。
 ジャンルと時代を越えたコミュニケーションプラザ。
 日常的利用の地域の図書館と保存が役割の国会図書館の中間的な図書館が重要
 →新しいビジョン ①ボランティアの活用
          ②モノレールの下を書庫、図書館へ
          ③国と都と市町村がお金を出しあって
 
① 都立図書館が重複を避けると区市町村に貸し出す分が落とされていく。
② 都立図書館の存在は見えにくい。けれど市立図書館のうしろにいつもあり、
市立図書館の利用者はいつも利用者になる可能性。
 
都立多摩(15年前)出来た時、どうしたら市町村に役に立つか相談。
 雑誌を市町村からどんどんもらって資料をふくらませた。
 市町村で「探しています」という掲示板の運営。
 常に市町村のアドバイスを受けてきたつもり。
今回の再編案は利用する側から出ていない。利用者に聞いてつくった案ではない。
  一点一冊で施設費はかからないかも知れないが、利用者同士の競合が出てきて、大変面白くない利用の仕方になり、さらに制限的になっていく。
  中央図書館で集中選書、発注をするというのは利用本位ではなく、合理的でもない。
 
  図書館 =これからの高齢化社会で生きる手がかりになる場。
  図書館 =シラけ手がかりを失った若い世代が、思いがけなくのめり込める世界の導入になる場。
 
東京都が日比谷の児童を移すことのビジョンのなさ。しかし、学校図書館、子どものサービスの大事さ。ビジョンが必要。
 
緊急避難の面も考え、蔵書は2ヶ所、2冊がある事が重要でないか。
 
現在進んでいる作業
① 1999年に決まった、「1冊永久保存、ダブりは30年保存方針」での再活用公開作業。
(文学関係、今、8,000冊公開中)
② 今年決まった、「現有スペース限り、中央とダブっていればすべて捨てる」方針にもとづく、14万冊除籍のリスト作り作業。
 
都立中央と都立多摩の危機感の温度差
→多摩地域の市町村に対しても、調査問い合わせも資料提供も、中央から出るようになる。
→もともと多摩市町村の図書館の規模の小ささ、自前の保存スペースや古い本の所蔵の弱さ。
 
図書館政策とは言えない。これは、自治体リストラじゃないか。
企画立案部門と権力部門だけが公務員の労働として残される国家プログラムの先がけ。
   →全国の県立図書館のリストラの先がけ。
市町村合併、道州制推進。
市町村のサービスのでこぼこをうめ、サポートする都道府県の役割の重さ。
 
図書館の問題だけでなく、多摩のピンチの問題だけでなく、社会教育つぶしの全国政策の問題。
 
都議会議員ひとりひとりを説得する必要。
 
現在の都立図書館3館だって不足。今だって決して地域的平等性はない。
 
逆境をチャンスに!
 
とりあえず14万冊をどうするか?
 →具体的な緊急案の合意を
各市の利用者、友の会などで話題の浸透を
都立で書庫を拡大する方針が一切切られていれば、いずれ保管できぬ一点一冊さえ、近々捨てられていく。
日比谷の図書を移さなければ、14万冊を今捨てなくていい。日比谷に置いたまま公開の議論を!
都と市町村が、一緒に保存問題を考えよう、という土俵があれば、考え様はある。
 →「対策の試み」
都の空いている施設さえ、今やたくさんある。それを活用させる声を、都の責任で。
散逸させてはならない。
民間として、住民として運営に参加すべき。
市町村の除籍資料を一個所に集めて、保存とリサイクルを調整するセンターを!
 
①再活用を一切ひきとらない、という市町村図書館の決議をあげよう
②都立の除籍=再活用方針反対という市町村の決議をあげさせよう
 
国会図書館の関西移管問題も含め、利用者に図書館運営のことは、どんどん公開する発想に日本は変わっていかなければならない。
 
電算データで重複していても実は生きていない事がある。安易に捨てるのは恐い。
 
① それぞれの市議会で意見書を都にあげよう
② 日比谷の児童書を今、移動せず、捨てさせず、公開の議論を!
③ 各市の住民、利用者の方々、市議を、都議を動かして!
④ 署名活動よろしく!
⑤ 都議会議員の紹介を!
 
12月19日夜、アイム5Fで集会
 
【記録】都立多摩図書館のこれからを考える集い

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