(11月17日 第2回懇談会での説明メモ) なぜ新たな図書館への資料バックアップ体制が必要か 1. 公立図書館(市町村立の公共図書館、公立学校図書館)は、利用者の求める資料を最大限の努力を払って、提供する役割をになっている。 2. 市町村立図書館、学校図書館は、収蔵能力・財政力に制約があって、利用者が要求するすべての資料を収集・所蔵することは不可能である。 3. そのため、市町村立図書館、学校図書館の資料の不足・不備を補うための資料のバックアップ体制(第二線図書館)が必要・不可欠である。 4. これまで多摩地域にあっては、都立多摩図書館が、独自の資料収集・所蔵を行い、それらの資料を、市町村立図書館をはじめとして諸図書館に提供して、その役割を果たしてきた。 5. ところが、都立図書館の運営方針が、性急に変更され、地域分担制をやめ、資料の一元化、原則1タイトル1冊収集、有限年数保存となった。そのことから、既存の複本の除籍を強行した。平成14年1月23日の「今後の都立図書館のあり方」の最終報告書決定をみる以前のことである。 6. 除籍資料について、再活用ということで区市町村図書館などの求めに応じて、任意に 分散移譲を行った。このことは資料そのものは消滅しなかったかもしれないが、資料バックアップシステムに大きな欠損を生じさせ、そのことが今後続けられるとしたら、将来、事実上、都立図書館における資料バックアップ機能が消滅してしまう。 7. 都立図書館がこの道をとってしまった以上、都立図書館に代わる市町村図書館への第二線図書館的な資料バックアップ体制を早急に構築*、運営を図らなければならない。 8. 構想を現実化するための必要基盤 資料提供ネットワークシステム(資料提供バックアップ)の重要性を認識してもらうことが絶対に必要であるー図書館利用者への資料提供を自館で完結するサービスで良しとする考えを持つようでは、この構想の実現は不可能である。 9. その証として、次のことを行うための支援を必要とする (1)都立図書館において ①都の施設借用について ②提供システム運用(とりわけ資料の貸出返却での搬送) (2)市町村図書館において ①センターへの資料提供(資料及び資料の搬送)-そのためにも除籍作業を代行する ②センター資料の利用を積極的にしてもらう。 ◎より具体的なあり方は、三多摩図書館長協議会における「多摩地区図書館サービス研究会」において、すでに検討が行われている。 資料提供サービスの基本原則 1. 資料提供のネットワークシステムにおいて、図書館利用者個人への直接の資料の提供は、市町村立図書館、学校図書館が、責任をもって行う。 2. 市町村立図書館の資料の不足不備をカバーする提供資料バックアップの組織が行うなうのは、図書館(市町村立及び学校図書館など団体組織)に対しての提供である。 即ち、第二線図書館的な組織・役割に徹し、個人に対して直接提供は行わない。 3. 個人への資料提供は、個人のプライバシーに関わることであって、法的に守秘義務のある(情報提供を求められ、その提供を断っても身分保障が法的になされる)者が行うべきである。 都立図書館に代わる市町村立図書館への第2線図書館的な資料バックアップ体制の構築構想 三多摩地区市町村立図書館の共同集中資料保存・提供センター機構 機能・業務-①受け入れ ②組織化・管理 ③提供(貸出・返却) <内容> 1 受け入れ (1)共同保存・提供用の資料提供 第一段階 ①都立図書館再活用資料 第二段階 ②市町村図書館除架資料 *③学校・大学・個人からの寄贈資料 (2)受け入れ場所の確保 都の公共施設利用-廃校(都立高校の統廃合)、空き校舎・教室 ・資料の集中保存・管理可のスペース? ・都立図書館からの委託業務という位置づけでは? (3)永年利用(借用)のために必要な条件 借用できる組織(団体)-任意団体では不可? そのための会則改定必要の有無 →組織のあり方を左右する…出来るだけ簡単・緩やかに、が基本 -組合立、NPO、PFIなどの検討 (4)受け入れ方法 受け入れルートを複雑化させないー原則的には市町村図書館から →都立再活用資料は市町村図書館を通して ( 現実認識) (5)搬入作業ー市町村図書館(の費用)で行う 2 組織化・管理 (1)市町村の除籍作業を代行 (2)提供可の資料と提供不可資料(重複資料及び汚破損)の選別 ・専門的な選別能力が問われる ・受入れ資料中どれだけの提供可資料があるか (センターの利用価値を左右する) *将来、都立再活用資料は少なくなる。市町村図書館の除籍資料が主流になるだろう。 (3)保存・提供センター所蔵資料としての登録(保管替え作業も?) (4)提供可資料の目録・索引の作成 ・受け入れ資料とともにそれらの目録情報を受領ーそれらを活用(作業の省力化) ・書誌事項の上に、併せて・内容紹介や目次などの記載があることが望ましい ←統一された組織化のマニュアルが必要 →市町村図書館総合目録作成ー目録による横断検索 (5)配架・保存管理 (6)諸作業を行う人員の確保-当面、ボランティア(交通費支払いの財源捻出は?) (7)諸作業遂行に必要な機器備品・経費の確保 書架 作業机・椅子 諸消耗品 光熱水費 3 提供 (貸出・返却) (1)目録・索引の公開 (2)貸出申込み受付業務 (3)資料の発送及び返却処理作業 (4)搬送業務-現在の協力貸出業務の一つとして行ってもらう これからの日常的な作業 1 会員は、それぞれが自分でできることを申し出て、行う。 例:・資金援助 ・会員を増やすこと ・活動についてのアイデア・情報を提供する ・都関係、各自治体関係、報道機関との交渉にあたる ・講習会・学習会の支援(講師・運営など) 2 会員のたまり場をつくる 会員のプロジェクト参加が自由にできる-定期的に、同じ場所で、同じ時間で *そのたび毎に特別に連絡をしなくてもよいようにする ← ホームページの活用 3 プロジェクトをいくつたちあげるか 4 会報の発行orホームページ作成-プロジェクトの経過報告、報告会・講演会・講習 会などの案内。情報・意見の交換。 |
<参考> 都立図書館に代わる市町村立図書館への第2線図書館的な資料バックアップ体制の構築構想 三多摩地区市町村立図書館の共同集中資料保存・提供センター機構に追加する 総合学習支援センター構想 都の「あり検」に述べられている、「区市町村立図書館の相互協力を推進するしくみづくりを提案」や、「学校教育における”調べ学習”などの課題 解決型学習を支援」の提案に、応じて、ボランティア組織(団体)による{総合学習センター」を構想する。 その内容は、次のとおり。 (1)三多摩地区を三乃至五ブロックに分けて、その各ブロックの中で、廃校・廃棟・或いは空き教室を調査、選定して永久借用する。 *任意団体には貸さないことは予測されるから、その借用予定校がある自治体の図書館が、地域ブロックでの「図書館相互協力」の拠点として必要ということで借用する。 (2)その場所に、ブロック内の各自治体図書館等が受領した都の再活用本を集中収蔵し、ボランティア組織(団体)により、資料の組織化を図る。 また、ブロック内各図書館(公立のみならず、学校、大学の図書館も対象にすること可)での除架資料も、同様に、集中収蔵して、提供可の資料と提供不可資料(重複資料及び汚破損)の選別を行い、各図書館の資料の廃棄作業を行う。その上で、提供可のな資料は組織化を図る。一方、提供不可の廃棄資料を販売などによる処置をする。 (3)各ブロックで組織化された資料情報を、三多摩全体での総合目録・索引に編成して、一元化された資料センターにする。 (4)三多摩の各図書館が、この一元化された資料情報により要求した資料を、ボランティア組織(団体)が抽出、提供の準備をし、都立図書館の協力車により、各ブロック間・各自治体図書館間に搬送してもらい、各図書館への資料バックアップをする。 そうしたことにより、学校教育における”調べ学習”などの課題解決型学習の支援などが地域協力により出来るようになる。 (5)学校教育における”調べ学習”をより効果効率的にするために、総合学習支援センターにおいて、ボランティア組織会員などに対して、”調べ学習”講習会、さらには、読書支援の”読み聞かせ・ストーリーテリング”および、その講習会なども行う。 |
多摩地域の図書館をむすび育てる会黒子恒夫代表からの提案