昨年4月に発足した「都立図書館あり方検討委員会」は、約10ヵ月の検討期間を経て、この度、最終報告「今後の都立図書館のあり方~社会経済の変化に対応した新たな都民サービスの向上を目指して~」を公表しました。検討開始以来、東京都がはじめて私たちの前に明らかにした、都立図書館再編計画の全体像です。 しかし、この最終報告は、首都東京の都立図書館政策として、きわめて多くの問題を含んでいます。これまでの中央図書館と多摩図書館による地域分担を止め、一般資料は中央図書館に「一元化」する。今後、同じ本は都立全体で1冊しか収集・保存しない。現有書庫の拡張はせず、あふれる蔵書は除籍する。多摩図書館は、児童・青少年資料と文学、多摩地域の行政資料に限定する、というものです。 こうした内容は、「広域的・総合的情報拠点」とか「高度・専門的なサービス」といった美辞麗句に飾られていても、実は蔵書規模を縮小し、都民・区市町村へのサービスを大幅に後退させるものであることは明白です。また、計画の策定に至る手法も、きわめて不誠実なものでした。都民や区市町村立図書館の関係者はもとより、都立図書館の職員にさえ、十分な説明や合意を求める努力はなされていません。 私たちは、東京都の財政事情が、大変厳しいものであることを知っています。また、都立図書館と区市町村の図書館が互いに協力して、はじめて都民への十分な図書館サービスが実現できることも知っています。再編計画の背景にある諸課題も、単に都立図書館だけでなく、都民や、東京のすべての公立図書館が共有すべきものだと考えてきました。 ところが、東京都は都民や区市町村と共に問題を考え、よりよい解決策を見いだそうとする、開かれた姿勢を持つことはありませんでした。まして、最終報告がまとめられる前に、書庫に十分な余裕のある日比谷図書館の児童・青少年資料を移すため、多摩図書館の蔵書14万冊の除籍作業が開始される、などというのは信じ難いことです。 このような都立図書館の再編計画を、私たちは決して容認できません。万が一、この計画がそのまま実施されれば、都民や区市町村立図書館と都立図書館との信頼関係は、大きく損なわれることになります。 本日の集会を締め括るにあたり、私たちはその総意として次のことを強く訴えます。まず東京都は、今回の再編計画を一旦凍結すべきです。その上で、真に首都東京にふさわしい都立図書館のあり方を、都民、区市町村図書館関係者、学識経験者などと共に、早急に協議する必要があります。そうすることで、お互いへの理解も深まり、困難な課題を乗り越えるための、新たな知恵や工夫も生まれてくるはずです。 都立図書館は、全国の県立図書館の模範とならなければなりません。いまこそ1200万都民の視点に立った真の都立図書館を、衆知を結集して創り上げようではありませんか。 2002年2月3日 「蔵書の大量廃棄とサービスの縮小は許さない! -首都東京にふさわしい都立図書館を一大集会」参加者一同 |
【記録】集会アピール